問6 クラウドへの直接接続と 2 要素認証

基本情報​技術者試験 令和6年度 公開問題 科目B、全6問のうちの問6。

出典:令和6年度 基本情報技術者試験 公開問題 科目B 問6(図 1 は原本の画像を文字に書き起こし、箇条書きは 1 項目を 1 行にまとめた。2 つ目の項目の中の番号付きの 2 行は、その項目の行の中に続けて書いた)

A 社は従業員 4⁠5⁠0 名の商社であり,昨年から働き方改革の一環として,在宅でのテレワークを推進している。A 社のシステム環境を図 1 に示す。

図1 A 社のシステム環境(抜粋)
  1. ・従業員には,一人に 1 台デスクトップ PC(以下,社内 PC という)を貸与している。
  2. ・従業員が利用するシステムには,自社で開発し A 社に設置している業務システムのほかに,次の二つの SaaS(以下,二つの SaaS を A 社利用クラウドサービスという)がある。1. メール機能,チャット機能及びクラウドストレージ機能をもつグループウェア(以下,A 社利用グループウェアという)2. オンライン会議サービス
  3. ・テレワークでは,従業員の個人所有 PC(以下,私有 PC という)の業務利用(BYOD)を許可している。
  4. ・テレワークでは,社内 PC 及び私有 PC のそれぞれに専用のアプリケーションソフトウェア(以下,専用アプリという)を導入し,社内 PC のデスクトップから私有 PC に画面転送を行うリモートデスクトップ方式を採用している。
  5. ・専用アプリには,リモートデスクトップから PC へのファイルのダウンロード及びファイル,文字列,画像などのコピー&ペーストを禁止する機能(以下,保存禁止機能という)があり,A 社では私有 PC に対して当該機能を有効にしている。
  6. ・業務システムには,社内 PC のデスクトップから利用者 ID 及びパスワードを入力してログインしている。
  7. ・A 社利用クラウドサービスへのログインは,A 社利用クラウドサービス側の設定によって A 社の社内ネットワークからだけ可能になるように制限している。ログインには利用者 ID 及びパスワードを用いている。

テレワークの定着が進むにつれて,社内 PC からインターネットへの接続が極端に遅くなり,業務に支障をきたしているので改善できないかと,従業員から問合せがあった。A 社の社内ネットワークとインターネットとの間の通信量を調査したところ,テレワーク導入前に比べ,業務時間帯で顕著に増加していることが判明した。そのため,情報システム部では,テレワークで A 社利用クラウドサービスに接続する場合には,A 社の社内ネットワークも社内 PC も介さずに直接接続することを可能にするネットワークの設定変更を実施することにした。

設定変更に当たり,情報セキュリティ上の問題がないかを A 社の情報セキュリティリーダーである B さんが検討したところ,幾つか問題があることが分かった。その一つは,A 社利用クラウドサービスへの不正アクセスのリスクが増加することである。そこで B さんは,リスクを低減するために,情報システム部に対策を依頼することにした。

設問 次の対策のうち,情報システム部に依頼することにしたものはどれか。解答群のうち,最も適切なものを選べ。

  1. アA 社の社内ネットワークから A 社利用クラウドサービスへの通信を監視する。
  2. イA 社の社内ネットワークと A 社利用クラウドサービスとの間の通信速度を制限する。
  3. ウA 社利用クラウドサービスに A 社外から接続する際の認証に 2 要素認証を導入する。
  4. エA 社利用クラウドサービスのうち,A 社利用グループウェアだけを直接接続の対象とする。
  5. オ専用アプリの保存禁止機能を無効にする。
答えと解説を開く

正解はウです。

今は、A 社利用クラウドサービスへのログインを A 社の社内ネットワークからだけに制限しています。攻撃者が ID とパスワードを盗んでも、社内ネットワークに入れなければログインできません。設定変更で社外から直接接続できるようにすると、この制限が外れます。ログインに使うのは ID とパスワードだけなので、それが漏れたり推測されたりすれば、インターネットのどこからでもログインされてしまいます。これが増える不正アクセスのリスクです。社外から接続するときに、ID とパスワードに加えて、スマートフォンへの確認コードのような別の種類の要素を求めれば、パスワードだけが漏れてもログインされにくくなります。正解はウです。

ほかの選択肢が違う理由

  • ア直接接続では、通信が社内ネットワークを通りません。社内ネットワークから出る通信を監視しても、社外から直接来る不正なログインは見えません。
  • イ通信速度の制限は混雑への対策で、ID とパスワードを盗んだ社外からのログインは防げません。
  • エグループウェアだけに絞っても、グループウェアには ID とパスワードだけで社外からログインできるので、不正アクセスのリスクは残ります。メールやクラウドストレージがある分、狙われやすくもあります。
  • オ保存禁止機能を無効にすると、私有 PC にファイルを持ち出せるようになり、情報漏えいの危険が増えます。不正アクセスの対策ではありません。

仕組み

認証の要素は、知っているもの (パスワード)、持っているもの (スマートフォンや IC カード)、本人の体 (指紋や顔) の 3 種類です。違う種類を 2 つ組み合わせるのが 2 要素認証です。

「社内からだけ」という場所の制限は、強い守りの一つです。それを外すときは、場所に代わる確かめ方を足す必要があります。

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