ゆめさくエンジニア研究所
代表記事2026.09.077分で読めます

AI副業は無理。受託でそんな人見たことない

運営代表現役ソフトウェアエンジニア

受託の現場で、AIだけで稼いでいる人に会ったことがありません。実際に発注が出ている仕事の中身を書きます。

目次6項目
  1. AIは、書ける人を速くする道具です
  2. AIの間違い方が、厄介なんです
  3. うちで実際に起きた一件
  4. 現場で足りていないのは、書ける人ではありません
  5. じゃあ、何なら稼げるのか
  6. 正直に言うと、時間はかかります

「AIを使って未経験から月30万」のような話を、最近よく見ます。

うちは受託開発をやっている会社です。取引先も、外注先も、応募者も見ています。そのうえで書きますが、そうやって稼いでいる未経験の方に、現場で会ったことがありません。

いない、と断言するつもりはありません。うちが見ている範囲が世界の全部ではない。ただ、あれだけ広告で流れている数に対して、現場で一人も見ないのは不自然です。

田中まほ
田中まほゆめさく広報
「会ったことがありません」は、根拠としては弱く見えます。
代表
代表
弱いです。だから断言していません。うちが見ている範囲だと断って、そのうえで不自然だとだけ書きます。
田中まほ
田中まほゆめさく広報
それなら、数字を探してきて補強しませんか。
代表
代表
探せば都合のいい数字は出ます。ただ、測っていない数字を借りてきて根拠にするのは、この記事がいちばん嫌っている形なので。

なぜそうなるのかを書きます。そのうえで、じゃあ何なら稼げるのかも書きます。

AIは、書ける人を速くする道具です

ここが出発点です。

AIは、書ける人の速度を上げます。 書けない人を書ける人にする道具ではありません。この差が、そのまま副業が成立するかどうかの差になります。

仕事としてコードを納めるとき、お金が発生しているのは「コードを書いた」ことに対してではありません。「これで大丈夫です」と言ったことに対してです。動かなかったら直す、壊れたら責任を取る。そこまで含めて発注されています。

AIに書かせたコードに対して、それを言えるかどうか。ここで分かれます。

「大丈夫です」と言えるかで分かれる仕事としてコードを納めるとき、お金は「コードを書いた」ことではなく「これで大丈夫です」と言ったことに対して発生する。動かなかったら直す、壊れたら責任を取る、そこまで含まれる。未経験がAIで出せるのは「動くもの」までで、そこから先には全体像、壊れ方の知識、相談を要件に翻訳する力の3つが要る。無理ではなく、遠い。大丈夫です」と言えるかで分かれるお金は「コードを書いた」ことに対してではありませんコードを書いた動くものこれで大丈夫です動かなかったら直す壊れたら責任を取る123未経験+AI出せるのは「動くもの」まで1全体像2壊れ方の知識3相談を要件に翻訳する力無理ではなく、遠い
仕事としてコードを納めるとき、お金は「コードを書いた」ことではなく「これで大丈夫です」と言ったことに対して発生する。

AIの間違い方が、厄介なんです

人間の初学者が間違えると、たいてい動きません。エラーが出て止まるので、間違いだと分かります。

AIが間違えると、動いてしまいます。

見た目も整っていて、変数名も適切で、コメントまで付いている。ただ、要件とは違うことをしている。現場でよく見る形を挙げます。

  • テストは通るのに、要求されていた条件をひとつ落としている
  • 1件ずつデータベースに問い合わせる書き方になっていて、100件で急に遅くなる
  • エラーを握りつぶしていて、失敗しても成功したように見える
  • 権限チェックが抜けていて、他人のデータが見えてしまう

どれも、動きます。 リリース直後は誰も気づきません。気づくのは、データが増えたときか、見られてはいけないものが見られたときです。

うちで実際に起きた一件

うちの管理画面に、月別の売上を出す棒グラフがあります。あるとき、そこに棒が1本しか立たなくなりました。

エラーは出ていません。 画面は普通に開きますし、グラフの形もしています。ただ、12ヶ月あるはずの棒が1本しかない。

原因は、現在時刻の取り方でした。「直近12ヶ月」の範囲を出すために、ファイルの先頭で今日の日付を取っていた。ところが動かしていた実行環境では、その位置で時刻を聞くと1970年1月1日が返ってきます。 つまりこのグラフは、1970年から12ヶ月ぶんの売上を正確に集計していました。当然、ほぼ0件です。

怖いのはここからです。このコードは、それ自体としては間違っていません。 手元では正しく動きます。テストも通ります。読んでも、日付を取って12ヶ月遡っているだけなので、指摘するところがない。「この環境では、この位置で時刻を聞いてはいけない」という前提を知っている人にしか見えません。

しかも症状が「壊れる」ではなく「数字が変わる」でした。グラフは出ているので、見た人は「今月は売上が少なかったんだな」と思って通り過ぎます。誰も報告してくれません。

AIは、この手のコードを完璧な見た目で書きます。そして「このコードは正しいですか」と聞けば、たいてい「正しいです」と答えます。

現場で足りていないのは、書ける人ではありません

うちがいま一番時間を使っているのは、コードを書く工程ではありません。要件を決める工程と、出てきたものを検証する工程です。

実装が速くなったぶん、前後が相対的に重くなりました。何を作るかが曖昧なままAIに投げると、曖昧なものが高速で大量にできあがります。 速さは、方向が合っているときだけ価値になります。

そして、書ける人は増えました。読んで止められる人が増えていません。 これが現場の実感です。

田中まほ
田中まほゆめさく広報
受託の現場の話であって、副業の相場とは違うのでは。
代表
代表
違います。ただ、副業でも発注する側は「大丈夫です」を買っています。規模が小さくなっても、買っているものは変わらない。

未経験でAI副業が成立しないのは、ここに尽きます。出せるのは「動くもの」までで、「大丈夫です」と言える段階に届いていない。そして発注側が買っているのは後者です。

じゃあ、何なら稼げるのか

逆に、増えている仕事があります。

課題を定義して、AIに書かせて、出てきたものを検証して、責任を持って納める仕事です。うちが人を増やしたいのも、こちらです。

分かれ目は、AIを使えるかどうかではありません。今どき誰でも使います。分かれ目は、AIの出力に「違う」と言えるかどうかです。それを言うには、AIより広い視野が要ります。

具体的に何が要るかを挙げます。

1つ目は全体像です。 リクエストがどこから来て、どのサーバーを通り、どのデータベースに書かれ、どう返るか。これが頭に入っていないと、AIの出力を読めません。

2つ目は壊れ方の知識です。 何が遅くなるか、どこでデータが食い違うか、どんな入力で落ちるか。「動く」ではなく「壊れない」を判定する知識です。

3つ目は、相談を要件に翻訳する力です。 「売上が見えない」という相談を、「どのデータを、どの単位で、誰が、いつ見る画面か」に落とす作業。ここが曖昧だと、AIがどれだけ速くても無駄なものができます。

正直に言うと、時間はかかります

ここまで読んで分かるとおり、3ヶ月では届きません。 文法を覚えるだけなら足りますが、上の3つはそこから先の話です。

うちが18ヶ月かけているのは、スローガンではなくこの理由です。短期でコードだけ覚える学習が、AIが来たことで一番中途半端になりました。 覚えた範囲はAIが出せて、判定する力は身についていない。

「AIで簡単に稼げます」と言ったほうが、売る側としては楽です。ただ、それを信じて来た方が半年後に何も残らないのを見てきたので、ここは曲げずに書いておきます。

田中まほ
田中まほゆめさく広報
ここで終わると、読んだ人は「じゃあ無理なんだ」と受け取ります。
代表
代表
無理ではなく、遠いという話です。遠いことを近いと言って売るほうが、結果として諦めさせます。
Counseling

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たとえば次のような相談です。

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