検索結果が入れ替わる
中段 / 目安 30分
琥珀さんが珍しく困った顔をしています。「たまーに、検索結果が変なんだ。『あ』で検索したのに、後から前の検索の結果に上書きされる。再現しにくいのが一番怖い」。
今回のお店さがしウィジェットは、種類を選ぶたびにサーバーへ問い合わせて一覧を出します。ふだんは正しく動きます。ところが回線が細い日には、選んだのと違う種類の一覧が最後に居座ることがあります。
原因は 非同期の応答は、送った順に返ってくるとは限らない ことです。
食べものを選んで問い合わせ、返事を待っている間に本を選ぶと、問い合わせが2本、同時に空を飛んでいる状態になります。ここで食べもののほうが混雑して遅れると、次のような順で戻ってきます。
- 本の応答が先に届く。画面に本のお店が並ぶ (ここまでは正しい)
- 遅れていた食べものの応答が届く。画面が食べものに書きかわる
利用者から見れば「本を選んだのに食べものが出た」です。どちらの応答も正しく、通信もエラーになっていません。古い問い合わせの答えが、新しい答えを上書きしただけです。これが競合 (race condition) と呼ばれる呪いです。
この呪いが怖いのは、速い回線では起きないことです。開発中の自分の手元では一度も再現せず、お客さんの環境でだけ起きます。今回の道場では mock-api.json の delaySteps で 1回目は速く、2回目をわざと遅く してあります。つまり誰の手元でも同じように壊れます。呪いを直したかどうかが、はっきり目に見えます。
直し方の考え方は「その応答が、まだ最新の問いに対するものか」を判定することです。React が用意している道具は useEffect の クリーンアップ関数です。効果が次に走る直前、React は前回のクリーンアップを必ず呼びます。ここで「この回はもう古い」という印を立てておけば、あとから届いた応答は自分が古いことを知って、静かに引き下がれます。
JavaScript (JSX)
useEffect(() => {
let ignore = false;
// 通信して、届いたら ignore を見てから state を更新する
return () => {
ignore = true;
};
}, [genre]);ignore は効果が走るたびに新しく作られる変数で、その回の通信だけが見ています。だから「この回はもう古い」を回ごとに独立して記録できます。
印を見る場所も大事です。state を更新する直前に見てください。手前で見てしまうと、通信を待っている間に古くなった回を止められません。
完成条件
- 種類を続けて2つ選ぶと、最後に選んだ種類の一覧が画面に残る
- 遅れて届いた古い応答で、画面が書きかわらない
- 受信回数 (
classNameが status の段落) は今までどおり、届いたぶんだけ数える useEffectからクリーンアップ関数を返し、その回が古くなったことを記録する
進め方
まず壊れているところを自分の目で見てください。食べものを選び、すぐ続けて本を選びます。1秒半ほど待つと、画面が食べものに戻るはずです。この「戻る」が呪いです。
次に、なぜ戻るのかを順番で説明できるようにします。2本の通信が同時に飛んでいて、遅いほうが後に着く。ここまで言えたら、あとは着いたほうに「もう遅い」と伝える手段を用意するだけです。
受信回数はあえて残してあります。クリーンアップを書いても通信そのものは止まらないので、受信回数は2回とも増えます。増えるけれど画面は書きかわらない、という状態が正解です。ここを取り違えて通信自体を止めようとすると、遠回りになります。
ヒントは3段階で、①方針、②使う構文、③部分解の順に出ます。1つも開けずに通せたら、その問題は自分のものです。
供養が済むと、琥珀さんが笑って言います。「"たまに壊れる"を直せる人は、どこでも生きていけるよ」。
ヒント
前のヒントを開くと次が開きます。開かずに解けると未開封クリアです