A 社は,従業員 300 名の専門商社であり,機密性の高い情報も取り扱っている。最近,A 社は,駅前の B ビルの 6 階に移転した。6 階には A 社だけが入居している。
B ビルの 2 階から最上階の 17 階には多数の企業が入居しており,通常時はエレベーターを使用して各階に移動することができる。B ビルのビル管理業務は B 社が行っている。B 社はビルの入退館と入居企業の執務エリアの入退室を管理するシステム(以下,C システムという)を導入している。各入居企業は,C システムが発行する IC カード(以下,B カードという)を従業員に貸与している。各入居企業の執務エリアの出入口のドアは,当該企業が従業員に貸与した B カードをドア横の IC カードリーダーにかざすことによって解錠できる。
B ビルのエントランスホールは 1 階にあり,エレベーターホールとの境界には,フラッパーゲートが設置されている。フラッパーゲートを通過するには,フラッパーゲートのリーダーに B カード又は入館用に一時的に発行された QR コードをかざす必要がある。フラッパーゲートを通過すれば,平日の昼間はエレベーターの行先階ボタンを押すことで各階に自由に移動ができる。夜間と休日は,行先階の入居企業が従業員に貸与した B カードをエレベーター内の IC カードリーダーにかざす必要がある。
B ビルへの来訪者は,C システムで管理している。入居企業が C システムに,来訪者氏名,所属,来訪日,来訪者メールアドレスを登録すると,来訪日にだけ有効なゲスト入館用の QR コード付き入館証(以下,ゲスト入館証という)の画像ファイルが添付された電子メールが来訪者メールアドレスに送付される。来訪者は,来訪日当日に有効なゲスト入館証の QR コードを自身のスマートフォンの画面に表示するか又は印刷してフラッパーゲートのリーダーにかざすことによってフラッパーゲートを通過できる。当日に限り,同じ入館証で繰り返し入退館が可能なように C システムは設定されている。
〔B ビルの物理的セキュリティにおける課題と B 社への依頼〕
ある日,突然,取引先の D 社の E 氏が予約なしに,A 社の情報セキュリティリーダーの F 部長を訪ねて 6 階の受付エリアにやって来た。驚いた F 部長は,E 氏が来たことをきっかけに B ビルの物理的セキュリティについて調査し,複数の課題があることを発見した。そして,F 部長はその課題と B 社への依頼を表 1 にまとめた。