エンジニアキャリアの歩き方
副業でトラブルを避けるための契約・税金知識
副業でつまずくのは、たいてい技術のところではありません。契約書を読まずに受けた、記録を残していなかった、という周辺のところです。
なお、ここに書くのは一般的な説明です。契約の解釈も税の扱いも、条件によって変わりますし、制度そのものも見直されます。実際に手続きをする前には、税務署や税理士など、専門の窓口に確認してください。
契約書を読まずに引き受けると、あとで効いてくる
個人で仕事を受けるときによく使われるのが業務委託契約です。中身は大きく 2 つに分かれると説明されていて、成果物の完成に対して報酬を払う形と、業務の遂行に対して報酬を払う形があります。前者を請負、後者を準委任と呼ぶことが多いようです。
呼び方より、何に対してお金が払われるのかを確かめてください。ここが曖昧なままだと、直しの範囲でもめます。
| 見るところ | 成果物に払う形 | 業務の遂行に払う形 |
|---|---|---|
| 報酬の対象 | 完成したもの | 遂行した業務(時間で決めることも、成果で決めることもあります) |
| 直しの扱い | 不具合の修正を求められることがある | 期間内の作業として扱われることが多い |
| 向く仕事 | 期間の区切れた制作物 | 継続的な開発への参加 |
上限の書いていない賠償条項が、いちばん怖い
契約書で先に見ておきたいのは、損害賠償の範囲です。賠償の総額を受け取った報酬の額までとする一文が入っていることがあります。この一文がないと、数万円の仕事に対して、それとは桁の違う請求が起きる可能性が理屈のうえでは残ります。
あわせて、次の 3 つも確認しておくと安全です。納品したコードの権利がどちらに移るのか、そして実績として公開してよいのか。検収と支払いがいつになるのか。どこからどこまでが自分の作業なのか。最後の 1 つを書いていないと、話が少しずつ広がっていきます。
雛形を渡されたら、そのまま署名せず、分からない条項は質問してかまいません。質問して機嫌を損ねる相手なら、その先も揉めます。
税金は、あとからまとめて来る
本業の給与は勤務先が源泉徴収と年末調整をしてくれますが、業務委託で受け取る副業の収入は自分で申告することになります。副業も雇用であれば副業先が源泉徴収を行うので、働き方によって扱いが変わります。所得税の確定申告が必要かどうかも、所得の額や働き方によって変わると説明されています。線引きの金額や条件は制度の見直しで変わることがあるので、その年の国税庁の案内を見るか、税務署に確認してください。
所得税の申告が要らない場合でも、住民税の手続きは別に必要になることがあるとされています。運用は市区町村によって違うので、住んでいる自治体に聞くのが確実です。
業務に関係する支出を経費として計上できる場合もあります。ただし、どこまで認められるかは実態によるので、迷ったら確認してください。どちらにしても、領収書と入出金の記録は月に一度まとめておくことです。年末に一年分を思い出そうとすると、必ず時間が溶けます。
会社に知られるかどうかは、隠し方の問題ではない
住民税の徴収方法を自分で選べる場合があると言われていますが、自治体の運用によっては希望どおりにならないこともあります。隠し通す前提で組み立てないほうがよい、というのが結論です。
そもそも副業の扱いは会社ごとに違います。勤務時間外に何をするかは本来は個人の自由で、会社が制限するには、本業に支障が出る、競業にあたる、秘密が漏れる、といった理由が要ると説明されています。とはいえ揉めてから主張するより、就業規則を読み、届け出が要るなら出しておくほうが、結果として気が楽です。
復習ミニクイズ
あるWebアプリの開発案件を「請負契約」で受けました。納品後にプログラムのバグが見つかった場合の対応として、契約上の原則に基づいた正しい説明はどれですか?