エンジニアキャリアの歩き方
成長企業と停滞企業を見分けるための企業分析術
入ってみないと分からない、で終わらせない
会社選びの話になると、最後は運だという結論になりがちです。中の様子は外から見えないし、面接で聞いても良いことしか返ってこない。だから知名度や条件で決めてしまう。
ただ、外から見えないのは「働き心地」であって、その会社が何にお金と時間を使っているかは、かなりの部分が公開されています。技術の入れ替えに予算がついている会社と、現状を維持することが最優先の会社では、数年後に自分の手元に残る経験がまるで変わります。見る場所を決めておけば、運の割合は減らせます。
数字は、額ではなく使い道を見る
上場している会社なら、決算の資料が公開されています。ここで見るのは利益が出ているかどうかより、その利益がどこへ回っているかです。人を増やしているのか、開発に投資しているのか、それとも既存の事業を維持するだけになっているのか。説明資料には、次に何をやるつもりかが書かれています。
もう一つ手がかりになるのが、売上に対する粗利の割合です。ソフトウェアを売っている会社なら、この割合は高くなります。低い場合は、人手をそのまま提供する形の売上が多い可能性があります。どちらが良い悪いではありませんが、後者は人を増やさないと売上が伸びにくいので、一人あたりに回る技術投資が薄くなりやすい傾向があります。
上場していない会社でも、資金調達の発表や、事業の伸びを説明した記事から同じことは読めます。
| 見る場所 | そこから読めること |
|---|---|
| 決算や事業の説明資料 | 次に何へ投資するつもりか |
| 技術ブログの更新の間隔 | 発信を続ける余力が組織にあるか |
| 記事の中身 | 失敗や課題まで書いているか、宣伝で終わっているか |
| 募集しているポジションの並び | 人を増やしたい領域はどこか |
| 選考の進み方 | 意思決定にかかる時間 |
発信は、量より続いているかを見る
技術ブログは、ある時期だけ集中して書かれ、その後止まっていることがよくあります。採用を強化した時期の名残です。判断材料になるのは、直近 1 年ほどの間隔が保たれているかどうかのほうです。
中身では、うまくいった話だけでなく、うまくいかなかった話が書かれているかを見ます。移行に失敗した経緯、選び直した理由、障害の振り返り。こうした記事が出せる会社は、社内で失敗を共有できているということでもあります。内容が宣伝寄りで課題に触れていない場合は、記事から組織の様子までは読み取れないと考えたほうが無難です。
逆質問は、答えより答え方を見る
公開情報で埋まらない部分は、面接の最後に聞けます。ここで効くのは、答えの正しさより、答えるときの様子です。
たとえば、いま一番困っている技術上の課題を聞いてみます。具体的な名前が出てきて、どう向き合っているかまで説明が続くなら、現場の状況が共有されています。「特にありません」で終わる場合、課題が無いのではなく、その人のところまで届いていない可能性があります。
新しい仕組みを入れたいと提案したとき、どう扱われるかを聞くのも有効です。誰が判断して、どのくらいで結論が出るのか。過去に通った例が出てくれば、提案が動く場所だと分かります。
聞いた話は、口コミサイトの情報とも突き合わせておきます。ただし口コミは不満を持った人ほど書きやすいので、感想は割り引いて、制度や仕組みについて具体的に書かれている部分だけを拾います。決算、発信、面接、口コミ。同じことが複数の場所から見えたときに、はじめて確からしくなります。
復習ミニクイズ
エンジニアがキャリアのレバレッジを効かせ、市場価値を高めるために「成長企業」を分析する際、最も信頼できる「成長の兆候」はどれですか?