ITパスポート対策
AIと社会
技術そのものではなく、社会がAIとどう付き合うかを扱う節です。正解になる選択肢は、人間中心、公平、説明できること、という価値観に沿ったものになります。この感覚をつかむと確実に得点できます。
人間中心のAI社会原則
日本政府がまとめた、AIを社会で活用するうえでの基本的な考え方が人間中心のAI社会原則です。名前のとおり、AIは人間の能力を拡張し、人間が自分で判断する自由を守るために使うべきだという立場に立っています。示されている原則には次のようなものがあります。
| 原則 | 内容 |
|---|---|
| 人間中心 | AIは人間の尊厳と自律を損なわず、人間の判断を助けるものであること |
| 教育・リテラシー | 誰もがAIを正しく理解し使えるよう学ぶ機会があること |
| プライバシー確保 | 個人のデータが本人の意図しない形で使われないこと |
| セキュリティ確保 | 社会の安全と安定が保たれること |
| 公正競争確保 | 特定の企業にデータや力が偏りすぎないこと |
| 公平性・説明責任・透明性 | 不当な差別が生じず、判断の理由を説明でき、過程が見えること |
| イノベーション | 国際的に開かれた形で技術革新が進むこと |
すべて暗記する必要はありません。「AIの判断は人間より正確なので人間の確認は不要」といった、人間の関与を外す方向の記述が誤りだと見抜ければ十分です。
バイアスと説明可能性
AIは学習に使ったデータの傾向をそのまま受け継ぎます。そのため、過去の採用実績のように、もともと偏りのあるデータで学習すると、AIの判断にも不公平な偏りが現れます。これをバイアスと呼びます。AIが自動で公平になるわけではないという点が重要です。
もう1つの課題が、深層学習ではなぜその結論に至ったのかを人間が追いにくいことです。この不透明さをブラックボックス問題と呼び、判断の根拠を人間に分かる形で示そうとする技術や考え方を説明可能なAI(XAI)と言います。融資の審査や採用のように人生を左右する判断ほど、説明できることが強く求められます。
ELSIとディープフェイク
ELSI(エルシー)とは、新しい科学技術がもたらす倫理的、法的、社会的な課題をまとめて指す言葉です。技術が実用化されてから問題に気付くのではなく、開発の段階から一緒に検討する姿勢を表します。
その具体例がディープフェイクです。ディープフェイクとは、AIを使って実在する人物の顔や声を本物と見分けがつかない精度で合成した偽の映像や音声を指します。詐欺や世論操作に悪用される危険があり、技術的な検出手段だけでなく、法制度や利用者のリテラシーを含めた対策が必要になります。
AIの利用で問題が起きたとき、「AIが決めたことだから」という言い訳は通りません。導入し利用した組織が説明する責任を負います。この考え方をアカウンタビリティ(説明責任)と呼びます。
Society 5.0とデジタルデバイド
Society 5.0とは、日本政府が掲げる、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させ、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会像です。社会の発展段階を、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会と数え、その次に来るものとして5番目に位置づけられています。情報社会がSociety 4.0にあたるという対応を覚えておくと、順番を問う問題に対応できます。
一方で、情報通信技術を使える人と使えない人の間に生じる格差をデジタルデバイド(情報格差)と呼びます。年齢や地域、所得によって受けられるサービスに差が出ることが問題視されており、Society 5.0が目指す「誰も取り残さない社会」と対になる用語として一緒に問われます。
最後に、技術に関わる人が守るべき職業上の倫理を技術者倫理と言います。自分の技術が社会に与える影響に責任を持ち、安全や公共の利益を自社の利益より優先するという考え方です。