はじめての生成AI
【業務活用】クレーム対応メールの下書きをAIに任せる
返信を書き始めるまでに、半日が過ぎる
クレームのメールを受け取ると、まず気持ちが乱れます。反論したくなったり、逆に何を書いても火に油を注ぐ気がして手が止まったりします。ところがクレーム対応で最も効くのは、うまい文章ではなく速い初動です。返信が遅れるほど、遅れたこと自体が新しい不満になります。
AI は感情を持たないので、渡された事実だけを見て冷静な文面を出します。動揺している側が下書きから解放されるだけで、初動を 10 分以内に収められます。
非がどこまであるかを、先に決めてから渡す
役割・背景・目的・制約という渡し方は前回と同じですが、クレームでは 1 つだけ足すものがあります。「こちらの非がどこまであるか」です。ここを空にしたまま頼むと、AI は勝手にどちらかへ振り切った文章を書きます。全面的に謝ってしまったり、逆に妙に他人事だったりします。
渡すときは、次の 3 つのどれかを明示してください。
- 全面的にこちらの非がある — 謝罪を主にして、原因と対策まで書かせる
- 一部にこちらの非がある — 認める範囲を限定して書かせる
- 調査中で分からない — お詫びを「ご不便をおかけしていること」に限定させる
プレーンテキスト
あなたはECサイトの運営責任者です。注文商品(注文番号 A123)の到着が配送トラブルで3日遅延します。以下の条件でお詫びメールを作成してください。
・非の所在 → 全面的に当社にある
・遅延の理由 → 配送センターでのシステム障害
・現在の状況 → すでに発送済みで、到着は明後日の予定
・対応 → お詫びとして次回使える500円分のクーポンを進呈する
・トーン → 深く反省しており、誠意が伝わるように返ってくるのは「この度は、ご注文いただきました商品のお届けが遅れておりますこと、深くお詫び申し上げます。原因は弊社配送センターにおけるシステム障害によるもので」という書き出しで、以下に現状と対応、再度のお詫びが続きます。
調査中の段階で「全面的に非がある」と渡してしまうと、後から事実が違っていても取り消せません。ここだけは自分で判断してから渡してください。
クレームの種類によって、重心も変わります。製品の初期不良なら謝罪より先に交換の手順を示すよう指示します。接客態度への苦情なら、原因の説明を書かせると言い訳に読まれるので、「経緯の説明は入れず、謝罪と再発防止に絞って」と足します。この一行があるかどうかで、同じ事実からまったく違う文面が出てきます。
補償の条件は、AI に決めさせない
クレーム対応でいちばん危ないのは、AI が補償を先回りして書くことです。「全額返金いたします」「次回無償で対応いたします」という一文は、送った時点で相手にとって約束になります。金額、期限、手続きの 3 点は、自社の規定にあるものかどうかを必ず確かめてください。
もう一つ、AI の文章は丁寧すぎて他人行儀に読めることがあります。相手との取引の長さや、これまでの経緯に触れた一言を自分の言葉で足してください。相手が怒っているのは多くの場合、起きた事実そのものより、雑に扱われたと感じたことに対してです。
AI の下書きは 80 点です。残りの 20 点は、事実の確認と、相手との関係に合わせた温度の調整です。
復習ミニクイズ
生成AIを使ってクレーム対応メールの作成を効率化する際、セキュリティと品質を両立させるための「正しい活用方法」はどれでしょうか?