AIへの指示の出し方:プロンプト入門
ChatGPTでデータ分析・レポート生成を自動化するプロンプト
カフェの売上表を貼って、気づいたことを教えてくださいと頼みます。返ってきたのは「火曜日の 120 は他の曜日より低く、改善の余地があります」という一文でした。
その 120 が何なのかを、AI は知りません。売上金額なのか、来店した人数なのか、注文の杯数なのか。金額だとして、120 円なのか 120 千円なのか。それでも AI は止まらず、いちばんありそうな解釈を勝手に選んで話を進めます。ここで解釈がずれると、その先の分析は全部ずれます。
数字には、単位と期間と母数を添える
数字を渡すときは、次の 3 つを必ず一緒に書きます。書き忘れたぶんは、AI が推測で埋めます。
- 単位 — 円か、人か、件か。千円単位で丸めているならそれも書く
- 期間 — いつからいつまでの数字か。1 日分か、1 週間の合計か
- 母数 — 何回のうちの何回か。率で渡すときは、元の件数も添える
貼るときは、表の一行目に単位を入れてしまうのが確実です。
プレーンテキスト
以下は 2026 年 7 月 1 日から 7 月 31 日までの、店舗 A の日次売上です。
金額の単位は円(税込)、客数の単位は人です。休業日は行ごと除いてあります。
日付, 売上(円), 客数(人)
2026-07-01, 128400, 96
2026-07-02, 96200, 74
(以下続く)母数を落としたときの被害がいちばん大きいのは、率で渡すときです。「注文率が 2 倍になりました」と伝えると、AI はそれを成果として扱い、成功要因の分析を始めます。元が 1 件で今が 2 件だったとしても、率だけを見ている限りは気づけません。率を渡すときは、必ず元の件数も並べて書いてください。
「増えた」「減った」だけでは動けない
単位が揃っても、何と比べるかを言わなければ、AI は都合のよい比べ方を選びます。前の月と比べるのか、去年の同じ月と比べるのか、他の店舗と比べるのか。結論はそれぞれ変わります。
比べる相手と、その先どうしたいのかまで書いてください。「先月と比べて落ちている商品を挙げ、落ち幅の大きい順に 3 つ、それぞれ考えられる原因の候補を 2 つずつ」と書けば、返ってくるのは眺めるための感想ではなく、明日試すことの候補になります。
出てきた数字は、こちらで検算する
AI は合計や平均を、計算ではなく文章として書くことがあります。桁が一つずれた合計が、まったく自然な文の中に紛れ込みます。レポートに載せる数字は、表計算ソフトで出した値と突き合わせてください。
渡す前の一手間も要ります。顧客の氏名やメールアドレスは列ごと削るか、記号に置き換えます。分析に必要なのは、その人が誰かではなく、どの層かだけです。
役割、状況、手元の情報、出力の形という 4 つの並びは、カスタマーサポートの回と同じです。データ分析で変わるのは、3 つ目に入る情報に単位と期間が必ず付く、という一点です。
復習ミニクイズ
あなたがカフェの店長として、ChatGPTに「売上を伸ばすための具体的な施策」を提案させたいとします。実務で役立つ「インサイト(洞察)」を引き出すために、最も適切なプロンプトの構成はどれですか?