はじめての生成AI
会社で生成AIを使う際のガイドラインと注意点
良かれと思って使ったのに、始末書になる
会議の議事録を AI に要約させて、10 分で仕上げた。上司に見せたら「それ、どこに貼ったの」と聞かれて言葉に詰まる。会社の許可を取らずに個人の判断で生成 AI を業務に使っている状態は「シャドー AI」と呼ばれ、多くの企業が対策を進めています。
厄介なのは、事故が起きたときに責任の所在が個人に向きやすいことです。会社としてルールがなければ、「使ってよいと言われていない道具を勝手に使った」という整理になりかねません。ガイドラインは利用を禁じるためではなく、どこまでなら安心して攻めてよいかの線を引くためにあります。
まず、自分の会社のルールを探す
最初にやることは、AI の勉強ではなく規程の確認です。順番は次のとおりです。
- 社内ポータルや Wiki を「生成 AI」「ChatGPT」で検索する
- 見つからなければ、就業規則の情報管理・秘密保持の項を読む
- それでも分からなければ、上司か情報システム部門に聞く
規則の中身は会社ごとにまったく違います。個人アカウントの業務利用を全面的に禁じている会社もあれば、法人契約のアカウントだけ許可している会社もあります。業種によっては、顧客情報の外部送信そのものが契約や監督官庁の指針で縛られていることもあります。ここで説明する内容は一般的な考え方であって、判断の正解は勤務先の規程のほうにあります。
もし本当にルールがない会社なら、当面は「顧客と社外秘は入れない」「成果物は人が確認してから出す」の 2 つを自分のルールにしておくと、後から規程ができたときにも大きくはずれません。
出したものの責任は、人に残る
入力の話ばかりされがちですが、出力の扱いのほうが事故になりやすい面があります。生成 AI は、もっともらしい嘘をそのままの口調で書きます。たとえば提案書の下書きを頼むと、それらしい市場規模の数字と調査会社の名前が添えられて返ってくることがあります。どちらも実在しないのに、文章としては完璧に見えます。これを確認せずに社外へ送れば、訂正のコストは AI が払ってくれません。
著作権についても、生成物が既存の作品に似ていた場合の扱いは事案ごとの判断になり、専門家の間でも議論が続いている領域です。少なくとも「特定の作家風に書いて」「あのキャラクターを模して」といった指示は、そのまま公開する用途では避けておくのが無難とされています。
そこで、AI の出力を成果物にする前に人が読んで直す工程を必ず挟みます。これを Human-in-the-Loop と呼びます。AI は下書きを書く担当で、最終責任を負うのは名前を出して提出するあなたです。
明日からできる 4 つの手
- 会社が法人向けのアカウントを用意していないか確認する
- 入力の前に固有名詞を「A 社」「B 氏」に置き換える癖を付ける
- 外部に出す文章は、数字と社名だけでも自分で裏を取る
- AI を使って作った資料には、その旨と自分が確認した旨を添える
窮屈に見えるかもしれませんが、この 4 つを守っている人は、社内で新しい道具を試すときにいちばん自由に動けます。「ちゃんと確認して使っている人」という評価が先にあると、次の提案が通りやすくなるからです。
復習ミニクイズ
会社で取引先への提案書の作成を生成AIに手伝ってもらう際、リスクを抑えつつ最も適切に活用する方法はどれでしょうか?