はじめての生成AI
【業務活用】企画書のたたき台をAIに作成させる
この回でやること
生成AIを使って、企画書のたたき台(ドラフト)を効率的に作成する方法を学びます。具体的なプロンプトの書き方や、AIと対話しながら企画を具体化するステップ、ビジネスフレームワークの活用術を詳しく解説。ゼロからイチを作る苦労を解消しましょう。
- 読む 約 7 分
- 最後にクイズ 1 問
白紙の画面の前で、30 分が過ぎる
企画書で一番時間を食うのは、中身を考える工程ではありません。何から書き始めるかを決める工程と、全体の構成を決める工程です。真っ白な画面を前にした 30 分は、そのまま消えます。
AI にたたき台を出させると、この 2 つがまとめて飛びます。たたき台とは、そのまま提出する完成稿ではなく、直すための出発点のことです。自分の仕事が「作る」から「直す」に変わるだけで、心理的な重さがかなり違います。
背景と制約を渡さないと、平均値が返ってくる
「社内親睦会の企画書を作ってください」と頼むと、どの会社にも当てはまる代わりに、どの会社にも刺さらない案が出ます。AI は情報の足りない部分を、世間の平均値で埋めるからです。
プレーンテキスト
# 目的
社内コミュニケーションの活性化と、新入社員の早期馴染み促進のための親睦会企画案を作成してください。
# 背景・現状
・全社員50名、うち新入社員5名
・リモートワークが増え、他部署との交流が減っている
・予算は一人当たり5,000円以内
# 求める構成
1. 企画タイトル(目を引くもの)
2. 開催の目的と狙い
3. 具体的なイベント内容(オンライン・オフライン併用を想定)
4. 期待される効果
5. 概算スケジュール
# トーン
前向きで、ワクワクするようなビジネス文書のトーンでお願いします。返ってくるのは「企画タイトル → 部署の壁をほどく 90 分、はじめまして交流会」といった案から始まり、以下に目的、イベント内容、期待効果、スケジュールが続く一式です。
効いているのは背景の 3 行です。「リモートで他部署との交流が減っている」と渡したから、部署をまたいで組を作る案が出てきます。予算を書いたから、実現できない案が減ります。あなたの会社の事情を入れるほど、返ってくる案も自分たち向けに尖っていきます。
構成に迷うときは、SWOT 分析や 3C 分析、PREP 法といった名前のあるフレームワークを指定してください。名前を出すだけで、AI はその型に沿って並べ直します。読む側にとっても見慣れた構造になります。
一気に全文を書かせない
最初から完成した企画書を出させようとすると、どの項目も浅くなります。分けて進めます。
まず役割を与えて案を広げます。「あなたは経験豊富なマーケティングコンサルタントです。20 代女性向けの新しいスキンケア製品のコンセプトを 10 個提案してください」。次に、選んだ案で骨子を作らせます。最後に「まず 1 の現状分析を詳しく書いてください」と、章ごとに埋めていきます。
章ごとに書かせると、途中で方向がずれたときに、その章だけ直せます。全文を一度に出させると、直したい一箇所のために全部を出し直すことになります。
プレゼンの構成案を作るとき
スライドで時間を奪うのは、デザインではなく構成が決まっていないことです。企画書と同じく、AI には骨子から出させます。「導入プレゼンの構成案を」とだけ頼むと教科書どおりの構成が返るので、目的(何を承認してほしいか)、聞き手(誰が判断するか)、尺、外せない論点の 4 つを渡します。聞き手を書くと、並びが「言いたい順」から「知りたい順」に組み替わります。
「PREP 法で」と足せば、結論が先頭に来ます。返ってきた構成案は、弱い節を名指しで深掘りし、「コスト意識の高い経営層から出そうな懸念を 5 つと回答案」で反論を先に潰し、最後に「1 枚 1 分で話せる原稿」にします。詰まるのは本編より質疑応答なので、意地悪な聞き手を演じさせると構成の穴も見つかります。
報告書やマニュアルの下書きを作るとき
報告書は、バラバラの事実を並べる順序を決める作業が重い文書です。メモは箇条書きの走り書きのまま渡し、誰向けか、どの見出しで区切るか、どんな調子かの 3 つだけ指定します。見出しを指定しないと、社内の書式に合わせ直す手間が後から出ます。毎週書く週報は、うまくいった依頼文を保存して、メモの部分だけ差し替えます。渡す前に、取引先名、連絡先、金額は「〇〇円」のように伏せてください。骨格作りには支障がありません。
マニュアルも、順番がバラバラの断片のまま渡せます。大きなものは先に目次を確定させてから節ごとに書かせます。読者(新入社員かベテランか)を書かないと、誰にとっても少しずれた文書になります。「初心者が陥りやすいミスとよくある質問を 3 つずつ」と足すと、慣れた人が見落とす注意書きも補われます。
どちらも、出てきた下書きは元のメモと突き合わせて、書いた覚えのない事実が混ざっていないか確かめます。マニュアルではボタン名、締め切り、承認者の役職を必ず実物と照合します。AI は実際の画面を見ていません。
数字は一次ソースに戻る
市場規模や成長率のような数値は、AI がもっともらしい値を作ることがあります。企画書に載せた数字は会議で必ず突っ込まれる場所なので、出典を自分で確かめてから使ってください。
社内の事情も AI は知りません。決裁者が何を嫌うか、過去に似た企画がなぜ落ちたか。この味付けを自分で足して、初めてたたき台が企画書になります。
まずは社内イベントや業務改善の提案のような、小さな企画から試してみてください。白紙の 30 分がなくなるだけで、企画書に対する構えが変わります。