はじめての生成AI
ChatGPTの回答が的外れなときの対処法
この回でやること
ChatGPTの回答が意図とズレる原因と対策を徹底解説。コンテキストの共有、役割設定、具体例の提示など、プロンプトエンジニアリングの基本テクニックを駆使して、AIから精度の高い回答を引き出す方法を学びます。
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- 最後にクイズ 1 問
「今日のお昼、何がいいかな」と聞いたら、和食からコンビニ飯まで 10 個並べた一般論が返ってきた。求めていたのは、あと 15 分しかない今日の昼に、会社の周りで食べられるものだったのに。
ChatGPT の回答が的外れなときは、AI の能力が足りないのではありません。ほぼすべて、判断に必要な情報がこちらから渡っていないだけです。AI は空気を読めないので、私たちが無意識に省いた前提を埋められません。
足りないのは背景の 3 行
的外れを直す一番効くやり方は、質問文の前に自分の状況を 3 行足すことです。「ダイエットのメニューを教えて」では、AI は誰に向けて何を答えればいいのか決められません。
避けたい例
プレーンテキスト
ダイエットのメニューを教えて
足りている例
プレーンテキスト
30代男性、デスクワーク中心。1ヶ月で2kg落としたい。 自炊にかけられるのは1食20分まで。 この条件で、1週間分の夕食メニューを提案してください。
年齢、目的、制約。この 3 つが入っただけで、返ってくる内容の具体性がまるで変わります。何を書けばいいか迷ったら、「もし人間の同僚に頼むなら、何を伝えないと作業を始められないか」を考えてください。それがそのまま足すべき情報です。
仕事の依頼でも同じです。「提案書を作って」ではなく、「相手は初めて会う中小企業の経営者」「予算は月 10 万円まで」「先方が気にしているのは導入の手間」と足す。曖昧な指示から出てくる一般論は、AI のせいではなく、こちらが判断材料を渡していない結果です。
立場を先に決めてもらう
背景を渡してもまだズレるときは、AI に立場を与えます。「あなたはプロのパーソナルトレーナーです」「あなたは 10 年目のコピーライターです」と一行足すだけで、AI が参照する知識の範囲が絞られ、素人向けの当たり障りない回答から抜け出します。
立場を決めると、言葉づかいや優先順位も一緒に決まります。同じ「メニューを提案して」でも、栄養士として答えるのか、料理研究家として答えるのかで、出てくるものは別物になります。誰に答えてほしいかが自分の中で決まっているなら、それを書かない理由はありません。
同じ理由で、出力の形も指定しておくと効きます。「箇条書きで 3 つ」「300 文字以内」「表にして」と決めると、長いだけで中身の薄い回答が減り、比べたいときにも読みやすくなります。
それでも AI が「わかりません」と黙ったとき
的外れな答えではなく、返事そのものが止まることもあります。理由は大きく 2 つで、知らないから答えられないか、答えないように作られているかです。どちらなのかを見分けると、次の一手が決まります。
知らないなら、情報のほうを渡します。 AI には学習データの締め切り(ナレッジカットオフ)があり、その日以降に起きたことは知る手段がありません。昨日のニュースや発表されたばかりの製品について聞いても、持っていないものは出てきません。
質問を言い換えても意味がないので、記事や資料の本文をそのまま貼り付け、その下に依頼を書きます。
プレーンテキスト
(記事の本文を貼り付け) 上の記事を、この分野の知識がない人向けに300文字で要約してください。
AI は、目の前に置かれた文章を要約したり比べたりする力は落ちません。手元に資料がない場合は、入力欄の検索ボタン(地球のアイコン)を押して検索モードをオンにするか、「最新情報を調べたうえで答えてください」と明示します。検索させたときも、出典として挙がったページを一度開いて確かめる癖をつけておくと安心です。
断られたときは、角度を変えます。 個人を特定する情報、違法行為の手順、医療の診断や法律上の確定判断などは、意図的に回答を避ける設計です。開発元があらかじめ引いた線なので、何度聞き直しても結果は変わりません。ただ、断定を求める形をやめて、考える材料を並べてもらう形にすると、必要な情報が得られることは多いです。
- 「この症状は何の病気ですか」ではなく、「病院に行くとき、医師に伝えるべき情報を整理してください」
- 「10 年後の AI はどうなりますか」ではなく、「現在の技術の延長で考えられるシナリオを 3 つ挙げてください」
黙られたときは、単語だけで送っていないか、社内だけの略語や造語を使っていないかも見てください。「働き方改革について」ではなく「働き方改革の残業規制が、中小企業に与えた影響を 3 つ挙げて」まで書くと、AI は答えの形を決められます。
ズレたら、AI に足りないものを聞く
一度で決まらなくても、最初からやり直す必要はありません。ズレた回答が返ってきたときの立て直し方は次の通りです。
- 部分だけ直させる。「3 つ目の提案を、自炊なしで済む案に差し替えてください」のように、範囲を切って頼みます
- AI に逆質問させる。「この依頼に正確に答えるために、足りない情報はありますか」と聞くと、AI 側から必要な条件を挙げてくれます。それに答えれば、次の回答は跳ね上がります
的外れな回答は失敗ではなく、こちらの説明が足りなかったという合図です。追加で 3 行渡すだけで済むことがほとんどなので、会話を捨てずに続けてみてください。