AIへの指示の出し方:プロンプト入門
Tree of Thoughts:AIに複数の思考経路を探索させる高度な手法
答えが 1 つに決まる問いには使わない
Tree of Thoughts は、案を枝分かれさせ、それぞれを評価させ、見込みの薄い枝を捨てさせる頼み方です。出力が長くなり、費用も時間もかかります。使う前に、外す場面を押さえておきます。
- 答えが 1 つに決まる問い。計算や判定に木を広げても、正解が増えるわけではありません
- 案が 1 つでよい問い。メールの下書きに 3 通りの方向性を作らせても、選ぶ手間が増えるだけです
- 選ぶ基準が自分の中にまだ無い問い。基準が無いまま案を並べても、結局いちばん最後に読んだ案を選ぶことになります
使うのは、選択肢が複数あって、選んだ後に戻れない仕事です。設計方針を決める、企画の方向性を決める、価格の建て付けを決める。後から変えるのが高くつく決定だけが対象になります。
案を出させ、点を付けさせ、戻らせる
普通に「3 案出して、いちばん良いものを選んで」と頼むと、AI は 3 案を軽く並べ、深く検証しないまま結論を急ぎます。足りないのは、評価と、戻ることです。
プレーンテキスト
新しいカフェの集客プランを検討してください。
1. 方向性の異なる案を 3 つ出す(例 SNS 中心 / 地域密着 / 体験価値)
2. 各案を「初期費用」「3 か月で効果が出るか」「今の人数で回せるか」の
3 基準で 5 段階評価し、点数の理由を 1 行ずつ書く
3. どれか 1 つでも 2 以下の案は捨てる。捨てた理由を残す
4. 残った案の欠点を挙げ、埋められないなら 1 に戻って別の切り口を出す
5. 最後に 1 案を選び、最初の 1 週間でやることを書く3 番の「捨てる」と、4 番の「1 に戻る」がこの頼み方の本体です。ここが無いと、案を 3 つ並べただけの出力に戻ります。
枝は 3 つで足ります。5 つ、6 つと広げると、1 案あたりの検討が浅くなり、どれも同じような点数になります。広げる方向ではなく、残った案をもう一段掘る方向に使ってください。
評価の基準は、こちらが決める
失敗のほとんどは、基準を AI に決めさせたときに起きます。「良い案を選んでください」と書くと、AI は一般に良いとされる案を選びます。実現可能性、革新性、といったそれらしい基準が並び、どの案も 4 点前後になって、差が付きません。差が付かなければ捨てる案が出ず、木は枝分かれしないまま終わります。
上の例で「今の人数で回せるか」を入れたのは、これが自分たちにしか判断できない基準だからです。基準を 3 つ挙げるとき、少なくとも 1 つは自分の状況が入ったものにしてください。そこで初めて点数が割れます。
出てきた結論をそのまま採用する必要はありません。この頼み方の値打ちは、選ばれた 1 案よりも、捨てられた 2 案とその理由のほうにあります。あとで人に説明するとき、検討した跡が残っていることが効きます。
復習ミニクイズ
複雑な課題に対してTree of Thoughts(ToT)を活用する際、Chain of Thought(CoT)と比較したときの最も大きな特徴はどれですか?