はじめての生成AI
AIのナレッジカットオフとは?最新情報を知らない理由
昨日のニュースについて聞いたら、堂々とデタラメが返ってきた。この経験をすると、AIは信用できないという結論に飛びつきがちです。ですが、これは嘘つきの証拠ではなく、AIの知識に期限があることを知らずに質問しただけです。
AIは「読み終えた図書館員」だと思うとよい
生成AIは学校に通いません。代わりに、ウェブサイトの記事、電子書籍、論文、公開されたコード、掲示板の会話といった膨大なテキストを読み込みます。これを学習データと呼びます。
読んだ内容を丸暗記しているわけではありません。「空は」の次には「青い」が来やすい、といった単語のつながりの確率を溜め込んでいます。AIの正体は、事実の一覧ではなくパターンの集積です。
そしてこのデータは人間が作ったものなので、当然かたよりがあります。ネット上に英語の情報が多ければ、英語圏の見方を反映した答えが返りやすくなります。AIの回答は絶対的な正解ではなく、学習データに基づいた傾向だと思ってください。
カットオフは「公開日」ではなく「収集を止めた日」
学習には、高性能なコンピュータを数か月フル稼働させる必要があり、データの整理にも膨大な時間がかかります。だから、一度学習を終えて公開したあとの出来事は取り込めません。AIにとっての世界は、学習を終えた瞬間で止まっています。これが知識のカットオフです。
ここで多くの人が誤解します。境界はモデルが公開された日ではなく、学習データの収集を止めた日です。2024年に公開されたモデルのカットオフが2023年10月、という形は普通にあります。
| 項目 | 検索エンジン | 生成AI |
|---|---|---|
| 情報の鮮度 | リアルタイム | 学習完了時で停止(後述のブラウジングを使わない場合) |
| 知識の出どころ | 既存のサイトを検索して提示 | 過去の学習データから文章を生成 |
| ニュース対応 | 非常に得意 | 基本的に苦手 |
カットオフを超えた質問をしても、AIは「知りません」と言わずに、過去のデータからもっともらしい答えを作ってしまうことがあります。デタラメが返ってくるのはこの瞬間です。
聞き方を変えるか、こちらから情報を渡す
同じ主題でも、聞き方で精度は大きく変わります。
プレーンテキスト
避けたい例
今、東京で一番人気のあるランチのお店を教えて。
(行列の状況も今朝のトレンドも知りません。閉店した店を勧める可能性があります)
良い例
東京の銀座エリアで、長年愛されている老舗の和食屋を3つ教えて。歴史背景も添えてください。
(老舗の情報は学習データに豊富にあり、カットオフの影響を受けにくい領域です)どうしても最新情報が要るときは二つの手があります。ひとつはブラウジング機能を使い、その場で検索させること。もうひとつは、記事本文を自分でプロンプトに貼り付けて渡すことです。渡してしまえば、AIはそれを知識として扱えます。
試してみてください
使っているAIに「最新の首相は誰ですか」と聞いてみてください。答えが古かった場合、そのAIのカットオフはいつ頃だと推測できるでしょうか。境界の位置を一度自分で測っておくと、以降は「これはAIに聞いてよい」「これは自分で調べる」の判断が速くなります。
復習ミニクイズ
生成AIを使って「昨日発表された新製品のスペック」を調べようとしたところ、AIがもっともらしい嘘(ハルシネーション)を回答しました。この現象の主な原因と、適切な対処法はどれでしょうか?