3秒でわかる
手元の現金が実際に入ってくる時期と出ていく時期の流れ。利益とは別物で、フリーランスや小規模チームの資金繰りを守るために把握します。
もう少し詳しく
どういうものか
キャッシュフローは、事業の現金が実際に増えた時点と減った時点を時系列で並べたものです。会計上の売上は納品や検収の時点で立ちますが、現金が口座に入るのは請求から一か月や二か月あとです。この「計上の日付」と「入金の日付」のずれを見るための考え方がキャッシュフローです。
事業活動そのものによる営業キャッシュフロー、機材購入などの投資キャッシュフロー、借入や返済による財務キャッシュフローに分けて見るのが基本の型です。
なぜ必要か
利益が出ているのに支払えなくなる状態、いわゆる黒字倒産を避けるためです。三月末に納品した案件の入金が五月末で、その間に外注費とサーバー代と税金の支払いが来るなら、帳簿上の利益に関係なく四月に現金が足りません。個人で受託をしている人ほど、案件が大きくなるほどこの穴が深くなります。
もう一つは判断のためです。新しい機材を買う、外注を増やす、単価の高い長期案件に切り替える。どれも現金の出入りのタイミングを変える決定なので、月ごとの残高が予測できていないと踏み込めません。
具体例
半年分を並べるだけで危険な月が見えます。
months = ["4月", "5月", "6月", "7月"]
inflow = [0, 800000, 0, 900000] # 入金
outflow = [250000, 250000, 400000, 250000] # 外注費と固定費
balance = 300000
for m, i, o in zip(months, inflow, outflow):
balance += i - o
mark = "不足" if balance < 0 else ""
print(m, balance, mark)四月と六月に入金が無く、六月末で残高が沈むなら、支払サイトの交渉か着手金の設定を先に手当てします。
つまずきやすいところ
利益とキャッシュを同じものとして扱うのが最大の誤りです。売掛金は利益には乗りますが、現金ではありません。逆に借入は現金を増やしますが利益ではありません。
消費税と所得税も見落とされます。受け取った消費税は預かっているだけで、後でまとめて出ていきます。手元にあるからと運転資金に混ぜてしまうと、納付期限で詰まります。年払いのサービス費用や機材のローンも、月次の表に按分せず発生する月に置いて見るのが安全です。
似た用語との違い
| 用語 | 見ているもの | ずれる原因 |
|---|---|---|
| 売上 | 取引が成立した金額 | 入金前でも計上される |
| 利益 | 売上から費用を引いた額 | 現金の動きと一致しない |
| キャッシュフロー | 口座の増減 | 支払サイトや前払いで前後する |
減価償却のように、現金が出ていかないのに費用として引かれる項目もあります。逆に機材を一括で買った月は、費用として計上される額より現金の減りのほうがずっと大きくなります。この二つを混同すると、資金が足りているかどうかの判断を誤ります。
覚え方
利益は「取引の記録」、キャッシュフローは「口座の残高の動き」。潰れるかどうかを決めるのは後者だけです。