ゆめさくセキュリティ

2024年6月8日に発覚、日本、出版・メディア・Webサービス

KADOKAWAグループ ランサムウェア被害

フィッシングで奪われた従業員のアカウントから侵入され、ニコニコが長期停止した

何があったか

2024年6月8日未明、KADOKAWAグループの複数のサーバーにアクセスできない障害が発生し、データ保全のため関連するサーバーを緊急にシャットダウンした。同日の社内調査でサイバー攻撃を受けた可能性が高いと分かり、6月9日に公表した。影響はニコニコサービス全般、KADOKAWAオフィシャルサイト、エビテンなどに及んだ。

データセンター内の株式会社ドワンゴ専用ファイルサーバーなどがランサムウェアを含む大規模なサイバー攻撃を受け、サーバー停止の影響で出版製造と物流のシステムも止まり、6月の既刊の出荷部数は平常時の3分の1程度になった。外部の大手セキュリティ専門企業の支援を受けて調査を進め、7月29日には経理機能がほぼ平常状態に復旧し、出版事業も8月から出荷ボリュームが回復する見込みと報告した(第4報)。8月5日にニコニコ動画とニコニコ生放送など主要サービスが復旧し、同じ日に情報漏洩の調査結果を公表した。

外部に漏洩したことを確認した個人情報は合計254,241人で、ドワンゴ関連の取引先や元従業員、N中等部・N高等学校・S高等学校の在校生や卒業生らが含まれた。個人情報保護委員会にも報告した。9月11日には、攻撃者を名乗る組織が情報を追加公開したと主張したことを確認したが、新たな攻撃の痕跡は検知されていないとの見解を公表した。

入口
社外の大手セキュリティ専門企業の調査によると、経路と方法は不明なものの、フィッシングなどの攻撃によって従業員のアカウント情報が窃取されたことが根本原因と推測された
決め手の失敗
窃取されたアカウント情報によって社内ネットワークに侵入され、データセンター内のドワンゴ専用ファイルサーバーなどでランサムウェアが実行された
被害
ニコニコのサービス全般、KADOKAWAオフィシャルサイト、エビテンなどが停止した。サーバー停止の影響で出版製造と物流のシステムも止まり、6月の既刊の出荷部数は平常時の3分の1程度になった。外部漏洩を確認した個人情報は合計254,241人

攻撃の流れ

  1. 入口経路と方法は不明なものの、フィッシングなどの攻撃によって従業員のアカウント情報が窃取されたことが根本原因と推測された
  2. 侵入窃取されたアカウント情報によって社内ネットワークに侵入された
  3. 暗号化データセンター内の株式会社ドワンゴ専用ファイルサーバーなどがランサムウェアを含む大規模なサイバー攻撃を受け、ランサムウェアが実行された
  4. 影響ニコニコサービス全般、KADOKAWAオフィシャルサイト、エビテンなどが停止し、出版製造・物流のシステムも停止して既刊の出荷部数が平常時の3分の1程度に落ち込んだ
  5. 持ち出しドワンゴ関連の取引先・元従業員や、N中等部・N高等学校・S高等学校の在校生・卒業生・保護者らを含む個人情報、契約書などの企業情報が外部に漏洩した

数字で見る

  • 合計254,241人 外部漏洩を確認した個人情報[3]
  • 平常時の3分の1程度 6月の既刊の出荷部数[2]
  • 8月中旬以降は概ね平常時水準 出荷部数の回復見込み[2]
  • 896件 悪質と認識した情報拡散行為などの件数 (ドワンゴ)[3] 2024年8月2日時点
  • 67件 悪質と認識した情報拡散行為などの件数 (角川ドワンゴ学園)[3] 2024年8月2日時点

気づいたきっかけ

2024年6月8日未明から複数のサーバーにアクセスできない障害が発生し、データ保全のため関連するサーバーを緊急にシャットダウンした。同日中の社内調査でサイバー攻撃を受けた可能性が高いと認識した

対応と復旧

影響の大きいデータセンター内のドワンゴ専用ファイルサーバーなどをシャットダウンし、安全なネットワークとサーバー環境の構築を進めた。経理機能はアナログ対応も含めて平常状態に復旧させ、出版製造・物流もアナログ対応を組み合わせて出荷部数の減少幅を抑えた。社外の大手セキュリティ専門企業の支援を受けて情報漏洩の範囲を調査し、個人情報保護委員会にも報告した。ニコニコ動画とニコニコ生放送など主要サービスは8月5日に復旧した

組織が認めた原因と、決めた対策

認めた原因

  • 社外の大手セキュリティ専門企業の調査によると、経路および方法は不明であるものの、フィッシングなどの攻撃により従業員のアカウント情報が窃取されたことが本件の根本原因であると推測される
  • 窃取されたアカウント情報によって社内ネットワークに侵入され、ランサムウェアの実行および個人情報の漏洩につながった

公表した再発防止策

  • 社外の大手セキュリティ専門企業による助言およびチェックを受けながら、さらなる対策を講じる

自分のサービスで確かめること

  • 退職者を含む全従業員のアカウントにフィッシング耐性のある多要素認証を使っているか
  • 窃取されたアカウントによる異常なログインを検知する仕組みがあるか
  • グループ会社が共有するデータセンターやファイルサーバーをネットワークで分離しているか
  • システムが止まった場合のアナログ対応や代替の業務継続計画を用意しているか
  • 情報が漏洩し拡散した場合の削除要請や問い合わせ窓口の体制を決めているか

関わる攻撃とレッスン

時系列

  1. 6月8日 発覚 未明から複数のサーバーにアクセスできない障害が発生し、データ保全のため関連するサーバーを緊急にシャットダウンした[1]
  2. 6月9日 公表 複数のウェブサイトの障害と、外部からの不正アクセスを受けた可能性が高いことを公表した[1]
  3. 7月29日 公表 事業活動の回復状況を報告した (第4報)。経理機能はほぼ復旧し、出版事業は8月から回復する見込みとした[2]
  4. 8月5日 復旧 ニコニコ動画とニコニコ生放送など複数の主要サービスが復旧した[2]
  5. 8月5日 公表 ランサムウェア攻撃による情報漏洩を公表し、個人情報254,241人などの漏洩を確認したとした[3]
  6. 9月11日 公表 攻撃者を名乗る組織が情報を追加公開したと主張したことを確認したが、新たな攻撃の痕跡は検知されていないとの見解を公表した[4]

攻撃した側について

会社は攻撃者名を公表していない。2024年9月11日の公表でも、情報を追加公開したと主張する組織を「当該攻撃を行ったと名乗る組織」とだけ表し、名前は示していない

出典

2026年10月24日に開いて確かめました。本文の [1] などの数は、この一覧の番号です。

  1. KADOKAWAグループの複数ウェブサイトにおける障害の発生について 株式会社KADOKAWA、2024年6月9日、被害組織の資料
  2. 【第4報】KADOKAWAグループの事業活動の回復状況について 株式会社KADOKAWA、2024年7月29日、被害組織の資料
  3. ランサムウェア攻撃による情報漏洩に関するお知らせ 株式会社KADOKAWA、2024年8月5日、被害組織の資料
  4. サイバー攻撃による犯行声明にかかる当社グループの見解と対応について 株式会社KADOKAWA、2024年9月11日、被害組織の資料