エンジニアキャリアの歩き方
複数のエージェントを使いこなすための戦略
転職エージェントに登録するとき、「評判のいいところを 1 社選んで任せよう」と考える人は多いと思います。ただ、1 社に任せると、判断の材料までその 1 社に依存することになります。
1 社だけに聞くと、その 1 社の景色しか見えない
担当者にも得意分野があります。同じ経歴を見せても、ある担当者は「この年収帯が妥当」と言い、別の担当者は「今の市場ならもう一段上を狙える」と言うことがあります。どちらかが嘘をついているわけではなく、見ている求人の範囲が違うだけです。
紹介される会社も同じです。持っている求人にしか案内できないので、1 社としか話していなければ、その会社が扱う範囲がそのまま自分の選択肢になります。
複数に登録する目的は、応募数を増やすことではありません。同じ経歴に対して違う評価を聞くことで、自分の位置を測るためです。数字が 2 つ以上あって初めて、片方が高いのか低いのかを判断できます。
担当者との相性という問題もあります。技術の話が通じない相手だと、経歴を説明するだけで毎回消耗します。何社か話してみて、話が早い人を主軸に据えればいいだけの話です。
種類で分けて、役割を割り振る
やみくもに数を増やすと、連絡の管理だけで疲れます。役割が重ならないように選ぶのがこつです。
| タイプ | 得意なところ | 使いどころ |
|---|---|---|
| 幅広く扱うところ | 求人の数と業種の広さ | 選択肢の全体を眺める |
| エンジニアに特化したところ | 技術の話が通じる | 技術や開発体制で絞り込む |
| スカウトを受け取る形のもの | 企業から来る引き合いが見える | 自分に何の声がかかるかを知る |
どの会社を選ぶかより、この 3 つの役割が揃っているかどうかを見てください。特化型を 2 社使うなら、扱う領域がずれているかを確認します。同じ求人ばかり届くなら、片方は減らして構いません。
二重応募は、取り返しがつかない
複数の窓口から同じ会社に応募してしまうことがあります。これは選考が止まる原因になりますし、紹介した側にも迷惑がかかります。
防ぎ方は単純で、記憶に頼らないことです。会社名、どこ経由か、今どの段階か、次の予定。この 4 つを 1 枚の表に書いておけば足ります。エージェントごとに管理すると、必ず抜けます。
他社も使っていることは、隠さず伝えてかまいません。むしろ他社で選考が進んでいると分かると、日程の調整が早くなることのほうが多いです。ただし、応募先が重ならないよう、どこに出しているかは正確に共有します。
断るのは、自分の仕事
エージェントの収益は、入社が決まったときに発生します。だから、承諾を急がせる連絡が来ることがあります。悪意があるとは限りませんが、利害が完全に一致しているわけではない、とは知っておいてください。
納得できない案件は、理由を添えて断ります。理由を伝えると次の紹介の精度が上がるので、黙って流すより結果的に得です。会社の評判や技術の将来性についての話も、1 人の意見で決めず、別の担当者にも同じことを聞いてみてください。
複数の選考が進んだら、結果が出るタイミングをできるだけ揃えておくと判断が楽になります。1 社の回答期限が切れたあとに本命の結果が出る、という状況は避けたいところです。各担当者に他社の進み具合を伝えて、日程の調整を頼んでおいてください。最後に決めるのは自分です。
復習ミニクイズ
複数の転職エージェントを併用する際、トラブルを防ぎつつ自分に有利な状況を作るための最も適切な立ち回りはどれですか?