エンジニアキャリアの歩き方
エンジニアの市場価値を決める3つの要素
同じ 3 年目でも、声のかかり方が違う
同じ年数、同じくらいコードが書ける二人でも、任される仕事の大きさや、外から届く声のかかり方には差が出ます。片方の技術力が低いから、とは限りません。市場が見ているのが、技術力そのものではないからです。
市場価値は、突き詰めると需要と供給の関係で決まります。「その役割を任せられる人が、どのくらい見つかりにくいか」です。難しいことができるかどうかより、その場で代わりが見つかりにくいかどうかのほうが効きます。難易度の高い技術でも、扱える人が十分にいれば希少にはなりません。逆に、技術としては地味でも、その組織の事情まで含めて任せられる人が数人しかいないなら、そこには価値がつきます。
見つかりにくさは、3 つの重なりで生まれる
代わりの見つかりにくさを作る材料は、大きく次の 3 つです。
- 技術の深さ — 使えるだけでなく内部の動きが分かっていて、壊れたときに原因を追える
- 文脈の理解 — 何のために作るのかが分かっていて、仕様の穴に先に気づける
- 任せられる度合い — 期日までに期待された品質で出し切ってきた履歴がある
この 3 つは足し算というより、掛け算に近い動きをします。技術が飛び抜けていても、何のために作るのかを一度も聞かない人のところに、設計や要件の判断は回ってきません。逆に、事業の話ができても実装が終わらない人には、次の仕事が来ません。どれか一つが極端に薄いと、他を伸ばしても伸び方が鈍ります。
「コードが書ける」の外側にあるもの
文脈の理解は、多くの場合、業界固有の知識として現れます。決済まわりの制約を知っているエンジニア、在庫と物流の癖を知っているエンジニアは、仕様書を待つ側から、仕様を一緒に決める側に移りやすくなります。技術は会社を変えても持ち運べますが、この知識は業界を変えると一度目減りします。裏を返せば、同じ業界に居る期間そのものが積み上がる資産になるということです。
任せられる度合いは、周囲の記憶の中にあります。込み入った技術の話を非エンジニアにも通じる言葉にできたか、レビューでチームの手戻りを減らしたか、後から入った人が迷わずに済むものを残したか。一人が書けるコードの量には上限があるので、キャリアが長くなるほど、この部分の比重が上がっていきます。
薄いところを見つける 3 つの問い
伸ばす場所を選ぶときは、強い場所ではなく薄い場所から眺めると当たりがつきます。次の 3 つに詰まったら、そこが今の薄いところです。
- 自分の主力技術で、直近に追いかけた不具合の原因を、人に説明できるか
- 今作っている機能が、誰のどの困りごとを消すために存在するのか言えるか
- 「あれはあの人に任せておけば大丈夫」と言われている領域が、一つでもあるか
3 つとも埋まっている必要はありません。埋まっていないものが分かれば、次に時間を使う場所が決まります。それだけで、闇雲に新しい技術を追いかける時間はかなり減ります。
復習ミニクイズ
エンジニアの市場価値を「3つの要素の掛け算」で高めるという考え方に基づいたとき、最も適切な行動はどれですか?