つくる:示唆を1枚に
このレッスンでできるようになること。前月比・構成比・外れ値の結果を、数字ではなく言葉の形にまとめられるようになります。新しい文法は出てきません。
第7章でやってきたことを1つにまとめます。ここで作るのは表でもグラフでもなく、文章です。分析の成果物は最終的に言葉になります。誰かが読んで判断できる形にならなければ、どれだけ精緻な計算をしても使われません。
言葉にするときの型を紹介します。事実、解釈、含意の3段です。
事実は数字そのものです。「6月の全店売上は前月比プラス12パーセント」。ここには解釈を混ぜません。解釈は、その数字が何を意味するかです。「3ヶ月連続の増加で、回復基調にある」。含意は、だから何をすべきかです。「増加の中心は渋谷店の食器カテゴリなので、同じ施策を他店に広げる余地がある」。
この3段を混ぜないことが大切です。事実と解釈が混ざった文章は、読み手が検証できません。「売上が好調です」は事実のようでいて解釈です。何と比べて好調なのかが書かれていないからです。逆に数字だけを並べた報告は、読み手に解釈を丸投げしていることになります。
分かったことを3つに絞るのにも意味があります。10個並べると、読み手はどれが重要か分かりません。3つに絞るには、どれを捨てるかを決めなければならず、その判断こそが分析者の付加価値です。選ぶ基準は、行動が変わるかどうかです。知っても何も変わらない事実は、面白くても外します。
最後に、書いた文章を自分で疑う手順を入れてください。その数字は並び順を間違えていないか。構成比だけを見て実額を忘れていないか。外れ値を含めたまま平均を語っていないか。この章で学んだ落とし穴は、どれも「気づかないまま間違った結論を出す」形で現れます。計算が通ることと、結論が正しいことは別です。
演習は集計の書き直しではなく、事実・解釈・含意を3文に分ける練習です。_finding_data が直近月の前月比 growth_rate、期間全体の最大売上の店舗 top_store とカテゴリ top_category を渡します。期間全体の最大値だけでは、直近月の増減の原因は断定できません。解釈にその限界、含意に次の確認を書きます。
文字列に変数を埋め込み、リストに順に追加する形を、図書館の利用状況で確かめます。
Python
visitor_count = 80
notes = []
notes.append(f"今日は {visitor_count} 人が来館しました")
notes.append("来館者は多いですが、増えた理由はまだ分かりません")
notes.append("次に曜日別の来館者数を確認します")f を付けた文字列は {変数名} をその値に置き換えます。append はリストの末尾に1項目を追加します。
要件
- _finding_data の集計と返却辞書はひな形のまま使う。入力は同一年で2か月以上あり、比較する前月合計は正とする
- findings に append で事実、解釈、含意の順に3文を追加する
- 事実は「全店売上の前月比は {growth_rate} パーセントです」
- 解釈は「期間全体では {top_store} と {top_category} の売上が最大ですが、直近月の増減の原因はまだ分かりません」
- 含意は「次に {top_store} の {top_category} の月別売上を確認し、全店の増減への寄与を調べます」