AIへの指示の出し方:プロンプト入門
Zero-shotプロンプティングとは?例なしでAIに指示を出す基本テクニック
例を作るのに 10 分かけてから、投げていませんか
プロンプトの解説を読むと「お手本を見せると精度が上がる」と書いてあります。それ自体は本当です。ただ、お手本を作るのには時間がかかります。分類のために入力と出力の組を 3 つ用意するだけで、10 分は溶けます。しかも、その 10 分をかけなくても通る仕事のほうが実は多いのです。
例をひとつも見せず、指示だけで済ませる頼み方を Zero-shot と呼びます。Shot は AI に見せる例の数を指します。今のモデルは膨大な文章を学習しているので、まずここから投げて、通らなかったときだけ例を作る、という順番が現実的です。
例が要らない仕事と、要る仕事
Zero-shot で足りるのは、やってほしいことが世の中に名前として存在する仕事です。要約、翻訳、下書き、言い換え、誤字の指摘。学習データの中に実例が山ほどあるので、「要約してください」と書いた時点で、AI 側にはもう十分な手本があります。こちらが例を足しても、大きくは変わりません。
例が要るのは、出力の形が自分たちの都合で決まっている仕事です。社内独自のタグの付け方、決まった記号で区切ったフォーマット、自社のブランドの言い回し。これらは世の中に実例が無いので、言葉でいくら説明しても再現されません。
迷ったら、その仕事を新人に頼む場面を考えてください。口頭の説明だけで済むなら Zero-shot、見本を 1 枚渡すなら例が要ります。だいたい同じ線で分かれます。
3 回投げて形が揃わないなら、そこが天井
Zero-shot が効いているかどうかは、同じプロンプトを 3 回投げれば分かります。
プレーンテキスト
以下のカスタマーレビューを、ポジティブかネガティブに分類し、
判断の理由を 20 文字以内で添えてください。
【レビュー】
届くのが早く、梱包も丁寧でした。また利用したいです。レビュー本文を【 】で囲んであるのは、飾りではありません。例を渡さない頼み方では、どこまでが指示で、どこからが処理してほしいデータなのかを、AI が言葉の意味から推測することになります。長い本文を貼ると、本文の中の一文を指示だと受け取ってしまうことがあります。記号で囲っておけば、この取り違えは起きません。
3 回とも中身が同じで、形も同じなら、そのまま使えます。ここで見るべきなのは中身と形を分けることです。
中身も形も揃っているなら合格。中身が毎回違うなら、指示そのものに解釈の余地が残っています。多いのは、判断の基準を書いていない場合です。「価格への不満はネガティブに寄せる」のように、迷いそうな線を 1 本引くと収まります。
やっかいなのは、中身は合っているのに形だけが毎回違う場合です。あるときは「判定はポジティブです」、あるときは箇条書き、あるときは前置きの雑談つき。これは指示の解釈がずれているのではなく、形を文章で説明していることに原因があります。指示文をさらに細かくしても、この揺れはあまり減りません。出力の実物を 1 つ見せるほうが、はるかに早く直ります。
復習ミニクイズ
レッスンで解説した「明確な指示」「文脈・背景」「出力の指定」の3要素を最も適切に含んでいるプロンプトはどれでしょうか?