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ルーター・スイッチ・ハブ
ルーター・スイッチ・ハブ とは
ネットワーク機器の役割と動作する層の違いを整理します。本レッスンでは、ルーター・スイッチ・ハブ の基本から実際の使いどころまでを整理し、現場で迷わず使える形に落とし込みます。
このレッスンで学ぶこと
ネットワーク機器の代表格であるハブ・スイッチ・ルーターの違いを整理します。それぞれが OSI のどの層で動き、どんなアドレスを見て動作するのかを理解しましょう。
3 つの機器を一気に整理
| 機器 | 動作する層 | 見るアドレス | 役割 |
|---|---|---|---|
| ハブ (Hub) | L1 | なし | 受け取った信号を全ポートにコピーするだけ |
| スイッチ (Switch) | L2 | MAC アドレス | 宛先 MAC が分かっているポートだけに転送 |
| ルーター (Router) | L3 | IP アドレス | ネットワークをまたいでパケットを転送 |
ハブからスイッチ、スイッチからルーターになるにつれて、見る情報の階層が上がっていきます。
ハブの動作
ハブは最も原始的な機器で、1 つのポートから入った電気信号を全ポートに垂れ流します。MAC アドレスも IP アドレスも見ません。
たとえば 4 ポートのハブに PC が 4 台つながっていて、PC A が PC B にデータを送ると、その信号は PC C と PC D にも届きます。本来関係ないノードが他人の通信を聞いてしまう (盗聴できる) ので、現代のネットワークではほとんど使われません。Wireshark のような解析ツール向けに、特殊用途で残っているくらいです。
スイッチの動作
スイッチは MAC アドレステーブルを持っていて、「どのポートにどの MAC アドレスがつながっているか」を学習します。
PC A が PC B 宛のフレームを送ると、スイッチは MAC テーブルを参照し、PC B がいるポートにだけ転送します。これにより、関係ないノードへの不要なトラフィックが消えて、ネットワーク全体のパフォーマンスが上がります。
MAC アドレステーブルの学習
スイッチは賢いわけではなく、最初は何も知りません。フレームを受け取るたびに「このポートからこの MAC が来た」と記録し、徐々にテーブルを埋めていきます。テーブルにない宛先はハブのように全ポートに送る (フラッディング) ので、一度返事が来れば次回からは効率的に転送できるようになります。
ルーターの動作
ルーターは IP アドレスを見て、異なるネットワーク (= 異なるサブネット) どうしを橋渡しします。
家庭の Wi-Fi ルーターは、家の中の LAN (192.168.x.x など) とインターネット側 (グローバル IP) という 2 つのネットワークを接続しています。インターネットへ出ていくパケットは家の Wi-Fi ルーターからプロバイダのルーター、コアルーターと、何十台ものルーターをホップしてやっと目的のサーバーに届きます。
ルーターはルーティングテーブルを参照し、宛先 IP をもとに「次の中継先 (next hop)」を選びます。経路が複雑に変わるインターネット全体では、ルーティングプロトコル (OSPF, BGP) を使って、ルーター間でテーブルを動的に交換しています。
L2 スイッチと L3 スイッチ
実は実機の世界はもう少し複雑で、「L3 スイッチ」と呼ばれる機器があります。これは IP ルーティング機能を備えたスイッチで、機能的にはルーターに近いのですが、ハードウェア処理に最適化されており、企業 LAN の中核で高速にルーティングする用途で使われます。
逆に Wi-Fi ルーターやブロードバンドルーターは「ルーター + スイッチ + 無線アクセスポイント + NAT + DHCP」が一台に詰まった統合機器です。家庭用と業務用で「ルーター」の意味する範囲が違うので注意しましょう。
アクセスポイント (AP) の位置づけ
無線アクセスポイント (AP) は、無線 (Wi-Fi) と有線 (Ethernet) を橋渡しする L2 機器です。多くの家庭用ルーターは AP の機能を内蔵していますが、業務用では AP を独立配置し、複数を集中管理することがよくあります。
「ホップ」という考え方
パケットがルーターを 1 台通るごとに「1 ホップ」と数えます。traceroute コマンドを使うと、宛先までに何台のルーターを経由しているか可視化できます。
プレーンテキスト
1 192.168.1.1 (家のルーター)
2 203.0.113.1 (プロバイダ)
3 198.51.100.1 (コアルーター)
...
12 noimancode.com (宛先サーバー)各ホップで「次にどこへ送るか」を判断するのがルーティングです。次のセクションでは、その判断材料である IP アドレスとサブネットを学んでいきます。
まとめ
ハブは L1、スイッチは L2 (MAC)、ルーターは L3 (IP) で動き、上の層に行くほど賢く・遠くまで届けられる機器になります。実機では複数機能が統合されていますが、論理的な役割の境界を意識しておくと、トラブルシュート時に「どの層で詰まっているのか」を切り分けやすくなります。
よくある質問
Q. ハブとスイッチはどう使い分けますか?
A. 現代のネットワーク構築ではほぼスイッチ一択です。ハブはすべてのポートに信号を垂れ流すため、他のノードへ不要なトラフィックが流れてしまいます。スイッチは MAC アドレステーブルで宛先ポートを絞って転送するため、パフォーマンスとセキュリティの両面で優れています。ハブが残っているのはパケットキャプチャ目的など特殊な用途に限られます。
Q. L3 スイッチとルーターの違いは何ですか?
A. どちらも IP アドレスを見てルーティングを行う点は同じです。L3 スイッチはハードウェア(ASIC)で処理するため、同一 LAN 内の高速なルーティングに向いています。一方、ルーターはソフトウェアで柔軟な制御ができ、WAN 接続や複雑なルーティングポリシーの設定に強みがあります。企業 LAN の内部には L3 スイッチ、インターネット接続の境界にはルーターを置く構成が一般的です。
Q. 家庭用ルーターには何が含まれていますか?
A. 家庭用ルーターは「ルーター + L2 スイッチ + 無線アクセスポイント + NAT + DHCP サーバー」が 1 台に統合されています。インターネット側のグローバル IP と家庭内 LAN のプライベート IP を変換する NAT、接続機器に IP アドレスを自動付与する DHCP など、複数の機能をまとめて担っています。業務用機器では役割ごとに独立した機器を使うことが多いです。
次のレッスン
次は IPアドレス (IPv4 / IPv6) で、IPアドレスの仕組みとIPv4・IPv6の違いを学びます。
事前確認 — 進む前に次の 3 つができることを確認しましょう。
- ルーター/スイッチ の要点を自分の言葉で説明できる
- このレッスンの最小コード (または操作手順) を見ずに書ける
- 練習問題やクイズで間違えた箇所を読み直して理解した
理解度チェック (30 秒)
Q. ルーター/スイッチ とは何か、1 文で説明してください。
A. 本文の「このレッスンで分かること」または冒頭の説明文を見直し、自分の言葉で要約できれば OK。詰まったら本レッスンの最初の H2 セクションを読み返してみましょう。
関連レッスン
復習ミニクイズ
スイッチが転送判断に使うアドレスはどれですか