はじめての生成AI
【業務活用】ビジネスメールの文面作成を自動化する方法
この回でやること
ビジネスメールの作成時間を劇的に短縮!生成AI(ChatGPT等)を使って、マナーを守りつつ自然で丁寧なメール文面を自動作成する実践的な方法を解説。具体的なプロンプト例や注意点も紹介します。
- 読む 約 7 分
- 最後にクイズ 1 問
書き出しの一行に、15 分かかる
日々の業務で、メール 1 通に 15 分、30 分とかかってしまうことがあります。件名を考え、失礼のない敬語を選び、構成を整える。なかでも手が止まるのは書き出しです。
生成 AI は、この「ゼロから文章を組み立てる」部分を肩代わりできます。AI が下書きを出し、人が事実を確認して微調整する。この分担にするだけで、1 通あたりの時間は半分以下になります。
4 つを渡すと、下書きが返ってくる
「打ち合わせの依頼メールを書いてください」とだけ送ると、誰に何のために送るのかが分からないので、当たり障りのない文章が返ってきます。次の 4 つを渡すと結果が変わります。
- 役割 — 「あなたは優秀な営業事務です」と立場を指定する
- 背景 — 誰に、どんな状況で送るのかを説明する
- 目的 — 最終的に相手にどうしてほしいのかを書く
- 制約 — 「簡潔に」「丁寧に」など、形式や温度感を指定する
実際のプロンプトは次のようになります。
プレーンテキスト
あなたは優秀な営業事務です。以下の条件で、取引先の担当者へ打ち合わせ依頼のメールを作成してください。
【条件】
・宛先 → 株式会社サンプル 営業部 佐藤様
・件名 → 新プロジェクトに関するキックオフミーティングのご相談
・内容 → プロジェクトの詳細説明とスケジュールの確認を行いたい
・候補日 → 4月10日 14時〜、4月11日 10時〜、4月12日 15時〜
・トーン → 丁寧かつ意欲的に返ってくるのは「平素より大変お世話になっております。標記の件につきまして、キックオフミーティングのお時間を頂戴できないでしょうか」といった書き出しで、以下に候補日と結びまで続きます。あとは日程が自分の予定と合っているかを見るだけで済みます。
この 4 つは、この先どんな種類のメールを書かせるときも土台になります。
同じ渡し方で、メールの用途は 3 つに広がります。1 つ目は今のようにゼロから書かせる使い方。2 つ目は届いた長文への返信で、「承諾の返信を書いて。ただしこの条件だけは修正してほしい」と伝えると、角の立たない断り方まで組み立ててくれます。3 つ目は自分で書いた文章の言い換えで、「もう少し柔らかく」「もっと硬い印象に」と頼むだけで温度が変わります。
部下に仕事を頼むときと同じです。「よろしく」では動けませんが、背景と締め切りと形式を伝えれば動けます。
お詫び・クレーム対応のとき
謝罪やクレームへの返信は、書く内容より書き始めるまでが重い作業です。遅れること自体が次の不満になるので、AI に骨格を数十秒で出させ、自分は事実の確認と最後の一言に集中します。4 つの渡し方は同じで、足すものは 2 つあります。
1 つ目は「こちらの非がどこまであるか」です。空のまま頼むと、AI は全面謝罪か他人事のどちらかへ勝手に振り切ります。「全面的にこちらの非」「一部にこちらの非」「調査中」のどれかを、自分で決めて明示してください。調査中の段階で全面謝罪と渡すと、後から事実が違っても取り消せません。
2 つ目は「すでに打った手」です。「発送済みで明後日に到着予定」「正しい資料を添付済み」と渡せば、謝罪と挽回策がひとつながりの文面になります。相手が知りたいのは反省の深さより、これからどうなるかです。
重心は場面で変わります。初期不良なら謝罪より先に交換手順を、接客への苦情なら経緯の説明を省いて謝罪と再発防止に絞るよう一行足します。納期の遅延なら新しい納期を、急なキャンセルなら次の候補日を自分から示させます。
補償の一文だけは AI に決めさせないでください。「全額返金いたします」は、送った時点で約束になります。金額、期限、手続きの 3 点を、自社の規定と照らしてから送ります。
会議の招集・日程調整のとき
案内メールは書く内容が決まっているので、埋める箱を先に固定します。目的、日時、場所、アジェンダ、備考の 5 つを箇条書きで渡せば、あいさつも結びも AI が組み立てます。人が書くと抜けやすい備考と回答期限も、箱があれば残ります。社外向けなら「非常に丁寧なトーンで」と一行足します。
何を話す会議か自分でも整理できていないときは、文面より先に「60 分で具体的なアクションプランまで決められるアジェンダを、時間配分つきで」と頼みます。
日程調整は、形式を先に指定します。日付の書き方、1 枠の長さ、いくつ出すかの 3 つです。複数人の空き時間は、共通する枠を洗い出す作業なので AI が得意です。「共通枠が無ければ、30 分に短縮する案と別日の案も出して」と足しておくと、行き詰まったときの次の手まで返ってきます。
ここで危ないのは日付と曜日です。AI は存在しない日付や、曜日の取り違えを平気で書きます。文面の言い回しは崩れていても実害がありませんが、日時だけは違います。送る前に日付、曜日、会議室名を自分のカレンダーと突き合わせてください。カレンダーの画面を貼るときは、他人の氏名や社外秘の会議名を「B さん」のように置き換えてから渡します。
そのまま送ってはいけない
便利ですが、出てきた文章をそのまま送るのは危険です。
まず、無料のサービスでは入力した内容が学習に使われることがあります。取引先名や案件名は [A 社] [〇〇案件] のように伏せ字にしてから渡してください。
次に、AI は事実と違うことを自信ありげに書きます。日付、金額、担当者名は必ず自分で確かめます。文面がどれだけ整っていても、責任を持つのは送信者であるあなたです。
最後に、AI の文章は整いすぎていて冷たく読めることがあります。相手とのこれまでのやりとりを踏まえた一言を冒頭か末尾に添えるだけで、印象は大きく変わります。書き出しの 15 分を AI に渡し、空いた時間をこの一言に使う。それが一番効く配分です。