環境変数の確認と設定
「設定したはず」は、だいたい入っていない
本番だけアプリが落ちる。特定の実行環境でだけテストが通らない。原因を探すと、ほとんどが環境変数の入れ忘れか、名前の打ち間違いです。
ここで大事なのは、想像ではなくいま実際に何が入っているかを見ることです。値をひとつ確かめるコマンドが printenv です。
ターミナル
printenv NODE_ENV
# production何も表示されずに終わったら、その名前の環境変数は存在しません。空文字が入っているのか、そもそも無いのかは区別しにくいので、まずは「出るか出ないか」で判定してください。
名前をうろ覚えなら、一覧から絞り込みます。
ターミナル
printenv | grep -i node
# NODE_ENV=production
# NODE_OPTIONS=--max-old-space-size=2048printenv を引数なしで打つと、いま渡されている環境変数が全部並びます。数が多いので grep と組み合わせるのが実用的です。
その 1 回だけ、値を差し替えて試す
本番と同じ設定で動かしたい、でも今の画面の設定は壊したくない、という場面があります。コマンドの前に 名前=値 を書くと、その実行のあいだだけその値が渡ります。
ターミナル
NODE_ENV=production printenv NODE_ENV
# production
printenv NODE_ENV
# development2 回目の出力が元に戻っているところが要点です。この書き方なら、設定を戻し忘れて次の作業を汚す心配がありません。
切り分けにも使えます。設定が原因かどうかを疑ったら、その 1 回だけ値を変えて動かし、結果が変わるかを見ます。変わるなら設定の話、変わらないならコードの話だと分かり、探す範囲が一気に狭まります。
続けて使いたい値は export で置き、要らなくなったら unset で消します。
ターミナル
export EDITOR=vim
unset EDITOR親で読む値と、子に渡す値
名前=値 だけなら通常のシェル変数で、子のプロセスには渡りません。export 名前 で、すでにある変数を子にも渡す環境変数にできます。
bash -c は、引数に書いたコマンドを新しい Bash で実行します。引用符によって変数を読む時点が変わります。
ターミナル
unset LABEL
LABEL=blue
bash -c "echo $LABEL"
# blue
bash -c 'echo "$LABEL"'
# 空の行ダブルクオートでは親の Bash が $LABEL を先に blue に置き換えます。この結果だけでは継承を確かめられません。シングルクオートでは $LABEL が文字のまま子へ渡り、子の Bash が自分の変数を読みます。まだ export していないため、子には値がありません。
演習では子を起動する部分を show_child_message として渡します。MESSAGE が子に無ければ unset、あればその値を表示します。通常の変数の設定、継承前の確認、export、継承後の確認だけを書いてください。
無いなら、動き出す前に止める
いちばん困るのは、環境変数が空のまま処理が半分だけ進むことです。接続先が空文字のまま動いて、意味の分からないエラーを後から出します。
そこで、値が無いときの振る舞いを書いておきます。省略していいものには既定値を与え、無いと困るものはその場で止めます。
ターミナル
echo ${PORT:-3000}
# PORT が未設定なら 3000 を使う
echo ${DATABASE_URL:?未設定です}
# DATABASE_URL が未設定ならメッセージを出して終了する:- が既定値、:? が必須チェックです。起動用のコマンドの先頭にこの 2 つを並べておくと、設定漏れがその場で分かり、原因を追う時間がまるごと消えます。
もうひとつ、値に空白が入るときはダブルクオートで囲んでください。囲まないと空白の位置で切り離され、別々の引数として渡ってしまいます。
課題
- export を使わず MESSAGE に hello を入れる
- show_child_message を呼び、子にはまだ渡っていないので unset が表示されることを確認する
- export MESSAGE で、すでに設定した値を子にも渡す
- もう一度 show_child_message を呼ぶ。出力は unset と hello の2行になる