はじめての生成AI
画像生成AI入門:DALL-E、Midjourney、Stable Diffusionの世界
「猫の絵を描いて」で出てくるのは、誰かの猫
画像生成 AI に「猫の絵を描いて」と入力すると、数秒で猫が出てきます。うまい。ただ、頭の中にあった猫とは違います。もう一度頼むと、また別の猫が出てきます。何度やっても、自分のイメージには近づきません。
足りないのは絵心ではなく、言葉です。画像生成 AI は、書かれていないことを勝手に決めます。時間帯も、画風も、光の向きも、カメラの位置も、指定しなければ AI 任せになります。だから「思ったのと違う」が起き続けますし、うまくいった一枚を再現することもできません。
言い換えると、画像生成 AI の練習は絵の練習ではなく、頭の中の絵を言葉にする練習です。ここさえ押さえておけば、どのツールを使うことになっても中身は変わりません。
言葉に足す 4 つのこと
指定するのは、次の 4 つです。この 4 点がそろうと、同じような画像を何度でも出せるようになります。
- 主体 は何を描くか。猫、宇宙飛行士、街並み
- 状況 はどこで何をしているか。森の中で読書、夕暮れの海辺を走る
- 画風 はどんな絵か。油絵風、アニメ調、鉛筆画、写真のような質感
- 光と構図 は光の当たり方と視点。逆光、上から見下ろす、映画のような照明
さきほどの依頼は、こう書き直せます。
プレーンテキスト
夕暮れのカフェの窓辺で、チェスをしている三毛猫。
温かみのあるアニメ調で、柔らかな黄金色の光が差し込んでいる。出てきた画像が惜しいときは、全部書き直さないでください。変えたい一点だけを足す。 「光をもっと強く」「視点を低く」と一つずつ動かすと、どの言葉がどこに効くのかが分かってきます。この積み重ねが、自分用のプロンプトの型になっていきます。
作れることと、公開してよいことは別
ここからは慎重に扱ってほしい話です。画像生成 AI をめぐる権利の扱いは、いまも各国で議論が続いている領域で、はっきり決着していない論点が多く残っています。
そのうえで、実務では次の 3 点を確認してから使ってください。
まず、商用利用が認められているかどうかは、ツールごとに条件が違います。無料プランでは私的な利用に限られる、生成物の権利の扱いが特別に定められている、といった規定があるので、仕事で使う前に利用規約を読んでください。
次に、特定の作家や作品の画風を強く指名して真似させる使い方は、法律上の判断が分かれる以前に、相手への配慮として避けておくのが無難です。実在の人物、とくに公人を、実際にはなかった場面に描くのも同じです。
最後に、暴力的な内容や性的な内容の生成は、ほとんどのサービスで規約上禁じられています。技術的に出力できたとしても、それは許可されているという意味にはなりません。
まずは、いま使っているチャットで試す
新しいツールを探すところから始める必要はありません。ふだん使っているチャット型の AI に画像生成の機能が付いていれば、日本語のまま「〜の絵を描いて」と話しかけるだけで始められます。
そこで 4 つの要素を足す練習をしてから、もっと細かく作り込みたい、業務で権利の扱いをはっきりさせたい、といった必要が出てきた段階で、専用のツールを探せば十分です。サービスの顔ぶれも料金も入れ替わりが激しいので、名前を覚えることにはあまり意味がありません。まずは身近なものを一つ題材にして、言葉が形になる感覚を確かめてみてください。
復習ミニクイズ
画像生成AIを活用したいAさんは、「自分のPCにインストールして、世界中の有志が公開している『モデル』を追加したり、特定のキャラクターを固定して描くなどの高度なカスタマイズを楽しみたい」と考えています。この目的に最も適したツールはどれですか?