日本の企業のコーディングテストの形と対策

コーディング面接問題と地続き

LINE (現 LINEヤフー)、メルカリ、Preferred Networks、ゆめみ、Amazon など、企業が自分で公開したコーディングテストの形 (時間、問題の数、見られる所、AI の決まり) を出典つきでまとめ、このサイトの 83 問のどれで同じ型を練習できるかを並べました。

文 ゆめさくコード編集部 ・ 公開 2026年10月30日 ・ 更新 2026年10月30日

先に答え

日本の企業のコーディングテストは、大きく 3 つの形に分かれます。

  • オンラインの試験で、入力を受け取って答えを出力するプログラムを書く形。 LINE (現 LINEヤフー) は新卒の選考で、メルカリはエンジニアの選考で、この形を自分で公開しています。時間は 1 時間から 2 時間ほどです
  • 仕様を読んで、ある程度の量のコードを書く課題。 LINE の実装問題 (2〜3 時間)、メルカリの技術課題、ゆめみの持ち帰りの課題がこの形で、動くかどうかに加えて読みやすさも見られます
  • 面接官の前でコードを書き、考え方を話す形。 Amazon は面接の準備の案内で、疑似コードではなく文法の正しいコードを書くよう求め、IDE なしで書くことに慣れておくよう勧めています

どの形でも、まず見られるのは「決められた時間で、正しく動く物を出せるか」です。そのうえで、計算量 (データが増えたときの遅さ) と、他の人が読めるコードかが差になります。下の企業の札は、どれも企業が自分で公開した文書から、取った日を付けて書いています。

対策は次の順で進めると、むだがありません。詳しくは「対策の順番」の節に書いています。

  1. 応募先の形 (時間、言語、AI の決まり) を案内で確かめる
  2. 配列とハッシュ、二分探索、幅優先探索、動的計画法などの基本の型を、型ごとに 2〜3 問解く
  3. 1 問 30〜40 分で時間を計り、動く物を出す練習をする
  4. 計算量を 1 文で言えるようにし、読みやすく書き直す

コーディングテストとは

コーディングテストは、採用の選考で、実際にプログラムを書かせて力を見る試験です。書類と面接だけでは分かりにくい「手を動かして解けるか」を、提出されたコードで確かめます。

多くは、問題文と入力と出力の例が示され、書いたコードを提出すると、用意されたテストの入力で自動で採点されます。LINE は、画面に見えるテストのほかに、採点のときだけ回す隠れたテストがあり、遅いコードはそこで時間切れになることがあると説明しています。見える例が通っても、満点とは限りません。

3 つの形の違い

それぞれの形で、時間と見られる所が違います。

公開されている選考の流れ (LINEヤフーとマネーフォワードの新卒、Sansan のインターン) では、どれもコーディングテストが面接より前に置かれています。ここを通らないと面接に進めません。LINEヤフーは、コーディングテストに一度落ちても次の期間にもう一度受けられる「Re-Challenge 制度」を公開しています (2024 年 11 月の採用 note)。

オンラインの試験 (入力を受けて出力する)

時間の目安
1〜2 時間
見られる所
正しさ、速さ (計算量)、端の入力
公開している例
LINE のアルゴリズム問題、メルカリのコーディングテスト

仕様を読んで作る課題

時間の目安
2〜3 時間から数日
見られる所
仕様どおりか、読みやすさ、設計
公開している例
LINE の実装問題、メルカリの技術課題、ゆめみの課題

面接の場で書く

時間の目安
1 回 55 分ほど (Amazon)
見られる所
文法の正しいコード、考え方の説明
公開している例
Amazon の SDE の面接

企業が公開している出題の形

ここに並べたのは、企業が自分のブログ、採用資料、GitHub で公開している物と、求人サイトに載った企業の募集要項だけです。募集要項の札には「募集要項」と印を付けています。どの企業も、出題の中身は年や職種で変わります。応募する年の案内を必ず読んでください。

LINE (現 LINEヤフー)

企業が公開

新卒とインターンの選考 (開発コース)

形

  • エントリーのあとに、Web 上のオンラインの試験。面接はそのあと
  • アルゴリズム問題は、指定された入出力のプログラムを主に 60〜120 分で作る
  • 2021 年の新卒向けから、アルゴリズム問題 1 問と、仕様を読んで作る実装問題 1 問の計 2 問に。実装問題は 2〜3 時間

見られる所と決まり

  • 採点のときだけ回す隠れたテストがあり、計算量の多いコードは時間切れになることがある
  • 読みやすさ、他の人が理解しやすい設計かも評価する
  • 一度落ちても次の期間に受け直せる Re-Challenge 制度がある (2024 年 11 月の採用 note)

メルカリ

企業が公開

エンジニアの選考 (書類選考のあと)

形

  • コーディングテストか技術課題のどちらか。人によって技術課題に替わる
  • コーディングテストは約 1 時間、オンラインで好きな時間に受ける (案内から 1 週間)
  • コンピュータサイエンスや数学の問題で、入力値から想定される値を出力するプログラムを書く

見られる所と決まり

  • 使える言語は Go、Python、Kotlin、Swift、Java、JavaScript、C、C++、C#、Ruby、Scala など
  • 技術課題は、仕様を満たすか、分かりやすいコードか、不要なコードが無いかを、一緒に働く想定のエンジニアが見る

Preferred Networks

企業が公開

夏のインターンの選考

形

  • 2025 年は、Track で受けるコーディング課題 3 問とテーマ別の課題。コーディング課題に制限時間は無く、両方で最大 2 日の想定
  • 2011 年からの過去の課題を GitHub で公開している (2016 年までは前身の Preferred Infrastructure の課題も含む。回文、しりとり、グラフの探索、2025 年は浮動小数点数のビットの処理など)

見られる所と決まり

  • 2025 年は、手元で動かす物も含めて大規模言語モデル (LLM) の利用を禁止
  • 課題の中身を公開したり、他の人と相談したりすることも禁止

ゆめみ

企業が公開

iOS エンジニアの選考

形

  • 用意された GitHub のリポジトリを検索するアプリを、課題の Issue に沿って直す持ち帰りの課題。課題は初級、中級、ボーナスに分かれる

見られる所と決まり

  • AI のコーディング支援は普段の開発と同じく自由に使ってよい。評価の基準は使っても使わなくても同じ
  • 終わったら AI の使い方をまとめた AI_USAGE.md を出し、コード、Git の履歴、面接での説明と照らし合わせる

Amazon

企業が公開

SDE II (ソフトウェア開発エンジニア) の選考。amazon.jobs の英語の案内で、日本の拠点に限った物ではない

形

  • オンラインの試験は、技術の問題 2 問を 90 分。続けてシステム設計 20 分と、行動の決まりの選択式 8 分
  • そのあと、55 分の面接を 4 回

見られる所と決まり

  • 準備の案内で、疑似コードではなく文法の正しいコードを書くよう求めている
  • IDE なしで書くことに慣れておくよう、Livecode での練習を勧めている

Sansan

募集要項

Sansan Summer Internship 2025

形

  • 一次選考がスキルシートとコーディングテスト、二次選考がエンジニアの面接

見られる所と決まり

  • 出題の中身も、試験の道具の名前も、募集要項には書かれていない。募集は終わっている
  • 別に、新卒の採用での Track Test の導入事例として、Track の頁に名前が載っている

企業の名前の付いた AtCoder のコンテスト (選考ではない)

採用の広報として、企業が AtCoder のコンテストを主催することがあります。選考の試験ではありませんが、入力を読んで出力する形の練習の場として、誰でも参加できます。

  • キーエンス

    KEYENCE Programming Contest 2024 (AtCoder Beginner Contest 374)。キーエンスが主催する個人戦のオンラインのコンテスト。頁に新卒採用の案内が載る

  • トヨタ自動車

    トヨタ自動車プログラミングコンテスト2023#1 (AtCoder Beginner Contest 298)。コンテストの時間は 100 分

Track Test の導入事例として公開されている企業

試験の道具 Track Test を作る会社が、導入事例として企業の名前を出している物です。企業が自分で出題を公開した物ではないので、どんな問題が出るかまでは分かりません。

  • DeNA Games Tokyo中途の採用
  • フューチャー新卒の採用
  • デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー中途の採用
  • Sansan新卒の採用
  • レアゾン・ホールディングス中途の採用

AI を使ってよいかは企業で正反対

生成 AI の扱いは、企業ごとに決まりがまったく違います。同じ「コーディングテスト」でも、使うことを禁じる所と、使い方まで含めて見る所があります。

  • Preferred Networks (2025 年のインターンの選考) は、ChatGPT や GitHub Copilot だけでなく、手元で動かす LLM も含めて、大規模言語モデルの利用を禁止しています。課題の中身を公開したり、他の人と相談したりすることも禁止です
  • ゆめみ (iOS エンジニアの課題) は、AI のコーディング支援を普段の開発と同じく自由に使ってよいとし、評価の基準は使っても使わなくても同じと書いています。そのかわり、課題の終わりに AI の使い方をまとめた AI_USAGE.md を出し、面接での説明と照らし合わせます
  • 海外の試験の道具の Codility は、AI の利用を許した試験では、指示と応答をすべて記録すると案内しています

受ける前に、案内のメールや課題の README に AI の決まりが書かれていないかを探してください。書かれていなければ、使ってよいか採用の担当に聞くのが安全です。

道具ごとの形の違い

企業は、試験の道具を外から借りて使うことがよくあります。道具が分かれば、画面の形と採点のされ方の見当がつきます。

paiza スキルチェック

形

問題文を読み、時間内にコードを出す。最初のチュートリアルは標準入力から値を読む練習

採点

10 個以上のテストケースですぐに採点し、S から E の 6 段で評価。スキルが認められると企業からスカウトが届く

Track Test

形

1000 問以上から企業が組み合わせて自社の課題を作る。アルゴリズムのほか、実装や IT の知識の選択式もある

採点

提出されたコードを自動で採点し、問題ごとの平均点や偏差値と比べられる。導入は 400 社以上 (Track の公表)

AtCoder

形

時間の決まったコンテストで、標準入力から読んで答えを出力する問題を解く。企業の名前の付いたコンテストもある

採点

rated のコンテストでは、成績でレーティングが更新される

Codility

形

20 年近く企業のエンジニアの採用に使われてきた海外の試験の道具 (Codility の案内)。エンジニアの試験と、仕事で AI を使う力の試験がある

採点

AI の利用を許した試験では、指示と応答をすべて記録して採用の担当が見られる

入力を読んで出力を書く形に慣れる

オンラインの試験で最初につまずきやすいのが、入力の受け取り方です。LINE は「入力 N を受け取り、N 番目の素数を出力するコマンドラインのツールを作る」という例題を公開しています。このように、問題の答えを考える前に、決められた形の入力を読み、決められた形で出力する所までを書く必要があります。

このサイトのコーディング面接問題は、関数を 1 つ書く形です。オンラインの試験を受ける前に、関数の外側に「入力を読む」「関数を呼ぶ」「出力する」の 3 行を足す練習をしておくと、本番で慌てません。たとえば、1 行目に数の個数、2 行目に数の並びが来る入力を Python で読むと、次のようになります。

Python

import sys

def solve(nums):
    return max(nums)

def main():
    data = sys.stdin.read().split()
    nums = list(map(int, data[1:]))
    print(solve(nums))

main()

input() で 1 行ずつ読むより、sys.stdin.read() でまとめて読むほうが、入力が多いときに速く、行の区切りの違いにも強くなります。JavaScript (Node.js) なら require("fs").readFileSync(0, "utf8") で同じようにまとめて読めます。

このサイトの 83 問で練習できる型

公開された出題の「型」と、このサイトのコーディング面接問題の対応です。「この会社でこの問題が出た」という意味ではありません。同じ考え方で解ける型を、ここで先に練習できる、という対応です。

仕様を読み、操作ごとに分けて作る

公開元

LINE の実装問題、メルカリの技術課題

いくつもの操作を持つ仕組みを、データの持ち方から決めて作る問題です。仕様の 1 行ずつを満たし、処理を名前の付いた関数に分ける練習になります

計算量と考え方を口で説明する

面接の場で書く形では、書きながら考えを話し、最後に計算量を言うことが求められます。このサイトの 83 問は、どの問題の頁にも、解答のあとに「計算量」と「面接での話し方の例」の節があります。解いたら、話し方の例を声に出して読み、自分の言葉で言い直してみてください。

アルゴリズムのチートシートに、計算量の一覧と型ごとの要点をまとめています。

対策の順番

  1. 応募先の形を調べる。オンラインの試験か、課題か、面接の場で書くのか。時間、使える言語、AI の決まりを、案内や採用のブログで確かめます
  2. 基本の型を 1 つずつ解く。 配列とハッシュ、ツーポインタ、スタック、二分探索、幅優先探索、動的計画法の順に、型ごとに 2〜3 問ずつ解きます。下の「83 問で練習できる型」から始められます
  3. 時間を計って解く。 1 問 30〜40 分を目安に、時間内に「動く物」を出す練習をします。LINE は「不完全でもいいので、制限時間内に動作するプログラムを提出することが重要」と書いています
  4. 計算量を言えるようにする。解けたら、入力が 10 倍になったら何倍遅くなるかを、1 文で言えるようにします。隠れたテストの時間切れと、面接での説明の両方に効きます
  5. 読みやすく書き直す。名前を付け直し、処理を関数に分けます。仕様を読む課題では、ここが点の差になります

よくある質問

コーディングテストの対策は何からすればいいですか

まず応募先の形 (オンラインの試験か、課題か、面接か) を調べ、次に基本の型を 1 つずつ解きます。型を知らないまま難しい問題に進むより、配列とハッシュ、二分探索、幅優先探索など、よく使う型を一通り手で書けるようにするほうが早く伸びます。

練習におすすめのサイトはありますか

入力を読んで出力する形に慣れるなら、paiza のスキルチェックか AtCoder のコンテストが日本語で使えます。型ごとに考え方から学ぶなら、このサイトのコーディング面接問題に、問題ごとの解き方の手順、Python と JavaScript と Go の解答、計算量、よくある間違い、面接での話し方の例をまとめています。

使う言語は何がいいですか

応募先が使える言語から、いちばん書き慣れた物を選びます。メルカリは Go、Python、Java、JavaScript など 10 を超える言語を挙げています。迷うなら、標準の機能でリストや辞書が書きやすい Python が、試験の時間を節約しやすい言語です。

難易度はどのくらいですか

LINE は、大学のコンピュータサイエンスの講義 (1〜3 年) で教えるデータ構造とアルゴリズムを使う問題と説明しています。新卒向けでも、愚直なやり方では時間切れになる問題が出ます。まずは LeetCode の Easy ほどの問題を時間内に解けることを目標にし、そのあと Medium ほどの問題に進むのが目安です。

合格ラインは公開されていますか

点数の合格ラインを公開している企業は、取り直した範囲では見つかりませんでした。公開されているのは考え方です。LINE は「確実に動作するプログラムのみを評価」すると書き、Preferred Networks は「全問正解しなければ採用されないということではありません」とし、点数は判断の材料の 1 つで、面接での話し合いと合わせて決めると書いています。まずは時間内に動く物を出すこと、そのうえで解けなかった所の考えをコメントに残すことが、どちらの書き方にも合う対策です。

中途の転職でもコーディングテストはありますか

あります。Amazon は、SDE II の職の選考に、90 分で 2 問を解くオンラインの試験と、55 分の面接 4 回を置いていると案内しています。Track Test の導入事例にも、中途の採用で使っている企業が並んでいます。

出典

企業と道具の事実は、次の頁から 2026年10月30日 に本文を取り直して確かめました。選考の中身は年や職種で変わります。応募するときは、その年の案内を読んでください。

次の一歩

形が分かったら、あとは手を動かす番です。まず配列とハッシュの問題を 1 問、時間を計って解いてみてください。何から準備するか決まらない人は、転職診断で次にやることを 1 つ決められます。