エンジニアキャリアの歩き方
転職市場で求められる「真のスキル」とは?
必須スキルを全部満たしてから、と思っていると応募できない
求人票を開くと、必須スキルが箇条書きで並んでいます。全部埋まっている人は、実はほとんどいません。書いている側も、全部満たした人が来る前提では書いていないからです。
求人票の言葉は、社内の役割を短く言い換えたものです。短くする過程で情報が落ちるので、そのまま読むと「資格の一覧」に見えてしまいます。実際には、その裏に「入ってからこういう場面が来るので、こう動ける人だと助かる」という具体的な状況があります。言葉を状況に戻して読めると、自分に何が足りていて何が足りないのかが、はじめて判断できるようになります。
求人票の言葉を、実務の言葉に訳し直す
よく並ぶ言葉と、その裏にある状況を並べてみます。
| 求人票の言葉 | 裏にある状況 | 確かめられる材料 |
|---|---|---|
| 自走力のある方 | 仕様が固まる前に着手する場面がある | 分からない点を洗い出して人に渡した経験 |
| コミュニケーション能力 | 職種の違う相手と条件を詰める場面がある | 制約を非エンジニアに説明した経験 |
| 設計経験 | 数年後も直せる形にする判断を任される | 後から変更が入ったコードを直した経験 |
| 実務経験 3 年以上 | 一人で一機能を最後まで運べる想定 | 一つの機能を設計から公開まで通した経験 |
こう並べると、年数そのものより「その年数で普通は経験するはずのこと」が問われていると分かります。だから、年数が足りなくても該当する経験があるなら材料になりますし、年数が足りていても該当する経験がなければ、そこは正直に薄いままです。
必須と歓迎の書き分けにも意味があります。必須の欄は、入った直後に手を動かしてもらう領域です。ここが大きく外れていると、入ってから本人がつらくなります。歓迎の欄は、その会社がこれからやりたいことや、社内に足りていない役割が出やすい場所です。歓迎スキルに並んでいるものが自分の得意な領域と重なっているなら、入った後に任される範囲が広がりやすいという読み方ができます。
自走力は、一人でやり切ることではない
いちばん誤解されやすいのがこの言葉です。誰にも聞かずに完成させる力だと読むと、詰まったときに何時間も一人で抱える方向に進んでしまいます。
現場で自走と呼ばれているのは、止まらずに前へ動かし続ける力です。分からない点を分からないまま放置せず、何が決まっていないのかを切り分けて、決められる人のところへ持っていく。試したことと結果を添えて渡す。これができる人は、実際には周りをよく巻き込んでいます。一人で黙って時間を溶かしている状態は、自走とは逆の位置にあります。
見られているのは、動いたかではなく、届いたか
もう一つの差は、成果の語られ方に出ます。「この機能を実装しました」で止まると、聞いた側には難易度も影響範囲も伝わりません。同じ仕事でも、何が困っていて、何をして、その後どうなったかまで並ぶと、判断できる情報になります。
数字が取れる仕事ばかりではないので、無理に売上に紐づける必要はありません。問い合わせが減った、デプロイの手順が半分になった、新しく入った人の立ち上がりが早くなった。そうした変化でも、前と後を並べれば十分に伝わります。日々の仕事のなかで「前はどうだったか」を一言メモしておくだけで、後から語れる形になります。
復習ミニクイズ
転職市場において「真のスキルが高い」と評価されるエンジニアの行動として、本レッスンの内容に基づき最も適切なものはどれでしょうか?