はじめての生成AI
生成AIを使った詐欺・フィッシングに注意する
「日本語が変だから偽物」が、通じなくなった
これまでの詐欺メールには、分かりやすい目印がありました。翻訳ソフトを通したような不自然な言い回し、崩れたレイアウト、微妙にずれた敬語。注意深く読めば気づけたのは、書き手が日本語を書き慣れていなかったからです。
生成 AI は、その目印を消してしまいました。いまは大手銀行や有名なネットサービスの正規の通知と見分けのつかない文面が、数秒で作れます。しかも受け取る側の不安を的確に突く言い回しまで整っています。文章の質で本物かどうかを判定するやり方は、もう当てになりません。
変えるべきなのは、判定の場所です。文面ではなく、送信元と URL と本人確認を、決まった手順で見る。 ここから先はその手順の話です。
声も顔も、本人である証拠にならない
もう一つ変わったのが、音声と映像です。数秒ぶんの声があれば、その人そっくりの声で好きな内容を話させられる、という技術が広く出回っています。家族を装った電話も、上司を装った送金の指示も、以前よりずっと信じてしまいやすくなったと言われています。
「最新の AI ツールが無料で使える」といった広告から、悪質なブラウザ拡張機能やアプリを入れさせる手口もあります。入れてしまうと、ブラウザに保存したパスワードやカード情報が抜き取られることがあります。AI に関わるツールは、公式サイトか公式のアプリストアからだけ入れてください。
見抜こうとせず、別の道で確かめる
文面や声で判定できない以上、防ぎ方は「疑う目を鍛える」ことではなく、確認の経路を分けることになります。
- 届いたメールの中のリンクは踏まず、ブックマークか自分で打った URL から公式サイトに入って、同じ通知が出ているか見る
- 送信元アドレスを表示名ではなく実体で確認する。表示名は本物の企業名でも、アドレスがまったく無関係なことがあります
- 金銭やパスワードの話が出たら、その連絡とは別の手段で本人に確かめる。かかってきた番号にかけ直すのではなく、自分が前から知っている番号にかけます
- 二段階認証を設定しておく。パスワードを抜かれても、ここで止まります
家族となら、電話で使う合言葉を決めておくのも有効です。技術がどれだけ進んでも、二人しか知らない事実までは合成できません。仕事でも同じで、送金や振込先の変更をメールだけで完結させない運用にしておくと、なりすましは通りにくくなります。
急かされたら、そこが山場
手口が変わっても、変わらない共通点が一つあります。急がせることです。「今すぐ確認しないとアカウントが停止されます」「今日中に振り込まないと間に合いません」。焦らせるのは、いま挙げた確認をさせないためです。
だから、覚えることは多くありません。急かされたと感じたら、その場では何もしない。お茶を一杯いれてから、公式サイトなり本人なりに自分から連絡する。この一呼吸だけで、AI で精巧になった文面のほとんどは無力になります。
不安なときは、警察庁や消費生活センターが出している注意喚起も参考になります。いま何が流行っているかを月に一度眺めておくだけでも、初めて見る手口に不意打ちされる確率は下がります。すでに送ってしまった、入れてしまったという場合も、黙っているのがいちばん被害を広げます。カード会社やサービスの窓口、勤務先の情報システム部門に、その日のうちに連絡してください。
復習ミニクイズ
家族や知人から「急ぎで送金してほしい」という電話やビデオ通話があった際、生成AI技術(ディープフェイク)を悪用した詐欺である可能性を見抜くために、最も有効な対策はどれですか?