AWS SAA(Solutions Architect - Associate)対策
Direct ConnectとVPN
このレッスンでできるようになること。オンプレミスと AWS をつなぐ要件を、帯域の安定性、専用性、そして「いつまでに必要か」の 3 点から Direct Connect と VPN に振り分けられるようになります。
要件の文から入る
ある企業がデータセンターの基幹システムを残したまま、AWS へ分析基盤を作ります。毎日大量のデータを AWS へ送るため「安定した帯域と一定のレイテンシーが必要」と書かれています。一方で「移行は来月から始めたい」とも書かれています。何を選びますか。
この問題は 2 段構えで読みます。安定した帯域という要件語は Direct Connect を指します。専用線なのでインターネットの混雑に左右されません。しかし Direct Connect は物理回線の敷設が要るので、開通までに時間がかかります。だから正解は「まず Site-to-Site VPN で始め、Direct Connect の開通後に切り替える」という組み合わせになります。すぐ必要なら VPN、恒久的な帯域なら Direct Connect、その両方が要件に混ざっているなら併用という型を覚えます。
線引き
| Site-to-Site VPN | Direct Connect | |
|---|---|---|
| 経路 | インターネット越しの IPsec トンネル | 専用線。インターネットを経由しない |
| 帯域とレイテンシー | インターネットの状況に左右される | 安定している |
| 開通までの時間 | 短い。すぐ使える | 回線敷設が要るので長い |
| 暗号化 | 標準で暗号化される | 既定では暗号化されない。要件があれば上に VPN を重ねる |
| コスト構造 | 接続の時間課金 + データ転送料。初期費用は小さい | 回線費用が継続的にかかる。大量転送では転送単価が下がる |
| 冗長化 | トンネルが 2 本。もう 1 拠点や別 CGW で強化 | 単一では冗長でない。2 本の DX、または DX + VPN のバックアップ |
暗号化の行が引っ掛けによく使われます。Direct Connect は専用線ですが、それ自体は暗号化の仕組みではありません。「転送中のデータを暗号化すること」と明記されていたら、Direct Connect だけでは足りず、上に VPN を通すか MACsec のような手段を検討する、という読み方をします。
冗長化の行も同じくらい出ます。Direct Connect を 1 本引いただけの構成は単一障害点です。最も低コストで冗長性を確保するという言い回しなら、2 本目の Direct Connect ではなく、バックアップとしての VPN が答えになります。逆に障害時も同じ帯域を維持するなら 2 本目の Direct Connect です。ここはコストと性能のどちらが要件語かで割れます。
集約する場合
つなぐ先の VPC が複数ある場合は、前のレッスンの Transit Gateway が効きます。Direct Connect ゲートウェイや Transit Gateway に寄せれば、VPC ごとに接続を作らずに済みます。「複数 VPC とオンプレミスをまとめて接続し、管理を簡素化したい」という文が出たら、この形です。
要件語から構成への対応表
| 要件文の言い回し | 選ぶもの |
|---|---|
| 安定した帯域、一定のレイテンシー | Direct Connect |
| すぐに接続を開始したい、短期間だけ | Site-to-Site VPN |
| 安定帯域が要るが今すぐ始めたい | まず VPN、開通後に Direct Connect へ切り替え |
| 最も低コストで冗長性を持たせる | Direct Connect + VPN バックアップ |
| 障害時も同じ帯域を維持する | Direct Connect を 2 本 |
| 転送中の暗号化が必須 | VPN。Direct Connect 単体では満たさない |
| 複数 VPC とオンプレミスを集約 | Direct Connect ゲートウェイ、または Transit Gateway |
よくある引っ掛け
1 つめは、「安定した帯域」と「今週中に開通」が同時に書かれた問題で、Direct Connect 単独を選んでしまうものです。要件の片方しか満たせません。時間の制約語を見落とさないことです。
2 つめは、大量データの一度きりの移行に Direct Connect を引く案です。継続的な接続が要らないなら、回線を引くより Snow 系のデバイスで送るほうが速くて安い場合があります。「継続的に」なのか「一度だけ」なのかを読み分けます。
まとめ
- 安定した帯域と低レイテンシーの要件語は Direct Connect です
- すぐ使える、短期間、初期費用を抑えるなら Site-to-Site VPN です
- 両方の要件が混ざったら、VPN で始めて Direct Connect へ切り替える併用が答えです
- Direct Connect は既定で暗号化されません。暗号化必須なら VPN を重ねます
- 冗長性はコスト要件なら VPN バックアップ、帯域維持要件なら 2 本目の Direct Connect です
復習ミニクイズ
ある企業がオンプレミスのデータセンターと AWS を接続します。要件は「解析データの転送に安定した帯域と一定のレイテンシーが必要」「ただしプロジェクトは 2 週間後に開始しなければならない」の 2 つです。最も適切な対応はどれですか。