はじめての生成AI
【業務活用】文章の校正・推敲をAIに依頼する
この回でやること
生成AIを使って文章の校正・推敲を効率化する方法を学びます。誤字脱字のチェックから、文脈に応じた表現のブラッシュアップまで、ビジネスで即活用できるプロンプトのコツを具体例とともに解説します。
- 読む 約 7 分
- 最後にクイズ 1 問
自分の文章の誤字は、なぜか見えない
書き上げた文章を三度読み返して、送信した直後に誤字を見つける。この経験は誰にでもあります。人は自分の書いた文章を読むとき、文字を追っているようで、頭の中にある「書いたつもりの内容」を再生しています。だから、そこに無いはずの文字まで見えてしまいます。
この弱点は、何度読み返しても消えません。必要なのは、内容を知らない誰かに読んでもらうことです。生成 AI は、初めてその文章を読む人として、書かれている文字だけを見てくれます。
「直して」だと、どこを直されたか分からない
そのまま「この文章を校正して」と頼むと、AI はきれいに書き直した完成品を返してきます。一見便利ですが、これは困ります。自分の文章のどこが悪かったのかが分からないので、次に書くときも同じ間違いを繰り返すからです。
依頼するときは、見てほしい観点を先に並べ、修正理由を添えさせます。観点を挙げるほど、AI の指摘は具体的になります。
プレーンテキスト
以下の文章を校正してください。次の観点で問題があれば指摘してください。
- 誤字脱字
- 表記ゆれ(「お問合せ」と「お問い合わせ」のような不統一)
- 文末の不統一(です・ます調と、だ・である調の混在)
- 冗長な表現(もっと短く言い換えられる箇所)
- 主語と述語のねじれ
修正後の全文ではなく、「元の表現 → 修正案 → 修正理由」の 3 点を
箇条書きで挙げてください。
(ここに文章を貼り付ける)社内に表記ルールがあるなら、それも一緒に渡してください。「数字は半角」「サービス名は正式名称で書く」といった決まりを添えるだけで、AI はその基準で見てくれます。一般的な日本語として正しいかどうかと、自社のルールに合っているかどうかは別の話です。
修正理由を読むことが、実はこの作業のいちばんの収穫です。「主語が途中で入れ替わっている」と何度か指摘されると、次から自分で気づけるようになります。AI を使うほど、AI を使わなくても書けるようになっていきます。
長い文章をまとめて渡すと、後半の指摘が急に雑になることがあります。数千字を超えるなら、章や節で区切って渡してください。一度に見る量が減るほど、指摘は細かくなります。
敬語をチェックするとき
敬語には「正しいか」と「その相手に適切か」の 2 つの軸があります。文法的に正しくても、社内の先輩に使うと他人行儀な表現はあります。だから依頼には、相手との関係と状況を書きます。「長年付き合いのある取引先の役員に、納期延期をお願いする。堅すぎず親近感も残して」のように渡せば、クッション言葉をどこに入れるかまで状況に合わせて判断してくれます。
いちばん多い誤りは二重敬語です。「おっしゃられました」は尊敬語に「られる」を重ねていて、「伺わせていただきます」は謙譲語に「させていただく」を重ねています。この 2 つを疑うだけで大半は防げるので、依頼文に「二重敬語の有無もチェックして」と一行足します。「ご苦労様です」を目上に使わず「お疲れ様です」にする、「役不足」と「力不足」を取り違えない、といった誤用も一緒に拾わせられます。
修正案が返ってきたら「なぜ元の表現は不適切なのか」を聞き返します。「もう少し柔らかい表現で 3 パターン」と並べさせて選ぶのも有効です。ただし丁寧にしすぎて慇懃無礼に響く案も混ざるので、自分が受け取る側だったらどう感じるかを想像してから送ります。
校正と推敲は、別の依頼にする
ここで混ざりやすいのが、二つの違う作業です。校正は誤字脱字や文法の誤りを正す作業で、正解と不正解があります。推敲は表現や構成をより良くする作業で、正解はなく、好みと目的の問題になります。
この二つを一度に頼むと、AI は誤字を直しながら文章全体を書き換えてしまい、どこが間違いでどこが好みの提案なのか区別がつかなくなります。
先に校正だけを済ませ、誤りが無い状態にしてから、改めて推敲を頼んでください。推敲のときは、目指す方向を具体的に伝えます。「もっと短く」「専門用語を使わずに」「同じ内容で 3 パターン」といった依頼なら、出てきた案を並べて選べます。
最後に、AI が返した文章の中身は必ず自分で確かめてください。文章を整える過程で、書いていない事実や、意味が変わった一文が紛れ込むことがあります。日本語としての正しさは AI に任せられますが、内容が事実かどうかは書いた本人にしか判断できません。