ポートフォリオの作り方
既存サービスを「模倣」する際の注意点と付加価値の付け方
このレッスンで分かること
- この記事では「既存サービスを「模倣」する際の注意点と付加価値の付け方」を ポートフォリオ作成 の現場で使える形で整理します
- 既存サービスを模倣するメリットと落とし穴 をおさえれば、現場で迷ったときに立ち戻れる
- 模倣サイトがパクリと言われないための法的・倫理的注意点 をおさえれば、現場で迷ったときに立ち戻れる
- ロゴや公式画像の無断使用はNG をおさえれば、現場で迷ったときに立ち戻れる
- 利用規約とスクレイピングへの配慮 をおさえれば、現場で迷ったときに立ち戻れる
既存サービスを「模倣」する際の注意点と付加価値の付け方 とは
既存サービスの模倣(クローン)をポートフォリオにする際の注意点と、採用担当者に評価されるための付加価値の付け方を解説。著作権対策から、ニッチ化・技術的深掘りによる差別化戦略まで、具体的ステップを紹介します。
既存サービスを「模倣」するメリットと落とし穴
エンジニアとしてのキャリアをスタートさせる際、多くの学習者が「何を作るか」という壁にぶつかります。そこで選択肢に上がるのが、Twitter(X)やInstagram、メルカリといった「既存サービスの模倣(クローン)」です。既存サービスを模倣すること自体は、スキルを証明する手段として非常に有効ですが、やり方を間違えると「ただ教材を写しただけ」というネガティブな評価に繋がってしまいます。
結論先出し — 模倣は 合法かつ誠実 に行い、
ターゲット・機能・UXのいずれかで差分を出すと「一味違うクローン」になります。コピペ写経のままだと評価されません。
既存サービスを参考にする最大のメリットは、仕様が決まっていることです。何を作るか悩む時間を、コードを書く時間やインフラを構築する時間に充てられるため、技術的な習熟度をアピールしやすくなります。しかし、採用担当者は何百人ものポートフォリオを見ています。単なるチュートリアルのなぞり書きか、自ら思考して作ったものかは、一目で見抜かれてしまうのが現実です。
本レッスンでは、既存サービスをベースにしながらも、採用担当者に「おっ、これは一味違うな」と思わせるための差別化戦略と、開発時に必ず守るべき注意点を詳しく解説します。
模倣サイトが「パクリ」と言われないための法的・倫理的注意点
既存サービスを参考にする際、技術面以前に気をつけなければならないのが著作権と倫理観です。これをおろそかにすると、エンジニアとしてのリテラシーを疑われてしまいます。
ロゴや公式画像の無断使用はNG
本物のロゴや、公式サイトからダウンロードした画像をそのまま使用するのは避けてください。たとえポートフォリオであっても、権利関係にルーズな印象を与えてしまいます。代わりに、フリー素材サイト(UnsplashやPixabayなど)の画像や、プレースホルダー画像を使用しましょう。
利用規約とスクレイピングへの配慮
既存サービスのデータを収集するために「スクレイピング(Webサイトから自動でデータを抽出すること)」を行う場合は注意が必要です。多くのサービスでは利用規約でスクレイピングを禁止しています。ポートフォリオのために規約違反を犯すことは、採用において大きなマイナス評価になります。データが必要な場合は、公式APIを利用するか、自分で作成したダミーデータ(Fakerなどのライブラリを活用)を使用するのが鉄則です。
採用担当者の目を引く!既存サービスに「独自の付加価値」を付ける3つの手法
単なるクローンで終わらせないためには、既存の仕組みに「自分なりの考え」をプラスする必要があります。以下の3つのアプローチから、自分のポートフォリオに合うものを取り入れてみてください。
1. ターゲットを極限まで絞り込む(ニッチ化)
汎用的なサービスを、特定のターゲット向けにカスタマイズする手法です。
- 例: Twitterクローン → 「エンジニア専用の技術アウトプット特化型SNS」
- 例: UberEatsクローン → 「オフィスビルのランチ難民に特化した、社内デリバリー管理システム」
このようにターゲットを絞ると、「なぜこの機能が必要なのか」「なぜこのUIにしたのか」という設計思想(ロジック)を語れるようになります。採用担当者は、あなたが「誰の、どんな課題を解決しようとしているか」という視点を持っているかを重視します。
2. 特定の機能を深く掘り下げる(技術的深掘り)
全機能を作るのではなく、1つの機能をプロレベルまで磨き上げる手法です。多くの初心者が「広く浅く」作りがちですが、特定の技術スタックを技術的深掘りするほうが評価されやすい傾向にあります。
- 例: チャット機能において、単なる送信だけでなく「既読表示」「タイピング中表示」「
WebSocketによる超高速レスポンス」を実装する。 - 例: 検索機能において、あいまい検索や、複数の条件(カテゴリ・価格帯・評価)を組み合わせた複雑なクエリを高速に処理する
インデックス設計を行う。
3. UI/UXの課題を解決する(リデザイン)
既存サービスを使っていて「ここが使いにくいな」と感じた部分を改善します。例えば、「メルカリの出品フローをもっとシンプルにできないか?」「Amazonのレビュー欄をもっと直感的に可視化できないか?」といった視点です。READMEに「既存サービスの〇〇という課題を解決するために、UIをこのように改善した」と比較画像を載せることで、ユーザー体験を考慮できるエンジニアであることをアピールできます。
【実践】模倣から差別化ポートフォリオを作る4ステップ
具体的な手順として、以下のフローを推奨します。
| ステップ | アクション内容 | 評価を高めるポイント |
|---|---|---|
| 1. ベース選定 | 自分が普段使っているサービスを選ぶ | 課題感が見つけやすいため |
| 2. 差分の決定 | 「ターゲット変更」か「機能強化」か決める | 欲張らずに1つか2つに絞る |
| 3. 実装とテスト | コア機能から実装し、テストコードを書く | RSpecやJestなどのテストは強い武器になる |
| 4. 振り返り | 開発中に直面した技術的課題を記録する | 「なぜその技術を選んだか」を言語化する |
「差別化」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、自分がユーザーとして「もっとこうだったらいいのに」と感じる小さな違和感こそが、最高のアイデアの種になりますよ!
ポートフォリオで「技術選定の理由」を語るために
既存サービスを模倣する場合でも、技術スタック(言語、フレームワーク、データベース、AWS構成など)は自分で決める必要があります。「有名だからReactを使った」ではなく、技術選定の理由を論理的に説明できるように準備しましょう。
「リアルタイム性が重要なので、低レイテンシの双方向通信を実現するWebSocket(Socket.IO)を採用し、サーバーは非同期I/Oに強くJavaScriptで統一できるNode.jsを選んだ。フロントエンドは状態とUIを宣言的に同期できるReactを採用した」といった具体的な根拠が、技術的な説得力を生みます。
模倣は決して「楽をするための手段」ではありません。「優れた設計を学び、それを自分の力で再構築・改善するプロセス」です。この意識を持つことで、あなたのポートフォリオは、単なるクローンから「価値のあるソフトウェア」へと進化します。
まとめ
既存サービスの模倣は、技術力のアピールとして優れた手法ですが、そのままコピーするだけでは不十分です。著作権などのルールを遵守した上で、「ターゲットの絞り込み」「技術的な深掘り」「UI/UXの改善」という付加価値を加えましょう。あなたが「なぜこれを作ったのか」という意思がこもったポートフォリオは、必ず採用担当者の心に届きます。まずは、お気に入りのサービスを一つ選び、自分ならどこを改善するか考えることから始めてみてください。
現場でよくある具体例
- Aさん (受託企業内定) は GitHub の
README冒頭に「誰の何を解決するか」を 3 行で書き、デプロイ URL を最上段に置いた。それだけで書類通過率が 2 倍に - Bさん (自社開発内定) は技術選定理由を
READMEの「Why this stack?」セクションに明記。面接が「決定根拠の深掘り」中心になり、暗記質問が消えた - Cさん (落選続き → 内定) はテーブルを切ってコミット履歴を整理。「
feat: 機能追加」のような Conventional Commits に変えた途端、レビュー観点での評価が上がった
次にとるべきアクション
- 今のポートフォリオを採用視点で 30 秒見直す —
README・デプロイ URL・スクショの 3 点が即座に伝わるか確認する - 改善ポイントを GitHub Issue 化する — 「既存サービスを「模倣」する際の注意点と付加価値の付け方」で得た観点を、自分のリポジトリの Issue として 3 件登録する
- 実装/修正を次の 1 週間で完了させる — Issue を
Pull Requestに落とし込み、コミットメッセージにも改善理由を残す
次のレッスン
次は ポートフォリオを「ストーリー」で語るための構成術 で、ポートフォリオを「ストーリー」で語るための構成術 を学びます。
事前確認 — 進む前に次の 3 つができることを確認しましょう。
- 模倣の注意点 の要点を自分の言葉で説明できる
- このレッスンの最小コード (または操作手順) を見ずに書ける
- 練習問題やクイズで間違えた箇所を読み直して理解した
理解度チェック (30 秒)
Q. 模倣の注意点 とは何か、1 文で説明してください。
A. 本文の「このレッスンで分かること」または冒頭の説明文を見直し、自分の言葉で要約できれば OK。詰まったら本レッスンの最初の H2 セクションを読み返してみましょう。
関連レッスン
参考にした出典
- 経済産業省「IT人材需給に関する調査」 — IT 人材の需給見通しと求められるスキル像(出典: 経済産業省, 2019, https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/)
- GitHub「The State of the Octoverse」 — GitHub 上の開発者活動とリポジトリのトレンド(出典: GitHub, 最新版, https://github.blog/news-insights/octoverse/)
- Stack Overflow Developer Survey — 開発者が実務で利用するツール・スキル比率(出典: Stack Overflow, 年次, https://survey.stackoverflow.co/)
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復習ミニクイズ
既存サービスのクローン(模倣)をポートフォリオとして提出する際、採用担当者から「ただ教材をなぞっただけではない」と評価されるために最も適切なアクションはどれですか?