はじめての生成AI
AIとの会話の基本ルール:「プロンプト」とは何か
同じことを聞いたのに、返ってくる答えが違う
同僚が ChatGPT に相談したら、そのまま資料に使える答えが返ってきた。同じことを自分が聞いたら、教科書のような一般論だった。よくある話ですが、原因は AI の性能差ではありません。送った文章の差です。
AI に送るこの文章をプロンプトと呼びます。質問でも、命令でも、貼り付けた資料でも、入力欄に打ち込んだものはすべてプロンプトです。専用の記法はなく、人に頼みごとをするときと同じ日本語で書けます。
ただし相手は空気を読みません。「いい感じにまとめて」と言われた AI は、誰にとっての「いい感じ」なのかを知らないまま、最大公約数の答えを返します。不十分な入力からは不十分な出力しか出てこないことを、コンピュータの世界では昔から GIGO(Garbage In, Garbage Out)と呼んできました。回答に不満があるとき、まず疑うのは AI の能力ではなくプロンプトの方です。
足りないのは知識ではなく、条件
たとえば「カレーの作り方を教えて」とだけ送ると、AI はスパイスから作る本格レシピを 4 人前で返してくるかもしれません。知識が足りないのではなく、こちらの事情を知らないだけです。
良い例
プレーンテキスト
料理初心者でも30分で作れる、市販のルーを使ったカレーの作り方を教えてください
足したのは「初心者向け」「30 分」「市販のルー」の 3 語だけです。それでも、返ってくるレシピは自分の台所で作れるものに変わります。足したのは知識ではなく条件でした。
条件は 5 か所に分けて探す
何を足せばいいか迷ったら、次の 5 つのうちどれが抜けているかを見ます。毎回すべてを埋める必要はありません。
| 要素 | 何を書くか | 例 |
|---|---|---|
| 指示 | してほしいこと | 要約して、翻訳して |
| 背景 | どんな状況で、誰に向けたものか | 新入社員向けに |
| 入力データ | 処理してほしい文章そのもの | 議事録の本文 |
| 出力形式 | 見た目や分量 | 箇条書きで、300 文字で |
| 役割 | どんな立場で答えてほしいか | プロの編集者として |
この章では、このうち出力形式と役割を 1 つずつ実際に試していきます。今の時点では、指示と背景の 2 つだけ意識できれば十分です。
検索窓のクセを捨てる
長く検索エンジンを使ってきたので、つい「カレー レシピ 簡単」のように単語を並べたくなります。検索エンジンはキーワードに合うページを探す仕組みなので、それで正しいのですが、生成 AI は文章の前後関係を読んで答えを組み立てる仕組みです。単語だけを並べると、その前後関係が消えてしまいます。
良い例
プレーンテキスト
今日は冷蔵庫に鶏肉と玉ねぎしかありません。これで作れる夕食のメニューを3つ提案してください
事情を説明するように話しかけるのが正解です。そして、一度で完璧を狙う必要はありません。返ってきた答えがずれていたら、「もう少し短く」「もっと専門的に」と続けて伝えれば済みます。プロンプトは書き切るものではなく、会話しながら削っていくものです。
一発で当てにいくより、3 回ほどやり取りして近づける方が、結果的に早く着地します。
復習ミニクイズ
あなたが生成AIを使って「新商品の紹介メール」を作成したいとき、レッスンの内容を最もよく活用できているプロンプトはどれでしょうか?