エンジニアキャリアの歩き方
英語力は必須か?技術英語の効率的な学習法
日本語の解説が出るのを待っているうちに、締め切りが来る
新しいライブラリを入れることになり、いつものように日本語の解説記事を探します。ところが出てくるのは古いバージョンの記事ばかりで、手元の挙動と合わない。公式ドキュメントは英語で、開いたものの読む気にならない。仕方なくページごと翻訳にかけると、専門用語が変な日本語になっていて、かえって意味が取れない。
英語が要るかどうかを一般論で議論する前に、この場面で困っているかどうかを見てください。困っているなら、鍛える場所は決まっています。
四つのうち、最初に効くのは読むこと
英語には読む、聞く、書く、話すの四つがありますが、仕事に効く順番は同じではありません。
エンジニアの仕事で英語が必要になるのは、ほとんどが文字の場面です。公式ドキュメント、リリースノート、Issue のやりとり、エラーメッセージの説明。どれも読むことから始まります。読めるようになった時点で、詰まったときに自力で当たれる場所が何倍にも増えます。
書くことは、その次に来ます。コミットメッセージやプルリクエストの説明を英語で書く現場は、外資でなくても珍しくありません。ただ、必要な英語の幅はかなり狭く、読めるようになった人なら型を借りるだけで足ります。
聞くことと話すことは、必要になる場面が限られます。海外拠点との会議や英語圏のチームに入る予定が具体的にあるなら投資する価値がありますが、そうでない段階で会話の練習から入ると、費やした時間のわりに日々の仕事は変わりません。順番としては後ろで構いません。
一段落だけ、翻訳にかける前に読む
読む力をつける練習は、一つで足ります。公式ドキュメントを一日一段落、翻訳にかける前に原文で読む。これだけです。
やり方は次のとおりです。今の仕事で使っているライブラリの公式ドキュメントを開き、必要なページから一段落を選びます。まず原文のまま最後まで目を通し、意味が取れなかった単語だけに印をつけます。そこで初めて辞書か翻訳を使い、印をつけた語だけを調べます。段落全体を翻訳にかけてはいけません。分からなかった箇所が分からなくなるからです。
最後に、調べた語を手元のメモに書き足していきます。二週間も続けると、同じ語が何度も出てくることに気づきます。deprecated、asynchronous、latency、fallback といった技術文書の常連は、数十語しかありません。この数十語が入るだけで、読む速さは体感で変わります。
一段落なら、五分で終わります。時間が取れない日でも落とさずに済む量にしておくのが、続けるための条件です。
現場の話 — 翻訳ツールや AI を禁止する必要はありません。原文を先に読み、分からなかったところを埋めるために使う、という順番さえ守れば、補助輪として役に立ちます。
書くほうは、動詞ではじめる型だけ持っておく
読むのに慣れたら、書くほうは型を一つ覚えるだけで始められます。コミットメッセージやプルリクエストのタイトルは、動詞の原形で始めるのが広く使われている書き方です。
Fix login failure on Safari、Add validation to the email field、Remove unused config。過去形にせず、原形で始めて、何をしたかを一行に収める。これだけで、読む側は一秒で内容を把握できます。
長い文章を書こうとすると、文法で止まります。説明が必要なときは箇条書きにしてください。構造化された短い文の集まりのほうが、複雑な一文より確実に伝わります。完璧な英語よりも、誤解されない英語のほうが、現場では価値があります。
今日開いているドキュメントの一段落から、始めてみてください。
復習ミニクイズ
多忙なエンジニアが最も効率的に公式ドキュメントを読み解き、技術英語を身につけるための学習スタイルとして、レッスンで推奨されているものはどれですか?