AIへの指示の出し方:プロンプト入門
ChatGPTでカスタマーサポート応答を自動化するプロンプト術
「商品が届きません」という問い合わせは、毎日届きます。ところが返信の中身は、担当した人と、その日の忙しさで変わります。ベテランが朝に書いた返信には配送状況と次の連絡予定が入っているのに、夕方の返信は謝罪だけで終わっている。届く文面が揃わないと、顧客から見た会社の印象も揃いません。
生成 AI が効くのは、この揺れをなくすところです。うまい文章を書かせる道具としてではなく、毎回同じ要素が必ず入った下書きを出す型として使います。
「丁寧な返信を書いて」では、謝るだけの文が返る
「商品が届かないという問い合わせが来ました。お詫びの返信を書いてください」と頼むと、どの会社でも通用する当たり障りのない謝罪文が返ってきます。当然で、AI は注文番号も、遅延の理由も、いつ届くのかも知らないからです。
知らないことは書けません。書けないぶんは、謝罪の言葉を厚くして埋めます。読んだ顧客の疑問は何ひとつ解けません。
4 つのブロックに固定する
問い合わせの内容が変わっても、渡すものの並びは毎回同じにします。役割、状況、こちらが握っている情報、出力の形。この 4 つです。
プレーンテキスト
# 役割
あなたは EC サイト「サンプリストア」のカスタマーサポート担当です。
# 状況
3 日前の注文(注文番号 #12345)がまだ届かない、という問い合わせです。
# 手元の情報
- 大雪の影響で、配送センターからの出荷が 1 日から 2 日遅れている
- この注文は本日発送済みで、到着は明日か明後日の見込み
- お詫びとして 500 円オフクーポン(今月末まで有効)を発行する
# 出力の形
件名と本文を含むメール形式。共感を先に、事実を次に、今後の予定を最後に置く。大事なのは 3 つ目です。ここに入れた事実の数が、そのまま返信の中身の濃さになります。ここを空にしたまま「丁寧に」とだけ書いても、返ってくるのは最初の当たり障りのない文です。
この 4 つの並びは、この先のどの用途でもそのまま土台になります。
そして 4 つのうち、書き換えるのは「状況」と「手元の情報」だけです。役割と出力の形は一度決めたら動かしません。この 2 つを固定したものをテキストファイルに保存しておき、問い合わせが来るたびに残りの 2 つだけを差し替えて貼る。担当者が誰であっても、深夜であっても、同じ要素の入った下書きが出てくるのはこの固定のおかげです。
型があるから、崩れた回を見つけられる
型を固定すると、比べられるようになります。前のレッスンで作った数え方をそのまま当てて、件名が抜けた回、クーポンの期限が落ちた回を数えてください。10 回中 2 回落ちるなら、その項目は本文の中で指示を一段強くします。
型ができても、送信の前に人が読む工程は外しません。AI は手元の情報に無い納期や返品条件を、それらしく足してくることがあります。金額、日付、注文番号の 3 つだけは必ず目で追ってから送ってください。
復習ミニクイズ
ChatGPTを使って問い合わせ対応の返信案を作成した際、内容は丁寧ですが「具体的な発送予定日」や「解決策」が含まれない抽象的な回答になってしまいました。この問題を解決するために、プロンプトに最も優先して追加すべき要素はどれですか?