3秒でわかる
クラウドの安全対策を事業者と利用者で分担する取り決め。どこまでが提供側の担当で、どこからが自分の担当かを線引きし、設定漏れを防ぎます。
30秒図解
もう少し詳しく
どういうものか
共同責任モデルは、クラウドを使ううえでの安全対策を、事業者が守る部分と利用者が守る部分に分ける取り決めです。AWS の説明では、事業者はクラウド「の」セキュリティ、利用者はクラウド「内」のセキュリティを担当する、と表現されます。
事業者側はデータセンターの物理的な警備、サーバーやネットワーク機器、仮想化の基盤を守ります。利用者側は、OS の更新、アクセス権の設定、データの暗号化、アプリの脆弱性への対処を担当します。
なぜ必要か
自社で機器を持たなくなったぶん、何を自分でやるべきかが見えにくくなります。この線引きが共有されていないと、双方が「相手がやっているはず」と考えた領域が空白になります。設定ミスによる情報流出の多くは、事業者側の障害ではなく、利用者側の設定の穴から起きています。
具体例
同じ「データベースを動かす」でも、選ぶサービスの形態で境界が動きます。
OS更新 DBの更新 バックアップ データ内容 アクセス権
EC2 に自分で導入 利用者 利用者 利用者 利用者 利用者
RDS (マネージド) 事業者 事業者 設定は利用者 利用者 利用者
DynamoDB 事業者 事業者 事業者 利用者 利用者上に行くほど自由度が高く、担当も増えます。下に行くほど任せられますが、どの段でもデータの中身とアクセス権は利用者の担当のままです。
つまずきやすいところ
マネージドサービスを使えば全部任せられる、という理解が最も危険です。S3 のバケットを公開設定にしたまま個人情報を置いた事故は、事業者の落ち度ではなく利用者側の設定によるものです。
バックアップの扱いも誤解されがちです。事業者側の冗長化は機器の故障に備えるもので、利用者が誤って削除したデータを戻すものではありません。誤操作への備えは利用者が用意します。
責任共有は SaaS でも消えません。グループウェアを使う場合でも、退職者のアカウントを消すのは利用者の担当です。多要素認証を有効にするかどうかも、たいていは利用者側の設定として残されています。
似た用語との違い
| 形態 | 事業者の担当範囲 | 利用者に残るもの |
|---|---|---|
| IaaS | 建物と機器と仮想化まで | OS から上のすべて |
| PaaS | 実行環境まで | アプリとデータと権限 |
| SaaS | アプリまで | データと利用者の管理 |
どの形態でも、自分のデータと誰に見せるかの管理は手元に残ります。