ゆめさくエンジニア研究所
講師インタビュー2026.09.1213分で読めます

早稲田大学教育学部出身のIT研修講師・岡田講師に聞く、未経験から「できる人」になるために必要な力|ゆめさくエンジニア講師インタビュー

ゆめさく研究所 編集部

丸一日6時間の講義を日常的にこなす研修講師に、「分かった」と「できる」の差を聞きました。教えないで待つことはしない、伸びる人には共通点がある、という話です。

目次11項目
  1. 落ち着きがなくて、先生の前が指定席だった
  2. 日本史が得意なだけだった
  3. 歴史から入ったら、ITが面白くなった
  4. 「点と点が結びつく瞬間」は、必ず来る
  5. 昨日は何をしていましたか
  6. 「分かった」と「できる」の間にあるもの
  7. 意外な答え。「教えないで待つ」は、しない
  8. 伸びる人の3つ、つまずく人の4つ
  9. この人は大丈夫だ、と思う瞬間
  10. 正直な話。何年やっても、解決できていないこと
  11. 18ヶ月は、ゴールじゃない

ゆめさくエンジニアの講師には、2種類の人がいます。教えることを本業にしてきた「教えるプロ」と、今日も開発の現場にいる「現場の人」。

岡田講師は、前者です。社会人向け研修の会社で、丸一日・6時間の講義を日常的にこなすプロの講師。しかも、本人いわくバリバリの文系 です。

未経験から学ぶとはどういうことか。「分かった」と「できる」は何が違うのか。教えるプロに、たっぷり聞きました。

落ち着きがなくて、先生の前が指定席だった

田中まほ
田中まほゆめさく広報
まず自己紹介をお願いいたします。
岡田講師
岡田講師
岡田雄貴と申します。出身は千葉県野田市。子どもの頃は「落ち着きがない」ってよく言われていましたね。落ち着きがなさすぎて、小学校では先生の前の指定席みたいなところに座らされていました。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
指定席(笑)。
岡田講師
岡田講師
その頃は野球ばっかりやってて。中学で野球がやりたくなくなって卓球をやったんですけど、あんまりハマらなくて。塾の行き帰りにMDとか初期のiPodで音楽を聞いてて、バンドやりたいなと。その影響で高校は軽音楽部でした。今でもギターは弾きます。

日本史が得意なだけだった

田中まほ
田中まほゆめさく広報
大学と専攻は何でしたか?
岡田講師
岡田講師
早稲田大学の教育学部、社会科地理歴史専修です。浪人してるんですけど、自分が何をやりたいか考えたとき、一番得意だったのが日本史で。センター試験でも日本史だけすごく点数が高かったんです。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
完全に文系ですね。
岡田講師
岡田講師
ただ、大学に入ったら、いわゆる「歴史ガチ勢」みたいな人が多くて。第二次世界大戦の話を全然知らないレベルでしてる友達を見て、「あ、俺は違うな」と。僕は所詮、受験日本史が得意だっただけなんだって。それで最終的には地理を専攻して、都市の構造について調べていました。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
ITとは近くない経歴ですね。どこでITと出会いましたか?
岡田講師
岡田講師
就職した先が、社会人向けの研修をやっている会社だったんです。それで新人研修でITを何ヶ月もガッと勉強して。でも。すごい分からなかったんですよね。

歴史から入ったら、ITが面白くなった

田中まほ
田中まほゆめさく広報
分からなかった側なんですね。今、教えてる人が。
岡田講師
岡田講師
これで大丈夫なのかなって思ってました。でも、歴史から紐解くような本を読んだら、結構面白いかもしれないなと思い始めて。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
ITを歴史から?
岡田講師
岡田講師
たとえばプログラミングって、昔は職人技だった時代があって。そこから「ソフトウェア産業が発達していくにあたって、誰でもプログラムを書けるように間口を広げよう」という流れで構造化プログラミングという考え方が出てきて、そこからオブジェクト指向が出てきて——という流れで見ると、ITも、人間が「そっちの方が嬉しいから」進化してるだけなんだなって思えたんです。そこからITがすごく楽しくなってきました。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
自分の得意な文脈(歴史)に、一回翻訳したわけですね。
岡田講師
岡田講師
はい。最初はプログラミングを中心に教えていて、だんだんクラウドや機械学習にも手を出して、今はAI系の分野が中心です。

「点と点が結びつく瞬間」は、必ず来る

田中まほ
田中まほゆめさく広報
ゆめさくの受講生はほぼ全員未経験です。文系からITに入った先輩として、伝えられることはありますか。
岡田講師
岡田講師
まあ、最初は苦労しかないですよ。 全然わからないことがどんどんやってきて。僕も資格試験があるから必死で頭に詰め込んで、とにかくそんな感じでした。でも、やっていくにつれて、点と点が結びついていく瞬間 っていうのがあるんですよね。「あ、この言葉聞いたことあるぞ」「あ、これってそういうことなんだ」って分かる瞬間が、やっていくと訪れる。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
具体的に覚えている「点と点」、ありますか。
岡田講師
岡田講師
会社の先輩に聞いたゲームボーイの話ですね。ゲームボーイのソフトにはマスクROMが使われていて、工場出荷時にしかデータを記録できない。「でも、セーブできてたよな?」と。聞いたら、カセットに電池が入っていて、その電池で回路に通電してデータを保持していた。なるほど!と腑に落ちて、気持ちよかったです。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
子どもの頃の謎が、大人になって解けたんですね。
岡田講師
岡田講師
他にも、プレステは画質がいいのにロード時間がある。ゲームボーイにはない。なんでだろうって子どもながらに思っていたのが解決したときは、すごい「ハァー!」ってなりましたね。こういう小さい「面白い」が積み重なって、知識がつながって、「できるようになってきたな」という感覚を味わえる。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
いま苦しい受講生に、その話は効きそうです。
岡田講師
岡田講師
みんな、どこかで辛い思いをしてるんですよ。理系の人だって最初からできたわけじゃなくて、僕みたいな文系の人間が遊んだりバイトしたりしていた時間に、課題をいっぱいこなしてできるようになっただけ。ITの学習を始めるのが、理系の人より遅いだけ っていう感覚です。

昨日は何をしていましたか

田中まほ
田中まほゆめさく広報
ところで、普段の仕事についてもお聞きしたく。昨日はどんな一日でしたか?
岡田講師
岡田講師
研修講師なので、一日、講義で終わりです。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
一日中?
岡田講師
岡田講師
社会人教育って90分1コマとかじゃなくて、丸ごと一日なんですよ。1日6時間とか講義してます。なので、ゆめさくの2時間の授業は「すごい短いな」って感じますね(笑)。

「分かった」と「できる」の間にあるもの

田中まほ
田中まほゆめさく広報
カリキュラムを理解するだけでなく、実際に「できる」ようになるためには何が必要なんでしょうか?
岡田講師
岡田講師
これはもう……プログラミング全部、自分で書いてアウトプットすることですね。アウトプットしないとダメです。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
断言の根拠は。
岡田講師
岡田講師
僕、予備校の授業を聞いて「なるほどな、今日もいい授業だったな」って分かった気になって。それで浪人したんですよ。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
実体験なんですね。
岡田講師
岡田講師
復習を手を動かしてやるようになって、たとえば英作文を自分で書いてみるようになって、ようやく英語が多少できるようになった。プログラミングも同じで、教える側は説明書を教えてるだけ なんですよね。ブロックの組み立て方の説明書を教えてるだけで、実際に組み立てるのは自分で経験しないと身につかない。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
四択問題なら答えられるのに、って状態ありますよね。
岡田講師
岡田講師
そう、頭の中では分かってることって結構あるんですよ。四択で出されたら「これだろう」と答えられる。でも「実際にやってください」と言われたら、うまくできない。とっさにできない。その間を埋めるのは、手を動かした量だけです。
「間を埋めるのは、手を動かした量だけ」(岡田講師)左の足場が「分かった」、右の足場が「できる」。そのあいだは、上の開いた谷になっている。岡田講師の言葉で「「実際にやってください」と言われたら、うまくできない」。谷は底から足場の高さまで積み木で埋まっていて、積み木に「手を動かした量」の札が付いている。岡田講師の言葉、「間を埋めるのは、手を動かした量だけ」。【岡田講師】「間を埋めるのは、手を動かした量だけ」「実際にやってください」と言われたら、うまくできない岡田講師「分かった」「できる」手を動かした量
左の足場が「分かった」、右の足場が「できる」。

意外な答え。「教えないで待つ」は、しない

田中まほ
田中まほゆめさく広報
質問対応で、あえて答えを教えずに待つ場面はありますか。
岡田講師
岡田講師
基本的には、僕はやってないですね。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
そうなんですね。教育論の定番かと思っていました。
岡田講師
岡田講師
知識がまだない人に対して、答えを出し渋るのって、あんまり意味がないんじゃないかなと。それで生成AIに聞いて、めちゃくちゃなものになるよりは、さっと介入して方向を正しい方に変えてあげた方がいい。それに、答えてくれない人に、質問ってしづらくないですか? 右も左も分からない状態のときに。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
たしかに、腰が重くなります。
岡田講師
岡田講師
基礎のレベルなら、どんどん答えた方が、向こうも質問しやすくなると思うんです。ただし答え方は工夫していて、回答例をパンと表示するんじゃなくて、最近はコードを一から書いていく形で解説してます。誰かが書いているのを見ると、「こういう順番で考えていけばいいんだ」という思考の流れが伝わるので。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
答えは渡すけど、渡し方で考え方を見せるんですね。
岡田講師
岡田講師
逆に、卒業制作みたいな統合演習になったら、あんまり答えないと思います。そこでは講師は教える立場じゃなくて、ヒントをあげるくらいの立場なので。段階によって、教え方の濃度を変える イメージです。

伸びる人の3つ、つまずく人の4つ

田中まほ
田中まほゆめさく広報
未経験から伸びる人の共通点を教えてください。
岡田講師
岡田講師
3つですね。自分で考えることができる人。行動できる人。疑問を持てる人。 で、結局この3つができる人って、興味を持てる人だと思うんですよ。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
つまずく人は?
岡田講師
岡田講師
興味を持てない人、手を動かさない人。書いて失敗するのを恐れている人。あと、変に頑固な人 ですね。自分の中で「こうだ」って決めつけていて、間違えていても「自分はこう思う」を曲げられないと、厳しい。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
柔軟な考え方が大切ですね。
岡田講師
岡田講師
あとは、「動けばいい」と思っている人。プログラミングって、あらゆる手札の中から最良のものを考えていくものなんですけど、読みやすさも性能も無視して「実行結果が回答例と同じだからオッケー」という人は、多分、成長の天井が来ちゃいます ね。

この人は大丈夫だ、と思う瞬間

田中まほ
田中まほゆめさく広報
逆に「この人は大丈夫だ」と分かる瞬間は。
岡田講師
岡田講師
質問できる、というところですね。もうこの一言に尽きます。あとは、仕掛けを使い倒している人。質問のチャット、面談、それから日報。初めてチャットに入ったとき、「日報書いてる人いるわ!」って思って(笑)。日々の学習を報告している人は、大丈夫だろうなと思います。自走できてるわけですから。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
日報を出されていると、受講の姿勢がしっかり見えますよね。
岡田講師
岡田講師
これ、仕事も一緒だと思うんですよ。やっていたとしても、見えないと、評価ができない んですよね。学習が見えない人は、たぶん会社に入っても同じスタンスで、上司が仕事ぶりを評価しにくい。日報を出すって、学習の話であると同時に、働き方の練習だと思います。

正直な話。何年やっても、解決できていないこと

田中まほ
田中まほゆめさく広報
逆に、教えることがしんどいと感じる場面はありますか?
岡田講師
岡田講師
声を上げられない人に、どう対応すればいいのか。これはずっと難しいと思っています。分からないんだけど、それを言えない人。こちらから「大丈夫?」と声をかけると「お気になさらず」と返ってくる。でも、結果は伴っていない。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
そういう方には、どう向き合っていますか。
岡田講師
岡田講師
回答例のない問題を作って、分からなかったら自分から声を上げてもらう仕掛けを作ってみたり、いろいろ試してはいるんですけど…。正直、何年やっても、これで解決できてるのかなって分からないのが現状です。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
プロでも、ですか。
岡田講師
岡田講師
プロでも、です。だからこそ、質問してくれる人のありがたさが身に染みるんですけどね。

18ヶ月は、ゴールじゃない

田中まほ
田中まほゆめさく広報
最後に。18ヶ月後、受講生がどうなっていたら「講師の仕事をした」と言えそうですか。
岡田講師
岡田講師
ITって日進月歩で、新しい技術がどんどん出てくる分野です。だから、新しいものに興味をちゃんと持てるようになっていること 。そして、18ヶ月でゴールじゃない、ということはしっかり思っていてほしいです。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
ゴールじゃない。
岡田講師
岡田講師
18ヶ月が終わって、いわばスタートラインに立てたところ なんじゃないですか。今はスタートラインに立つ準備をしている、と考えた方がいい。就職をゴールにしてしまうと、厳しい言い方をすると、その後一緒に働く人が困るんじゃないかなと思っちゃいますね。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
手厳しい。でも、その通りですね。
岡田講師
岡田講師
この18ヶ月をきっかけに、「ITって楽しいよね」という状態で、いろいろ新しいものに興味を持ってもらえるといいなと。その手助けが少しでもできればと思っています。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
本日は貴重なお話をありがとうございました。
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