はじめての生成AI
AIへの追加質問のやり方 ── 回答を深掘りする質問の仕方
この回でやること
AIに追加で質問して回答を深掘りするやり方を解説。具体例の求め方や手順の細分化など、1つの質問から情報を引き出す質問の仕方をプロンプト例つきで紹介します。
- 読む 約 7 分
- 最後にクイズ 1 問
1 回で終わらせるから、当たり前の答えで止まる
「本を効率的に読む方法を教えてください」と聞くと、「目次を確認する」「線を引く」「アウトプットする」と返ってきます。正しいのですが、どこかで読んだことのある内容ばかりです。ここで「やはり AI はこの程度か」と画面を閉じてしまう人が、いちばん損をしています。
生成 AI は、同じ会話の中でのやり取りを覚えています。だから 2 通目以降は、前提を説明し直さずに「さっきのあれ」と指せます。この性質を使わずに 1 往復で終わらせるのは、いちばん美味しいところを捨てているのと同じです。
AI の 1 通目は、誰に対しても通用する平均値です。自分の状況に合う答えになるのは 2 通目以降です。専門家に 1 問だけ質問して、返事を聞かずに帰るようなことをしない、というだけの話です。
返ってきた答えの中から、1 語を選んで掘る
深掘りのコツは、次の質問を自分でひねり出さないことです。返ってきた答えの中の言葉を 1 つ選んで、それについて聞き返します。
良い例
プレーンテキスト
いま挙げてくれた「アウトプットする」について、 忙しい会社員が毎日5分でできるやり方を教えてください
名指しした言葉に、状況を一言添えるだけの文です。すると「SNS に 1 行だけ感想を書く」「読んだ直後に 1 分だけ内容を思い出す」といった、実行できる粒度まで下りてきます。ここでさらに「『内容を思い出す』のとき、頭の中で何を考えればいいですか」と掘れば、自分に問いかける 3 つの質問という形にまでなります。
掘る場所の選び方は簡単です。返ってきた項目の中で、いちばん抽象的で、読んでも動けない言葉を選びます。「アウトプットする」「意識する」「工夫する」。この手の言葉は、必ず下に具体が隠れています。
3 手で、一般論が明日の行動に変わりました。やったことは毎回、前の答えから 1 語を拾っただけです。自分で次の質問をひねり出す必要はありません。
「もっと詳しく」では掘れない
うまくいかない聞き方も、はっきりしています。
- 「もっと詳しく」とだけ送る と、どこを厚くすべきか分からず、全体が少し長くなるだけで終わります
- 新しいチャットを開いて聞き直す と、AI は前の会話を覚えていないので、また 1 通目の平均値が返ってきます
もう 1 つ、意外と多いのが、返ってきた答えに納得できないまま黙って別の話題に移ってしまうことです。「そこは違うと思います」「うちの会社ではその前提が成り立ちません」と書けば、AI はその条件を踏まえて考え直します。反論もまた、立派な追加質問です。
どちらも、対象を指していないことが原因です。「3 番目の項目について」「さっき出てきた〇〇について」と、必ず名指ししてから聞いてください。そして深掘りしたいときは、同じ画面の同じ入力欄から送る。この 2 つだけ守れば十分です。
何往復すればいいのかという決まりはありませんが、目安は 3 手です。説明の中に知らない言葉が出てきたら、その場で「いまの〇〇が分かりませんでした」と伝えて構いません。遠慮するほど損をします。
答えが抽象的で動けないときは、例を出させる
「コミュニケーション能力を高めるには」と聞くと、「相手の話をよく聞くことが大切です」と返ってきます。反論のしようがない正論ですが、明日の朝から何をすればいいのかは分かりません。抽象的な言葉は、具体的な場面と結び付いて初めて頭に残ります。そこで「例えばどういうことですか」と、例を出させる追加質問を使います。最初の質問に入れても、返ってきた答えを読んでから足しても構いません。
個数を切ると、2 つ目から面白くなる
例を求めるときは、個数を指定してください。
良い例
プレーンテキスト
いま説明してくれた「相手の話をよく聞く」について、 実際の職場でありそうな場面を3つ挙げて説明してください
1 つだけ求めると、AI はいちばん無難な例を出して終わります。3 つと切ると、典型例を出し切った後に、少し角度の違う例を探しにいきます。じっくり考えたいときは 5 つにしてください。3 つ並ぶと共通点も見えてきて、その共通して出てくる要素が話の本質です。
誰の話なのかを決める
もう一段効くのが、例の登場人物を決めることです。
良い例
プレーンテキスト
事務職でExcel作業が多い人がプログラミングを学ぶと何が変わるか、 実際の業務が楽になる場面を想定して具体例で教えてください
「プログラミングのメリットを教えて」と比べると、毎日 1 時間かかっていた集計をボタン 1 つで終わらせる、のような自分の机の上で想像できる話に変わります。職種、扱っているもの、困っている場面を、自分の状況のまま書いて構いません。書くほど、例は自分の毎日に近づきます。
分からない概念は、知っているものに置き換えてもらう
言葉の説明を読んでも分からないときは、例よりもう一歩踏み込んで、たとえ話を頼みます。
良い例
プレーンテキスト
「API」というIT用語を、中学生にも分かるようにレストランに例えて説明してください
たとえ話は必ずしも正確ではなく、置き換えた時点で細かい部分は落ちます。それでも、まったく分からない状態から「だいたいこういうものだ」という足場を作れる価値のほうが大きく、正確さは足場ができた後で取りに行けます。うまく刺さらなければ、「料理ではなく郵便で例えて」と置き換え先を変えてください。理解できないのは自分の頭の問題ではなく、例え方が合っていないだけであることが大半です。