ファースト・アメリカン・ファイナンシャル・コーポレーションは、不動産の権原保険やエスクロー業務で集めた文書の画像を顧客に渡す「EaglePro」というアプリケーションを2013年に始めた。2014年10月に加えた機能で、担当者が文書を選ぶと、認証なしで開けるリンクをメールで送れるようになった。このリンクのURLには文書の連番のIDが入っており、番号を別の数字に差し替えると無関係な別の取引の文書画像も表示される欠陥が2014年から存在していた。
2018年12月、自社のセキュリティチームが定例の侵入テストでこの欠陥を見つけ、2019年1月11日付の最終報告書で深刻度3 (重大) の脆弱性としてまとめた。ところが社内のシステムへ入力する際に深刻度2 (低) と誤って記録され、本来45日のところ90日の猶予が付き、担当者は定めた期限の5月8日までに直さなかった。
2019年5月24日の朝、セキュリティ分野の記者が、EaglePro経由で2003年以降の文書画像が約8億件、公開に近い状態になっていると会社に伝えてきた。この時点で最高情報セキュリティ責任者は初めて1月の報告書の存在と未対応を知った。会社は外部からのアクセスを止め、既存のリンクをすべて無効にし、記者向けの声明を出した。27日にNYDFSへ届け出て、28日にはSECへのForm 8-Kで「大規模な不正アクセスの兆候はない」と公表したが、承認した経営幹部は1月の報告書の存在もその後の未対応も知らされていなかった。31日には顧客向けの通知で個人情報が閲覧された可能性を認め、無料の信用監視サービスを提供すると伝えた。
SECは2021年6月、開示統制及び手続きの不備を理由に48万7,616ドルの制裁金を科し、NYDFSは2023年11月、サイバーセキュリティ規則違反を理由に100万ドルの制裁金を科した。