つくる:統合データセット
このレッスンでできるようになること。concat と merge を続けて掛け、3店舗の明細と商品マスタから分析用の統合データセットを組み立てられるようになります。新しい文法は出てきません。
第5章でやってきたことを1本につなぎます。手順は3段階です。まず店舗ごとに分かれた明細に 店舗 列を足して縦に積み、次に商品マスタを横に結合し、最後に定価まで入った1枚の表として集計できる状態にします。この表が、6章以降のグラフと分析の入力になります。
順番には理由があります。先に積んでから結合するほうが、マスタとの突き合わせが1回で済みます。逆にすると店舗の数だけ結合を書くことになり、片方だけ how を書き忘れるといった食い違いが起きます。同じ処理は1回だけ書く、という原則はデータ処理でも同じです。
たとえば分館別の貸出記録と図書台帳でも、積んでから結合する順になります。売上明細では結合キーに商品名とカテゴリを使います。
Python
all_loans = pd.concat(loan_frames, ignore_index=True)
with_titles = all_loans.merge(catalog, on=["図書ID"], how="left")how="left" を選ぶ理由も確認しておきます。ここでの主語は売上明細です。マスタに載っていない商品名があっても、その売上は実際に立っているのですから、行を消してはいけません。inner にすると総売上が静かに減ります。定価が空になるほうが、行が消えるよりはるかに安全です。
仕上げに、統合できたかどうかを自分で点検します。点検の観点は3つです。1つめは行数で、積んだ明細の合計と一致していること。2つめはマスタとの突き合わせで、定価が付かなかった行が何件あるか。3つめは総売上で、店舗別の合計を足したものと一致していること。この3つが揃えば、統合データセットは信用して使えます。
点検の結果もレポートに残す価値があります。「定価が付かなかった明細が2件あり、いずれも新商品でマスタ登録が間に合っていなかった」と書いてあるだけで、読み手はその表を信用できます。数字そのものより、数字の作り方を示すほうが説得力を持つ場面は多いです。
演習の読み込み、店舗列の追加、concat は完成済みです。自分で書くのは、左結合と未対応件数の確認です。マスタのキーは重複しないものとします。カテゴリ集計は _category_totals に渡します。
欠損の件数は isna().sum() で求められます。たとえば図書台帳の返却日の空欄なら、次のように数えます。
Python
loans = pd.DataFrame({"返却日": ["2026-07-02", None, None]})
unreturned = int(loans["返却日"].isna().sum())isna() は欠損を True、それ以外を False にします。合計では True を1として数えるため、未返却は2件になります。
要件
- 読み込み、店舗列の追加、concat はひな形の準備済みコードを使う
- all_sales に products を on=["商品名", "カテゴリ"]、how="left" で結合して merged に入れる
- マスタのキーの組は重複しないものとし、明細の行を落とさない
- 定価が NaN の件数を整数の unmatched に入れる
- カテゴリ集計と返却辞書はひな形のまま使う