ゆめさくエンジニア研究所
代表記事2026.09.078分で読めます

2024年までの3ヶ月転職!やキラキラWebフリーランスに!はもう息してない。

運営代表現役ソフトウェアエンジニア

「3ヶ月で転職」「すぐ独立」の約束が今も通るのかを、自分で確かめる方法を書きます。学習修了・内定・実務自立・受注を分け、同じ媒体・職種・雇用形態・観測月で求人を読む手順と、いまも短期で通る人の持ち物を渡します。

目次7項目
  1. 何の約束を検証するのか
  2. 2024年と現在を、同じ物差しで比べられるか
  3. 現在の求人に、何が書かれているか
  4. フリーランス案件で、何を納めるのか
  5. AIの普及と、自分に必要な準備を混同しない
  6. いまも成立する条件と、反例
  7. では、何を用意してから動くか

題に「もう息してない」と書きました。私はそう感じています。

ただ、この記事は「市場が終わった」と証明する記事ではありません。その約束が今も通るのかを、自分で確かめる方法を渡す記事です。

田中まほ
田中まほゆめさく広報
題で言い切っておいて、本文で言い切らないのは、ずるくないですか。
代表
代表
ずるく見えるのは分かっています。私の見ている範囲では、応募の顔ぶれも、外注先を選ぶときの手応えも、2024年の前後で変わった。ただ、それは受託会社をひとつ経営している人間の観測で、市場全体の統計ではない。持っていない統計を、持っているように書くわけにはいかない。だから確かめ方を渡します。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
それなら題を変えればいい。「検証する方法」と正直に付ければ済みます。
代表
代表
題は私の実感として残します。そのかわり本文では、実感と統計を混ぜない。混ぜたら、この記事のほうが息をしなくなる。

受託開発の会社で、人を採用し、外注に出し、スクールも運営しています。「私の見ている範囲では」と断った箇所はその立場からの観測で、それ以外は誰でも同じ手順で確かめられることだけを書きます。

何の約束を検証するのか

「3ヶ月で転職」「キラキラWebフリーランス」は、ひとつの約束に見えて、到達点がばらばらです。検証する前に、どこに着く話なのかを分けます。

「3ヶ月で転職」は内定まで到達点は4つある。教材や課題を終えた「学習修了」は自分、またはスクールが判定する。そこから、会社が雇うと決めた「内定」(判定は採用する会社)、一人で回せる「実務自立」(判定は一緒に働く同僚と上司)へ進む道と、発注側がお金を払うと決めた「フリーランス受注」(判定は発注する相手)へ進む道に分かれる。「3ヶ月で転職」が約束しているのは内定までで、実務自立は含まれていない。「キラキラWebフリーランス」が約束しているのは受注で、1回目の受注と2回目以降が続くことは別の話。「3ヶ月で転職」は内定まで自分の手元で判定できるのは、学習修了だけ学習修了教材や課題を終えた判定するのは自分、またはスクール内定会社が雇うと決めた判定するのは採用する会社実務自立一人で回せる判定するのは一緒に働く同僚と上司フリーランス受注発注側がお金を払うと決めた判定するのは発注する相手2回目以降が続くことは別の話「3ヶ月で転職」含まれていません「キラキラWebフリーランス」
到達点は4つある。
到達点何が起きた状態か判定するのは誰か
学習修了教材や課題を終えた自分、またはスクール
内定会社が雇うと決めた採用する会社
実務自立要件を渡されて、一人で回せる一緒に働く同僚と上司
フリーランス受注発注側がお金を払うと決めた発注する相手

「3ヶ月で転職」が約束しているのは内定までで、実務自立は含まれていません。「キラキラWebフリーランス」が約束しているのは受注で、しかも1回目の受注と、2回目以降が続くことは別の話です。

学習修了は自分の手元で判定できます。残りの3つは、全部、他人の判断が入ります。 検証するときは、4つのうちどれを調べるのかを先に1つ決めてください。「なれる」の中身がどこまで低く設定されうるかは、別の記事に書きました。

2024年と現在を、同じ物差しで比べられるか

「息をしていない」と証明するには、2024年の求人と今の求人を、同じ物差しで比べる必要があります。少なくとも次の6つをそろえないと、物差しになりません。

  • 同じ媒体。 求人サイトごとに載る求人の層が違います。媒体をまたいで足すと、別の母集団を比べることになります
  • 同じ職種。 「Webエンジニア」「フロントエンド」「コーダー」は、媒体によって同じ仕事だったり別の仕事だったりします。揺れをどう束ねるかを先に決めます
  • 同じ雇用形態。 正社員、契約社員、派遣、業務委託、SESの常駐。「転職」にどれを数えるかで数は変わります
  • 同じ経験要件。 「未経験可」の中身が違います。次の節で分けます
  • 同じ観測月。 採用には季節があります。今月の途中までの数を、2024年のある月の丸ごとと比べてはいけません
  • 重複除去。 同じ求人が複数の媒体に載り、毎月出し直され、人材紹介会社が自社名で出し直します。落とさないと、求人の数ではなく掲載の回数を数えることになります

この6つをそろえて2024年に記録した台帳を、私は持っていません。だから、この記事には折れ線グラフがありません。 過去のデータが無いのに時系列のグラフを作ったら、それは検証ではなく作図です。

田中まほ
田中まほゆめさく広報
グラフが1枚あるだけで、記事の説得力は変わります。それっぽい下降線でいいので。
代表
代表
それっぽい線を引いた瞬間に、この記事の全部が創作になります。持っていないと書いたほうが、持っているもののほうの信用が残る。市場全体がどうかは、この6つをそろえた人だけが言えることです。

現在の求人に、何が書かれているか

過去との比較はできなくても、今の求人を読むことはできます。読むのは、企業が自分で出している募集条件の原文です。いちばん先に分けてほしいのが「未経験可」の中身です。

  • 業界未経験可。 IT業界で働いたことがなくてもよい、という意味です。ただし、コードを書く仕事やそれに近い仕事の経験は前提になっていることが多い
  • 職種・実務未経験可。 コードを書く仕事そのものが初めてでよい、という意味です。この中もさらに、自社で研修してから配属する募集と、入った月から現場に出る募集に分かれます

「3ヶ月転職」の約束が指しているのは、2番目の職種・実務未経験可です。求人票で「未経験」の文字を見つけたら、どちらなのかを応募条件の原文で確かめてください。歓迎条件ではなく、応募条件のほうです。

読んだ求人は、次の項目で記録します。

項目何を書くか
出典URLと確認日見返せるように
職種名求人票の名前をそのまま
経験条件応募条件の原文。要約しない
雇用・契約形態正社員、契約、派遣、業務委託、常駐のどれか
成果物と業務内容何を作る仕事か
レビュー・検証の要件テストや品質確認について書いてあるか
募集額上限と下限を分けて
実績か募集か「採用した」実績と「募集中」は別

たとえば10社読んだら、それは10社の話です。日本全体の傾向とは呼ばないでください。 私も呼びません。ただ、自分が応募する職種と雇用形態の範囲で「職種・実務未経験可」が何社あるかは、これで見えます。

フリーランス案件で、何を納めるのか

「キラキラWebフリーランス」のほうは、求人票ではなく案件の募集を読みます。ここでも分けるものがあります。

まず、納めるものです。Web制作の案件は、ざっくり5つの仕事でできています。何を作るかを決める要件、作る実装、動くことを確かめる検証、指摘を受けたあとの修正、公開したあとに壊れたら直す運用。募集の文面に、このうちどこまでが含まれているかを読んでください。

次に、募集単価と、受注と、入金を分けることです。募集単価は発注側の希望であって、あなたに払われる金額ではありません。受注は相見積もりから選ばれて初めて決まり、入金は納品が受理されたあとです。募集の文面の金額から入金までのあいだに、選考、値引き、検収、修正回数が挟まります。 「月○万円の案件がある」という話は、募集単価の話であって入金の話ではないことがほとんどです。

入金から経費を引いて手元に残る利益だけを数え、それで払った費用がいつ戻るかを計算する手順は、別の記事に書きました。

発注する側としての、私の見ている範囲の話を足します。うちは初めての相手に運用まで含めた仕事を出さず、実装だけを小さく切って先に出し、検証と修正のやり取りを見てから次を出します。発注側の全員がそうだとは言いませんが、「運用まで」の案件が実務経験の無い人に最初から回る場面を、私は周りで見ていません。

AIで作って納める形の副業については、納品の責任の話として別に書きました。

AIの普及と、自分に必要な準備を混同しない

求人が変わった理由として、いちばん言いやすいのがAIです。AIがコードを書くようになったから、未経験の採用が減った。私もそう言いたくなります。

ただ、私はその因果を確かめていません。採用の枠はAIだけで決まっていません。景気、会社ごとの採用予算の周期、スクールから出てくる人の数、研修に人を割けるかどうか。どれがどれだけ効いたかを、私は分解できていません。IPAのDX動向の調査は、企業がAIをどう使い始めているかの背景としては読めますが、未経験者の内定率を示す資料ではありません。

田中まほ
田中まほゆめさく広報
「AIで未経験採用が消えた」と書いたほうが、確実に読まれます。
代表
代表
読まれます。でも私はその因果を確かめていない。確かめていないことを読まれるからという理由で書くと、その次に書く「確かめ方」まで嘘になる。

原因の分解はできなくても、自分に必要な準備は分かります。AIが書いたものを要件と照らし、動くかを確かめ、直せるか。求人票の「レビュー・検証の要件」の欄に書いてあることが、その準備そのものです。原因を当てるより、その欄を読むほうが先です。

任せる側がその要件を実際に何で確かめているかは、在宅で仕事を出すかどうかを決める材料として、うちの基準を別に書きました。

いまも成立する条件と、反例

ここまでを読んで「短期はもう無理なんだ」と受け取られたなら、それは私の書き方が悪い。短期で内定や受注に至る人は、いまもいます。 ただ、私の見ている範囲では、その人たちには技術以外の持ち物が先にありました。

先に持っていたのは、技術以外短期で内定や受注に至る人は、いまもいる。私の見ている範囲では、その人たちには技術以外の持ち物が先にあった。既存の職務経験が、そのまま業務知識になる(例 経理をやっていた人が会計まわりのシステムを作る会社へ)。営業や接客で、お客様と話して納期を守った経験(技術がそろった時点で受注に届く)。人とのつながりがある(例 最初の1件が、前職の取引先や知人から来る)。職種がすでに近い(例 デザイナーがコーディングまで受ける)。どれかに当てはまるなら、短期という約束はあなたには通るかもしれない。どれにも当てはまらないなら、その約束はあなた以外の誰かに向けて書かれたもの。そのときは無ければ無いと書き、判定する相手が見るもののうち、自分に足りない証拠を1つ決める。先に持っていたのは、技術以外短期で内定や受注に至る人は、いまもいます既存の職務経験が、そのまま業務知識になる例 経理をやっていた人が会計まわりのシステムを作る会社へ営業や接客で、お客様と話して納期を守った経験技術がそろった時点で受注に届く人とのつながりがある例 最初の1件が、前職の取引先や知人から来る職種がすでに近い例 デザイナーがコーディングまで受けるどれかに当てはまる短期という約束は、あなたには通るかもしれないどれにも当てはまらないその約束は、あなた以外の誰かに向けて書かれたもの無ければ無いと書く判定する相手が見るもののうち、自分に足りない証拠を1つ決める※私の見ている範囲の観測で、統計ではありません
短期で内定や受注に至る人は、いまもいる。
  • 既存の職務経験が、そのまま業務知識になる場合。 例として、経理をやっていた人が会計まわりのシステムを作る会社へ。技術は浅くても、何を作ればいいかが分かっている人は、教える側からすると別の候補です
  • 営業や接客で、お客様と話して納期を守った経験がある場合。 小さな受注に必要なのは技術が半分で、残りは見積もり、仕様の詰め、納品後の責任です。後半を前職で済ませている人は、技術がそろった時点で受注に届きます
  • 人とのつながりがある場合。 最初の1件が、募集サイトではなく前職の取引先や知人から来る。これは私の周りの観測で、統計ではありませんが、最初の1件を持って独立した人は、その後がまったく違って見えます
  • 職種がすでに近い場合。 デザイナーがコーディングまで受ける、社内のWeb担当がフロントエンドに移る。これは「未経験からの転職」ではなく、隣に一歩ずれる話です

短期で決まった人は、3ヶ月で技術を身につけたのではなく、技術以外を先に持っていた。 私の見ている範囲では、そう言えます。

だから、自分に持ち物があるかを棚卸ししてください。上の4つのどれかに当てはまるなら、短期という約束はあなたには通るかもしれない。どれにも当てはまらないなら、その約束はあなた以外の誰かに向けて書かれたものです。

田中まほ
田中まほゆめさく広報
前半で「息をしていない」と言っておいて、ここで「通るかもしれない」と書くのは矛盾に見えます。それに、題を読んだ人の多くは、ここまで来ません。
代表
代表
矛盾ではないです。前半は「誰にでも3ヶ月」という約束を疑ってくれという話で、ここは、通った人には共通して持ち物があったという話。「誰にでも」を外せば両立します。ここまで来ない人に「まだ通るかもしれない」を渡せないのは私の損で、そこは引き受けます。

では、何を用意してから動くか

順番だけ書きます。

期限は、5つのあとに決める動く順番は5つ。1 目指すものを1つ選ぶ。2 決める相手が見るものを、求人か案件の原文で読む。3 求人か案件を、同じ職種・雇用形態・月で記録する。4 持ち物を1つ書き出す。無ければ無いと書く。5 決める相手が見るもののうち、足りない証拠を1つ決める。期限はこの5つのあとに決める。期限を先に決めると、目指すもののほうが下がる。期限は、5つのあとに決める順番だけ書きます1目指すものを1つ選ぶ2決める相手が見るものを、求人か案件の原文で読む3求人か案件を、同じ職種・雇用形態・月で記録する4持ち物を1つ書き出す。無ければ無いと書く5決める相手が見るもののうち、足りない証拠を1つ決める期限を決める期限を先に決めると、目指すもののほうが下がる
動く順番は5つ。
  1. 4つの到達点から、自分が目指すものを1つ選ぶ
  2. その到達点を判定する相手が何を見て決めるかを、求人か案件の原文で読む
  3. 台帳を作って、自分が応募する範囲の求人か案件を、同じ職種、同じ雇用形態、同じ月で記録する
  4. 「いまも成立する条件」に照らして、自分の持ち物を1つ書き出す。無ければ無いと書く
  5. 判定する相手が見るもののうち、自分に足りない証拠を1つ決める

期限は、この5つのあとに決めてください。3ヶ月という期限を先に決めると、期限に合わせて到達点のほうが下がります。学習修了を内定と呼び始める。それが、題に書いた売り文句の正体だと、私は思っています。

到達点を1つ選び、時間と費用の制約を自分の欄に書き出すところまでは、編集部の記事に表があります。準備を決めるときは、そちらへ戻ってください。

うちは18ヶ月かけて実務自立を狙う設計で、卒業生がまだいないので、達成の証明もまだありません。短期の約束を疑えと書いた最後に、うちの長期の約束も証明されていないと書いておきます。同じ物差しで測ってください。


更新履歴 2026-09-22 公開

※筆者は「ゆめさくエンジニア」の運営代表です。「私の見ている範囲」と断った箇所は受託開発会社の採用と発注で見えた範囲の観測で、市場全体の統計ではありません。

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