生成AI資格対策(生成AIパスポート+G検定)
AIとは
定義を覚えても、答えられるようにはならない
人工知能 (Artificial Intelligence) には、研究者の間で合意された唯一の定義がありません。ある研究者は人間の知的な振る舞いを機械に行わせる技術と言い、別の研究者は環境を認識して目標達成のために行動するシステムと言います。定まらない理由の1つは、できるようになった瞬間にそれは AI と呼ばれなくなるという現象です。手書き文字の読み取りも将棋も、かつては最先端の AI 研究でしたが、実用化されるとただのプログラムと呼ばれるようになりました。これを AI 効果と呼びます。
ですから試験で問われるのは正しい定義ではなく、分類の軸を正しく使えるかです。軸は3つあります。
特化型と汎用、強いと弱いは別の軸
| 分類 | 別の呼び方 | 中身 | 例 |
|---|---|---|---|
| 特化型 AI | Narrow AI | 決められた1つの課題だけをこなす | 画像認識、翻訳、囲碁、迷惑メール判定 |
| 汎用 AI | AGI (Artificial General Intelligence) | 課題を限定せず、人間のように幅広く対応する | 現時点で実現していない |
世の中で AI と呼ばれているものは、生成 AI も含めてほぼすべてが特化型 AI の側にあります。汎用 AI は研究上の目標であって、製品として売られているものではありません。ここは事例判定でよく狙われます。
2つ目の軸が強い AI と弱い AI です。これは性能の高低ではなく、心を持つかどうかの議論です。哲学者ジョン・サールが提示した区分で、強い AI は適切にプログラムされた機械は本当に理解し意識を持つという立場、弱い AI は機械は知的に振る舞うだけで理解しているわけではないという立場を指します。サールは中国語の部屋という思考実験でこれを論じ、記号を規則どおりに操作できても意味を理解したことにはならないと主張しました。
この2組は別物です。試験では混ぜて選択肢に並べてきます。強い AI は「賢い AI」ではありません。
規則を書いたのは誰か
実務上いちばん効くのが3つ目の軸です。ルールベースは、人間が知識を「もし〜ならば〜する」の形の規則として書き下し、機械がそれを適用します。医療診断を模した MYCIN のようなエキスパートシステムが代表です。判断の根拠を人が規則で追える一方、規則に書いていない事態には対応できず、対象が複雑になるほど規則の数が爆発し、規則どうしが矛盾しはじめます。規則を書くのは人間なので、専門家から知識を聞き出す作業も必要になります。
機械学習は、規則を人間が書きません。大量のデータを与えて、そこに含まれるパターンを機械自身に見つけさせます。迷惑メール判定なら、迷惑メールと通常メールを何万通も見せて、どんな語の並びが迷惑メールらしいかを機械が数値として獲得します。規則に書き下せない曖昧な課題を扱える代わりに、学習データの質と量が性能を決め、なぜその判断をしたのかが人には見えにくくなります。
判定のコツは規則を書いたのは誰かを問うことです。人が条件を列挙していればルールベース、データを食わせて中身の数値が決まったなら機械学習です。
そのうえで包含関係を覚えます。いちばん外側が AI、その内側に機械学習、さらにその内側にディープラーニングがあります。ルールベースの AI は、AI の円の中で機械学習の円の外にあります。決定木やサポートベクターマシンのような「ディープラーニングではない機械学習」は存在しますが、「機械学習ではないディープラーニング」は存在しません。
試験ではこう出る
出題者は用語を直接聞かず、事例の説明文で書いてきます。
- 「担当者が過去の経験から条件分岐を200個書き並べた」はルールベースです。学習という語が出てこないのが合図になります
- 「過去10年の販売実績を与えて売上を予測させる」は機械学習です。データから傾向をつかむという記述が合図です
- 「人間と同じように何にでも対応できる AI」は汎用 AI で、まだ実現していないという扱いが正解になります
- 「機械が本当に意識を持つかという議論」は強い AI と弱い AI の話で、性能の議論ではありません
- 包含関係は「ディープラーニングは機械学習の一種か」という形の正誤問題で頻出です
復習ミニクイズ
ある物流会社が、担当者へのヒアリングをもとに「重量が20kgを超え、かつ配送先が離島なら追加料金を課す」といった条件を約150件書き並べた料金判定システムを導入しました。このシステムの説明として最も適切なものはどれですか。