バイブコーディングとは。やり方と危ない所、作れる物

AIに作りたい物を言葉で伝え、コードを読まずに、画面を触りながら頼み直して形にする作り方です。言葉の由来から、実際に家計簿を3回の頼みで作った記録 (壊れた所と直し方)、危ない所の確かめ方まで、1頁で見ていきます。

文 ゆめさく ・ 2026年10月26日

バイブコーディングとは

バイブコーディング (Vibe Coding) は、作りたい物を AI に言葉で伝え、出てきたコードを読まずに動かし、画面の様子を見ながら頼み直して形にしていく作り方です。コードを書く手だけでなく、コードを読む手まで AI に預けるのが、ほかの AI の使い方との違いです。

言葉を作ったのは、AI の研究者のアンドレイ・カーパシー (Andrej Karpathy) です。2025 年 2 月の X の投稿で、「雰囲気 (vibes) に身を任せ、コードがあることさえ忘れる」新しいコーディングだと書きました。同じ投稿で、差分はもう読まず、エラーが出たらそのまま AI に貼る、とも書いています。そして「週末の使い捨ての物を作るなら悪くない」と添えました。

この言葉はその年のうちに広く使われるようになり、英国の Collins 辞典は 2025 年の今年の言葉に「vibe coding」を選びました (BBC が 2025 年 11 月 6 日に報じた)。広がった背景には、AI の道具の形の変化があります。書きかけの行の続きを出すだけだった AI が、ファイルを読み、書き、動かして確かめるところまで受け持つ「エージェント」になり、言葉だけで 1 本の物が仕上がるようになりました。

ここが大事

プログラマのサイモン・ウィリソン (Simon Willison) は、「AI が全部の行を書いても、人がレビューし、テストし、人に説明できるまで理解したなら、それはバイブコーディングではなく、ふつうのソフトウェア開発だ」と線を引いています。バイブコーディングかどうかは、AI を使ったかではなく、コードを読んだかで決まります。

ふつうの開発、ノーコード、AI駆動開発との違い

コードを使わずに作る方法は前からありました。だれが作り、どこまで変えられ、どう確かめるかで 4 つに分かれます。

ふつうの開発ノーコードAI駆動開発バイブコーディング
作るのはだれか人がコードを書く人が部品を並べる主に AI が書くAI が書く
コードを読むか読むコードが見えない人が差分を読む読まない
変えられる範囲全部道具が用意した部品の中全部全部 (頼めれば)
できたかの確かめテストと人の目画面を触る先に書いたテスト画面を触る
向く物長く使う物型の決まった業務の画面長く使う物試作、自分だけが使う物

ノーコードとの違いは、出てくる物がふつうのコードであることです。部品の枠を超えた変更も頼めますが、そのぶん、壊れたときに戻す道も自分で持つ必要があります。

AI駆動開発は、確かめ方を先に決めて AI に書かせる進め方です。バイブコーディングで作った試作を、人に使ってもらう物に育てるときは、AI駆動開発の形に切り替えます。

実際にやってみた。家計簿を 3 回の頼みで作る

上位の解説の多くは、言葉の意味と道具の名前で終わります。ここでは、ゆめさくで 2026 年 10 月 26 日に、Claude Code (モデルは Sonnet) に 3 回頼んで家計簿を作った記録を載せます。コードは 1 行も自分で書いていません。できた物は、ゆめさくの側でブラウザを動かす試験の道具 (Playwright) を使い、人が触るのと同じ操作をして確かめました。確かめたのは AI ではなく、ゆめさくです。AI の答えは毎回同じではないので、同じ頼み方でも違う物が返ることがあります。

1 回目の頼み

1 回目に AI へ送った文

家計簿のアプリを作って。HTMLのファイル1つで。使ったお金と何に使ったかを入れたら一覧に出て、合計も出るようにして。

190 行の HTML のファイルが 1 つ返ってきました。金額と日付と使い道を入れる欄、新しい順の一覧、合計、行ごとの削除があり、記録はブラウザの中 (localStorage) に保存される作りです。0 円以下の金額や空の使い道は受け付けません。頼んでいない日付の欄と削除も、気を利かせて足されていました。

2 回目の頼み

2 回目に AI へ送った文

kakeibo.html に、食費や日用品などのカテゴリを選べるようにして、カテゴリごとの合計も出して。あと月ごとに絞り込めるようにして。

ファイルは 272 行に増え、6 つのカテゴリ、カテゴリごとの横棒つきの合計、月の絞り込みが入りました。1 回目に入れた記録は「その他」として扱われ、消えずに残りました。ここまでは、見た目も動きも頼んだとおりです。

壊れた所

触って確かめると、2 つの困り事が見つかりました。

  • 足した記録が消えたように見える。表示を「2026年10月」に絞ったまま、9 月 30 日のレシート (800 円) を足すと、一覧にも合計にも出てきません。記録は保存されていて、「すべての月」に戻すと出てきます。ただ、使う人には、押したのに何も起きなかったように見えます
  • 月の名前が「2026年09月」と出る。 1 月から 9 月は頭に 0 が付きます

2 回目のあとの家計簿の画面。表示は 2026年10月のままで、合計は 1,500円、一覧は 10 月の 2 件だけ。いま足した 9 月 30 日の 800 円は出ていない

上の画面は、9 月 30 日の 800 円を足した直後の物です。合計は 1,500 円のままで、一覧にも出ていません。

1 つ目は、画面を眺めているだけでは気づきません。「絞り込む」と「足す」という、別々の回に頼んだ 2 つの機能が重なった所で起きています。バイブコーディングの不具合は、頼んだ 1 つずつは正しく、組み合わさった所で出ることが多くあります。

直し方

直すために AI へ送った文

kakeibo.html で困っていることがある。表示する月を2026年10月にしたまま、日付を9月30日にして追加すると、一覧にも合計にも出てこなくて、追加できたのか分からない。追加したら、その記録の月に表示を切り替えてほしい。それと、月の名前が「2026年09月」と出るので「2026年9月」にして。ほかの所は変えないで。

直しの頼みでは、3 つを入れました。何をしたら (10 月に絞ったまま 9 月の記録を足すと)、何が起き (出てこない)、どうなってほしいか (その月に切り替える) です。最後の「ほかの所は変えないで」で、関係の無い所の書き換えを防ぎます。

返ってきた変更は 7 行の追加と 2 行の書き換えだけでした。同じ操作をもう一度すると、表示が「2026年9月」に切り替わり、足した 800 円の記録が一覧に出ました。

直したあとの家計簿の画面。足した記録の月に表示が切り替わり、2026年9月の合計 800円と、9 月 30 日の記録が一覧に出ている

3 回の頼みの前と後

1 回目のあと2 回目のあと直したあと
ファイルの行数190 行272 行279 行
入れられる物金額、日付、使い道カテゴリが増えた同じ
合計全部の合計月ごと、カテゴリごと同じ
別の月の記録を足す問題なし消えたように見える足した月に切り替わる
月の名前なし2026年09月2026年9月

同じ頼み方で試せる例

家計簿のほかに、同じ日に 2 つ頼んで確かめました。どちらも 1 回の頼みで、HTML のファイルが 1 つ返ってきます。

送った文返ってきた物確かめたことと結果
やることリストのアプリを作って。HTMLのファイル1つで。追加、終わったらチェック、削除ができて、閉じても残るようにして。171 行空白だけの項目は入らない。タグを含む字は字のまま出る。チェックは再読み込みのあとも残る。壊れた所は見つからなかった
CSVファイルを選ぶと、2列目の数の合計と平均を出すページを作って。HTMLのファイル1つで。96 行「1,200」のようなカンマ入りの数は読めた。「500円」と単位の付いた行は数として読まれず、合計から外れた。画面には「数でない行を 1 行読み飛ばしました」と出た

CSV の例のように、AI が作った物は「読めなかった」と知らせてくれることがあります。知らせの文を読み飛ばさないことも、確かめのうちです。

危ない所と、その確かめ方

コードを読まないぶん、確かめは画面と道具で行います。家計簿で実際に試した物には、結果を添えました。

危ない所起きること確かめ方
入れた字をそのまま画面に出す悪意のある字で、別の動きをさせられる入力欄に、警告を出す命令を付けた画像のタグ (img と onerror) を入れる。家計簿では字のまま表示され、何も起きなかった
保存がブラウザの中だけ閲覧の記録を消すと、データも消える作った物の説明を AI に聞き、保存先を確かめる。家計簿は localStorage で、再読み込みでは残った
ありえない値が入る合計が狂うマイナスや 0 を入れてみる。家計簿では -300 円は入らなかった
機能どうしの重なり足した物が見えない、などの不具合2 つの機能を同時に使う操作を試す (家計簿の月の絞り込み)
鍵 (API キー) の書き込み公開すると他人に使われる公開の前に、ファイルの中を「key」「secret」で検索する
実在しない部品AI が無い名前の部品を書き、入れると別物が入る入れる前に、部品の名前を公式の一覧 (npm など) で検索する
頼んでいない書き換え前に動いていた所が壊れるgit で前の版を残し、差分の行数を見る。直しの頼みには「ほかは変えないで」と添える
使った分の料金頼み直すほど使用量が増える道具の料金の形を先に見る (Claude Code の料金、Codex の料金)

鍵の扱いや人のデータを預かる物は、画面を触るだけでは安全かどうか分かりません。人に使ってもらう前に、コードを読める人に見てもらうか、自分で読めるようになってから出します。

AI を使えば必ず速くなるわけではない

研究の団体 METR が 2025 年 7 月に公開した調べでは、経験のある開発者 16 人が、自分がよく知る大きなプロジェクトの課題 246 件を、AI を使える回と使えない回に分けて進めました。始める前、開発者は AI で作業時間が 24% 縮むと見込み、終わったあとも 20% 縮んだと感じていました。測った結果は逆で、AI を使える回のほうが作業時間が 19% 長くなりました。

この調べは、使い捨ての試作ではなく、長く育ってきたプロジェクトでの話です。バイブコーディングが向く小さな試作とは場面が違います。それでも、「速くなった気がする」と「速くなった」は別だということは、どの場面にも当てはまります。

始め方は 4 つの手順

  1. 道具を 1 つ選ぶ。最初はブラウザだけで動く道具か、いつも使うエディタに入る道具が楽です
  2. 3 つの文で頼む。だれが使うか、何を入れて何が出るか、どこまで作るか。「いい感じに」は避け、数や例で伝えます
  3. 動かして触る。頼んだことを 1 つずつ試し、次に 2 つの機能を同時に使う操作を試します
  4. 症状を具体に伝えて直す。何をしたら、何が起き、どうなってほしいか。最後に「ほかは変えないで」

1 回に頼むのは 1 つか 2 つの機能までにします。たくさん頼むと、どの頼みで壊れたかが分からなくなります。

毎回伝える前提 (使う言葉、保存の仕方、触ってはいけないファイル) は、ファイルに書いて AI に読ませると、頼むたびに書かずに済みます。Claude Code では、作業の場所に置いた CLAUDE.md というファイルを毎回読みます。

道具の種類

道具は、どこで動くかで 3 つに分かれます。料金や機能は月ごとに変わるので、使う前に公式の案内を見てください。

種類道具の例どんな物か向く人
ブラウザで作る道具Google AI Studio、Replitブラウザの画面で頼み、できたアプリをその場で動かして見る入れる物を増やさず、まず 1 つ作ってみたい人
エディタに入る AICursor、GitHub Copilotコードを書く道具 (エディタ) の中で AI に頼み、ファイルの変更を見ながら進める画面でファイルを見ながら作りたい人
ターミナルで動く AI エージェントClaude Code、Codex黒い画面 (ターミナル) で頼むと、ファイルの作成からコマンドの実行まで受け持つ作業の多くを任せたい人

ターミナルの 2 つの違いは、Claude Code と Codex の比べにまとめています。

良い所、向く物と向かない物

良い所

  • 形になるまでが速い。家計簿の 1 回目は、1 つの文で 190 行の動くファイルが返ってきました
  • 作れる人の幅が広がる。コードを書けなくても、言葉で頼めれば自分の道具を持てます
  • 試すのが安い。外に頼む前に、自分で試作を作って中身を確かめられます

向く物

  • 自分だけが使う小さな道具 (家計簿、集計、記録)
  • アイデアを人に見せるための試作
  • 学び始めに、作る楽しさを先に味わう

向かない物

  • お金や人のデータを預かる物
  • 何年も直しながら使う物
  • 何人もで作る物

向かない物を作るときは、バイブコーディングで試作を作り、そこから先はコードを読んで確かめる形に移ります。

必要な力

コードを書く力は要りません。代わりに、次の 3 つが要ります。

  • 頼みを言葉にする力。何を入れて何が出るかを、数や例で伝える
  • 壊れ方を見つける力。頼んだとおりかだけでなく、組み合わせや変な値を試す
  • 症状を伝える力。「動かない」ではなく、何をしたら何が起きたかを書く

この 3 つはバイブコーディングの外でも役に立ち、プログラミングを学ぶときの土台にもなります。

これからのエンジニアの仕事

AI のエージェントが書く手を受け持つようになり、仕事で作る人のあいだでは、書かせるだけのバイブコーディングと分けて、AI のエージェントに書かせながら、設計と確かめは人が持つ進め方を「エージェンティック・エンジニアリング (agentic engineering)」と呼ぶ人が出てきました。ウィリソンは 2026 年 3 月の手引きで、この言葉を「コーディングエージェントの助けを借りてソフトウェアを作ること」と説明しています。

この呼び分けが表しているのは、人の仕事の重さが、コードを打つ手から、何を作るかを決め、出てきた物を読んで確かめる側へ移っていることです。バイブコーディングで作る楽しさを知ったら、次は出てきたコードを読む力をつけると、仕事の側へ進めます。

ゆめさくで学ぶなら

ゆめさくコードの Vibe Coding入門は、無料で、32 のレッスン (約 3 時間) と 27 本の解説動画でできています。ブラウザだけで進められ、アイデアを言葉にする所から、うまくいかないときの戻り方、スマホで崩れない形への仕上げ、公開までを順に体験します。最後の章では、AI が間違えた 1 行を自分の手で直します。中身は 2026 年 10 月 26 日に本番の頁で確かめました。最初のレッスン Vibe Codingとはは登録なしで読めます。

自分の AI の使い方がどの段にあるかは、AIコーディングの使い方診断で確かめられます。答えの理由と、診断で見えていない所まで出ます。

よくある質問

Q. バイブコーディングとAI駆動開発は何が違いますか

コードを読むかどうかです。バイブコーディングはコードを読まず、画面で確かめます。AI駆動開発は、確かめ方を先に決め、AI が書いた差分を人が読みます。

Q. プログラミングを知らなくてもできますか

できます。この頁の家計簿も、コードを 1 行も書かずに作りました。ただし、壊れた所を見つけて伝える力は要ります。人に使ってもらう物を作るなら、コードを読む力も要ります。

Q. 作った物の著作権はだれの物ですか

道具の決まりと、日本の著作権の考え方の 2 つに分けて考えます。道具の決まりでは、Anthropic (Claude) と OpenAI (ChatGPT、Codex) の個人向けの利用規約は、AI の出力について会社が持つ権利があれば、それを使う人に渡すと書いています。ただし、出力に著作権があるかどうかは別の話です。文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(2024 年 3 月) は、AI への指示が表現に至らないアイデアにとどまる場合、その AI の生成物に著作物性は認められないと考えられる、としています。人が道具として AI を使い、創作的な寄与があったと認められれば著作物になりえますが、それは指示の具体さや、生成物を見て指示を直した繰り返しなどを合わせて、生成物ごとに判断されます。人が創作的な加筆や修正をした部分は、通常は著作物と認められます。言い切れない所が残るので、大事な物は、自分で手を入れた所が分かるように残しておきます。

Q. 作った物を仕事で使ったり、売ったりできますか

自分の作業を楽にする道具なら、すぐ役に立ちます。人に渡す物は、危ない所の確かめが済んでからにします。仕事にする道は、AIとプログラミングで稼ぐにまとめています。受け取れる額の約束はしていません。

Q. 英語で頼まないといけませんか

日本語で頼めます。この頁の家計簿と 2 つの例の頼みも、全部日本語です。

Q. バイブコーディングを続けると、プログラミングは身につきますか

コードを読まないままでは、身につきにくいです。作る楽しさを知ったら、出てきたコードの 1 行ずつを AI に説明してもらい、自分で 1 行直すところから始めると、読む力が育ちます。

出典

あわせて見る

ゆめさくコードでできること

最終確認3 つの例を手元で作って確認済み

家計簿と、やることリスト、CSV の集計の例は、2026年10月26日に Claude Code (モデルは Sonnet) に頼んで作りました。確かめは AI ではなくゆめさくが Playwright で同じ操作をして行い、壊れた所と直ったことを見ました。AI が返すコードは毎回同じではありません。コースの中身、METR の調べ、文化庁の考え方、各社の利用規約は同じ日に一次の頁で読みました。

道具を使えるようになった先に

AIコーディングを学んだ先の一歩を、ここにまとめています。