生成AI資格対策(生成AIパスポート+G検定)
AIの歴史とブーム
同じ壁に、3回ぶつかっている
AI の歴史は暗記科目に見えますが、中身は同じ壁に何度もぶつかってきた記録です。ブームのたびに期待が膨らみ、限界が見えて資金が引き、冬の時代が来ます。この構造をつかんでおくと、いまの生成 AI ブームについても、何が本当に新しくて何が昔からの課題なのかを見分けられます。
出発点は1956年のダートマス会議です。この研究会議でジョン・マッカーシーが artificial intelligence (人工知能) という語を初めて公式に使いました。マービン・ミンスキー、クロード・シャノン、ハーバート・サイモン、アレン・ニューウェルらが集まり、世界初の人工知能プログラムとされる Logic Theorist が披露されています。
これより前の1950年には、アラン・チューリングがチューリングテストを提案しました。判定者が姿の見えない相手と文字で会話し、機械か人間か見分けられなければその機械は知的だとみなす、という考え方です。知能を内部構造ではなく外から見た振る舞いで定義した点が重要です。
探索でも知識の書き下しでも、現実で詰まった
第1次ブーム (1950年代後半から1960年代) の武器は探索と推論でした。問題を場合分けの木として表し、ゴールに至る道筋を総当たりで探させる方式で、迷路やパズル、簡単な定理証明で成果が出ました。ぶつかった壁がトイプロブレムです。ルールが明確で状態数の限られたおもちゃの問題は解けるのに、条件が曖昧で例外だらけの現実の問題では組み合わせが爆発し、探索が終わりません。
第2次ブーム (1980年代) の武器は知識表現です。総当たりで探すのをやめ、専門家の知識をあらかじめ詰め込む発想で、エキスパートシステムとして実装されました。感染症診断を支援する MYCIN や DENDRAL、XCON が知られ、日本では第五世代コンピュータプロジェクトが進められました。壁は次の3つです。
- 知識獲得のボトルネック — 専門家の暗黙知を聞き出して規則に書き下す作業に膨大な手間がかかり、そこが律速になります
- フレーム問題 — いま解こうとしている課題に関係のあることだけを切り出せません。副作用を全部考え始めると計算が終わりません
- シンボルグラウンディング問題 — 機械が扱う記号が現実の意味と結びついていません。シマウマという記号を扱えても、縞のある馬だと理解しているわけではありません
フレーム問題はダニエル・デネットのロボットの寓話で説明されます。台車ごとバッテリーを運び出すロボットが台車の上の爆弾も一緒に運んでしまい、次の機体は副作用を全部考え始めて動き出す前に爆発する、という話です。関係あることだけを選ぶのが難しいという問題だと覚えます。シンボルグラウンディング問題はスティーブン・ハルナッドが提起した記号と実世界の意味の接地の問題で、別物です。この2つの取り違えが定番の引っ掛けです。
第3次が続いているのは、条件が揃ったから
第3次ブームの武器は機械学習とディープラーニングで、人が知識を書くのをやめ、データから学ばせる方向に戻りました。今回うまくいったのは理論の飛躍というより条件が揃ったからです。インターネットの普及で学習に使えるビッグデータが手に入り、GPU による並列計算で計算資源が現実的な費用で使えるようになり、誤差逆伝播法をはじめ深い層を学習させる手法が積み上がりました。
象徴的な出来事が、2012年の画像認識コンペティション ILSVRC です。トロント大学のチーム (ジェフリー・ヒントンら) の AlexNet が、ディープラーニングによって従来手法を大差で上回りました。この年が第3次ブームの実質的な起点として扱われます。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1950 | チューリングがチューリングテストを提案 |
| 1956 | ダートマス会議。artificial intelligence という語が生まれる |
| 1980 | サールが中国語の部屋を提示し、強い AI を批判 |
| 1980年代 | 第2次ブーム。知識表現とエキスパートシステム |
| 2012 | AlexNet が ILSVRC で圧勝。第3次ブームの起点 |
| 2016 | AlphaGo が囲碁でプロ棋士に勝利 |
| 2017 | Transformer が発表される |
試験ではこう出る
- 「第2次ブームで中心となった技術」はエキスパートシステムが正解で、探索や誤差逆伝播が並べられます
- フレーム問題とシンボルグラウンディング問題の説明を入れ替えた選択肢が置かれます
- ダートマス会議の年 (1956) と提唱者 (マッカーシー) の対応付けが問われます
- 「第3次ブームを支えた要因」では、ビッグデータと計算資源が答えの軸になります
復習ミニクイズ
1980年代の第2次 AI ブームで中心となった技術と、その時期に指摘された課題の組み合わせとして最も適切なものはどれですか。