問13 ビルの入館の穴をふさぐ

情報セキュリティ​マネジメント試験 令和8年度 公開問題、全15問のうちの問13。

出典:令和8年度 情報セキュリティマネジメント試験 科目A・B 公開問題 問13(表 1 は原本の画像を文字に書き起こし、狭い画面で読めるよう項番を課題の欄に入れて 2 列にした。空欄を[ a1 ][ a2 ]の形で示し、解答群の表を文に組み直した)

A 社は,従業員 3⁠0⁠0 名の専門商社であり,機密性の高い情報も取り扱っている。最近,A 社は,駅前の B ビルの 6 階に移転した。6 階には A 社だけが入居している。

B ビルの 2 階から最上階の 1⁠7 階には多数の企業が入居しており,通常時はエレベーターを使用して各階に移動することができる。B ビルのビル管理業務は B 社が行っている。B 社はビルの入退館と入居企業の執務エリアの入退室を管理するシステム(以下,C システムという)を導入している。各入居企業は,C システムが発行する IC カード(以下,B カードという)を従業員に貸与している。各入居企業の執務エリアの出入口のドアは,当該企業が従業員に貸与した B カードをドア横の IC カードリーダーにかざすことによって解錠できる。

B ビルのエントランスホールは 1 階にあり,エレベーターホールとの境界には,フラッパーゲートが設置されている。フラッパーゲートを通過するには,フラッパーゲートのリーダーに B カード又は入館用に一時的に発行された QR コードをかざす必要がある。フラッパーゲートを通過すれば,平日の昼間はエレベーターの行先階ボタンを押すことで各階に自由に移動ができる。夜間と休日は,行先階の入居企業が従業員に貸与した B カードをエレベーター内の IC カードリーダーにかざす必要がある。

フラッパーゲートのすぐ外には階段室に入るための階段口があり,階段口にある非常ドアは通常時,エントランスホールには出られるが,階段室には入れない仕組みになっている。ほかの階の階段口にある非常ドアは通常時,各フロアには出られないが,階段室には入れる仕組みになっている。ただし,どの階の非常ドアも清掃時などに一時的に出入り可能になることがある。また,非常時は自動的に出入り可能になる。フラッパーゲートの脇にはごみ箱が設置されている。

〔来訪者管理〕

B ビルへの来訪者は,C システムで管理している。入居企業が C システムに,来訪者氏名,所属,来訪日,来訪者メールアドレスを登録すると,来訪日にだけ有効なゲスト入館用の QR コード付き入館証(以下,ゲスト入館証という)の画像ファイルが添付された電子メールが来訪者メールアドレスに送付される。来訪者は,来訪日当日に有効なゲスト入館証の QR コードを自身のスマートフォンの画面に表示するか又は印刷してフラッパーゲートのリーダーにかざすことによってフラッパーゲートを通過できる。当日に限り,同じ入館証で繰り返し入退館が可能なように C システムは設定されている。

〔B ビルの物理的セキュリティにおける課題と B 社への依頼〕

ある日,突然,取引先の D 社の E 氏が予約なしに,A 社の情報セキュリティリーダーの F 部長を訪ねて 6 階の受付エリアにやって来た。驚いた F 部長は,E 氏が来たことをきっかけに B ビルの物理的セキュリティについて調査し,複数の課題があることを発見した。そして,F 部長はその課題と B 社への依頼を表 1 にまとめた。

表 1 B ビルの物理的セキュリティにおける課題と B 社への依頼(抜粋)
項番と課題B 社への依頼
1 フラッパーゲート脇に設置されたごみ箱から印刷された使用済のゲスト入館証を拾えば,1 階のフラッパーゲートを通過し入館できてしまう。[ a1 ]
2 6 階以外への来訪者が,ゲスト入館証で 1 階のフラッパーゲートを通過すれば,平日の昼間はエレベーターで 6 階に移動できてしまう。[ a2 ]

設問 次の依頼のうち,表 1 中の[ a1 ],[ a2 ]に入れるものの組合せはどれか。a に関する解答群のうち,最も適切なものを選べ。

(一) C システムの設定を変更し,ゲスト入館証の QR コードの誤り訂正レベルの設定を高くする。

(二) C システムの設定を変更し,ゲスト入館証は 1 回限り入館可能にする。

(三) エレベーターで行先階に移動するためには,平日の昼間も IC カードリーダーに B カードをかざすことを必要とする。そのため,各入居企業には,当該企業の従業員が 1 階のエレベーター前から当該企業まで来訪者をアテンドするよう要請する。

(四) 警備員を 1 階のフラッパーゲート脇に配置し,不正に入館しようとしている者がいないかどうかを監視する。

  1. アa1 (一),a2 (二)
  2. イa1 (一),a2 (三)
  3. ウa1 (二),a2 (一)
  4. エa1 (二),a2 (三)
  5. オa1 (二),a2 (四)
  6. カa1 (三),a2 (一)
  7. キa1 (三),a2 (二)
  8. クa1 (三),a2 (四)
  9. ケa1 (四),a2 (一)
  10. コa1 (四),a2 (二)
答えと解説を開く

正解はエです。

課題を 1 つずつ、原因に直接効く依頼と組にします。項番 1 の原因は、ゲスト入館証が当日なら何度でも使える設定にあります。捨てられた使用済の入館証も当日中は有効なので、拾った人が入れてしまいます。(二) で 1 回限りにすれば、使用済の入館証では通れなくなります。項番 2 の原因は、平日の昼間はゲートを通れば行先階ボタンだけでどの階にも行けることです。(三) でエレベーターの移動に B カードを要るようにし、入居企業の従業員が来訪者を迎えに行く形にすれば、6 階以外への来訪者は 6 階へ行けません。a1 が (二)、a2 が (三) の組です。正解はエです。

ほかの選択肢が違う理由

  • アa1 の (一) は QR コードを読み取りやすくする設定で、使用済の入館証の再利用は止まりません。a2 の (二) は、1 回でもゲートを通ればエレベーターでどの階にも行けるので、項番 2 は解決しません。
  • イa2 の (三) は合っていますが、a1 の (一) は誤り訂正の強さを変えるだけで、拾った入館証で入れる問題は残ります。
  • ウa1 の (二) は合っていますが、a2 の (一) は QR コードの読み取りの設定で、エレベーターでの階の移動とは関係がありません。
  • オa1 の (二) は合っていますが、a2 の (四) の警備員はゲートの脇にいるだけです。正しい入館証で入った来訪者が、エレベーターで 6 階へ行くことは止められません。
  • カa1 の (三) はエレベーターの移動を縛るだけで、拾った入館証でゲートを通って入館すること自体は止まりません。a2 の (一) は階の移動と関係がありません。
  • キ組が逆です。(二) は入館証の使い回しを止める対策なので項番 1 に、(三) はエレベーターでの移動を縛る対策なので項番 2 に当たります。
  • クa1 の (三) では拾った入館証での入館は止まりません。a2 の (四) の警備員も、正しく入館した来訪者のエレベーターでの移動は止められません。
  • ケa1 の (四) の警備員は、拾った入館証がその日は有効なので、正しい来訪者と見分けられません。a2 の (一) は階の移動と関係がありません。
  • コa1 の (四) では、拾った入館証も有効な物として通ってしまうため見分けられません。a2 の (二) は 1 回の入館を許すので、ゲートの先での階の移動は止まりません。

仕組み

物理的セキュリティの問は「どこを越えると、どこまで行けてしまうか」を図にして読むと解きやすくなります。この問では、ビルの入口 (フラッパーゲート)、エレベーター、各社のドアの 3 つの関門があり、平日の昼間はエレベーターの関門が開いたままでした。

対策は、課題の原因に直接効く物を選びます。人の見張り (警備員) は目に見えて安心ですが、正しく発行された入館証の使い回しのように、見た目で区別できない不正には効きません。仕組みの設定 (1 回限り、カードが要る) で原因そのものを断つ方が確実です。